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第一部 地球編

47 幻 (ビーストソウル目線)

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「『幻獣への誘い』」

 敵がこちらに来たので、僕がグリフォンになって対処をした

「いいぞ!ビーストソウル」

 トリックスターが、敵を倒した僕を褒めた。辺りは、戦士と敵が混ざりあっている

「薬が効いてる!成功だ!」

 僕は嬉しかった。自分の自我を奪うかもしれない能力を、制御できてるなんて

「『幻獣への誘い』」

 玄武になって、敵からの攻撃を甲羅で防いだ。そして、毒蛇で相手を攻撃した

「いいぞ!ビーストソウルもっとやれ!」

 敵が、後退しだしたので追撃を始めた。敵が退いた方にはさらに多くの敵がいて、僕を殺しにかかってる。すると、サンストーンとカーナが助けに来てくれた

「ビーストソウル。今は、お前が頼りだ!」

「援護するわ」

 二人は、みんなと合流し、エイリアン達を一掃しだした。だが、次の瞬間腹に何かが突き刺さった感じがした

「何だ?何の能力だ!」

 あまりの痛さに、人間に戻った僕の顔面に二人のエイリアンの拳が入った。そのまま、後ろに飛ばされた

「誰か、援護!」

 しかし、周りにはエイリアンしか居らず、戦士達が消えていた



 サンストーンとカーナが死んだと分かったのは、生き残ったエイリアンが、戦士達の方に移動してるのが見えたからだ

「サンストーン、カーナ」

 次の瞬間、みんな顔面蒼白になった

「ヴッー!ヴォッ、グッヴォ」

 みんなの真ん中に立っていた、ビーストソウルが唸り声をあげ始めた

「ビーストソウル?」

 ビーストソウルから反応がない

「まずい!離れて!」

 レッドマジシャンが叫んだが遅かった。ビーストソウルはグリフォンになって、ジャンヌを引き裂いた

「ジャンヌさん!」

 しかし、自我を忘れたビーストソウルは引き裂いたジャンヌを食い始めた

「まずい!まずい!逃げるよ!」

 レッドマジシャンを先頭に、兵士がいる方じゃなく、エイリアン達のいる方に走った。エイリアン達も、化け物がこちらに来るのを気付いたらしく、戦闘態勢に入った

「ビーストソウル。ごめん。『アレグロショット』」

 スノーメロディーが、ビーストソウルの腹に、氷の弾を撃ち込んだ。しかし、動きが止まったと思ったら、建物三階建てくらいの大きさの怪物になった

「もう!最悪。トリックスター!」

「分かってる。メロディー!道を創れ」

 レッドマジシャンとトリックスターが、スノーメロディーが創造した、氷の坂を駆け上り、ビーストソウルの顔面に拳を入れた

「『ffフォルティッシモ』」

 ビーストソウルは後ろに体が反れたが、すぐに二人に攻撃を始めた。エイリアン達は巨大な怪物に踏み殺されていき。レッドマジシャン、トリックスター、スノーメロディー、ソーンは、ビーストソウルからもエイリアンからも逃げるのに必死だった



 マスターウェザーがタンク達を宇宙船内に連れていこうとしたとき、ビーストソウルの変身した怪物を見つけたので、急いで引き返し、ヘドロとワイルドエコーとブルズアイを連れてきた。その三人をエイリアンとレッドマジシャン達、暴れてるビーストソウルが戦ってる所に落とした。三人ともすごい嫌がってたが、強制的に。そして、タンク達を迎えに行き、宇宙船内に乗り込んだ



 僕は、周りを見渡した。味方の姿が見えず、エイリアンしかいない

「みんなやられたのか?一人でもやるしかない!」

 エイリアン達は、僕を囲んでる

「まずいな。今は、人間だ!『幻獣への誘い』」

 クラーケンになって、太い足を振り回し攻撃をした



 レッドマジシャン達の元に、マスターウェザーが連れてきたヘドロ達三人が投下された

「あのバケモンなんだ?」

 ヘドロが言うが、レッドマジシャン達には答えにくいのか、小声で返答した

「ビーストソウル」

「何て言った?」

「ビーストソウルよ!」

「マジかよ!前の時はどうやって倒した?」

「四人がかりで、吹っ飛ばした。ただ、あの時はビーストソウルを落ち着かせてからできた。今回も、必ずできるとは」

 ヘドロが、体から泥をビーストソウルの目に飛ばした。しかし、視界を奪っても普通に動いてる。ブルズアイが、心臓めがけて弾を撃つが、硬い体には効いていない

「全員耳塞げ。意識飛ぶぞ!まぁ。塞いでも飛ぶかもしれんが」

 ワイルドエコーが技をやるため、みんなが耳を塞いだ。ワイルドエコーの口から、大声が発せられ、エイリアンの何人かはその場に気絶した。しかし、ビーストソウルには効いていない

「全員ダメか」

「いえ。まだ一人、とっておきがいる」

 トリックスターがソーンさんを見た

「私の能力で、安定してもらう」

 ソーンさんが、ビーストソウルに走り出した

「援護!絶対に、ソーンさんを殺させるな!」



 僕は、敵を何人倒したのだろう。何人かが、向かってくるな。返り討ちにしないと

「ビーストソウル!起きなさい!」

 僕の頭の中に、ソーンさんの声が響いてきた

「ソーンさん?今どこ?レッドマジシャン達は?」

「あなたの目の前にいる!起きろ!ビーストソウル!」

 起きろって寝てないぞ。すると、サンストーンの声が聞こえてきた

「ビーストソウル。惑わされるな。誰かがソーンの声でお前を惑わしてる」

「サンストーン?」

「そうだ。ソーンは偽物だ!気を付けろ」

 サンストーンの声が助けてくれる。しかし、ソーンの声はまだ響いてる

「サンストーンの声なんて、あなたしか聞こえてないわ!サンストーンは死んだの!」

 ソーンさんはサンストーンが、死んだと言う。僕は信じない。偽物の言うことなんて

「サンストーンは死ぬはずがない!あんなに強いのに!」

「カーナと共に死んだ!私達を逃がすために!」

 カーナと死んだ?さっき会ったじゃないか

「ビーストソウル。俺を信じろ!」

「ビーストソウル。私を信じて!」

 二人の声が頭の中でずっと響いてる

「ビーストソウル。お前を指導したのは俺だろ?」

「あぁ。あなたは偽りを言って、僕を惑わしたりしない」

「ビーストソウル。サンストーンの声が頭に響くの?夢で見た原点を思い出して!」

 原点。これは、ソーンさんと僕しか知らない。ソーンさんは本物だ!じゃあサンストーンは?僕の頭に記憶がよみがえってきた。兵士達を逃がすために、みんなでしんがりをしたこと。時間稼ぎはできたから、退いたことを思い出した

「そうだ。サンストーンは、退かなかった。カーナさんが駆けていって。レッドマジシャンが叫んでた。サンストーンは死んだんだ」

「そうよ。あなたは暴走してる。今、みんなで助けよ」
 
 ソーンさんの声が途中で切れた



 ビーストソウルの中に入り込んだので、ソーンは気を失ってたが、意識を取り戻した

「ハァッ!」

「ソーン。大丈夫か?ビーストソウルは?」

「彼は、夢ではなく。幻覚を見てるようだった。また、幻聴でサンストーンの声も聴こえてるようだった。私は無理矢理何かに追い出された。頭がとても痛い!」

 ソーンは、体が動かなくなっていた



 ソーンさんの言葉が途切れるのと同時に、自分の声が頭に響いた

「チッ!ソーンめ!邪魔しやがって!」

「お前か?僕を操ってるのは?」

「僕を操る?俺が、本物のビーストソウルだ!全て殺す!」
 
「僕が本物だ!誰も殺させない!」
 
「もう、一人味方を殺したぞ。ジャンヌだ」

「えっ、嘘だ!」

「次は、誰を殺すんだ?レッドマジシャンかトリックスターか?それとも、スノーメロディーか?」

「引っ込んでろ!」

「サンストーンを生き返らせてやったろ?」

「黙れ!」



 怪物になってたビーストソウルの姿が一瞬、人間に戻った。レッドマジシャンはビーストソウルの前に走った

「レッド。時間がない!お前を殺す!黙れ!」

「ビーストソウル!自我をしっかり」

 人間に戻った僕の体から何かが、出てきそうだった

「殺せ!ビジョン通りになって悪いが。お前を殺す!」

 僕の首もとから、もうひとつの僕の顔が出てきた

「こいつは僕が抑える。殺すんだ」

 すると、出てきた顔が、喋りだした

「レッド。前から思ってたが、お前は俺より、全てが劣る。こいつが、優しく弱かったから、勝たせてやっただけだ!」

 次の瞬間、僕の体は人間じゃなくなった。目の前にいるレッドマジシャンを噛み殺そうとした



 ジャンヌは仲間の勇気を奮い立たせ、運動能力を上げるサポーターとして活躍した。彼女の名前の由来となった、ジャンヌ・ダルクに恥じないような功績だった
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