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第二部 エリミア編

39 医務室へ

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「あれ?そうよ!リッゾルよ!」

 三人とも、喧嘩の理由をすっかり忘れてた

「フィオル。リッゾルが、空間移動妨害装置を停止させた」

「リッゾルが?!」

「それだけじゃない!結界も、停止させたんだ」

「結界って、何ですか?」

「この、学校に結界が張ってあるんだけど。学校関係者と、唯一王、フェルムス以外は入れないんだ」

「結界は能力で?」

「いや、技術だよ。昔の技術!」

「へー。凄いですね。リッゾルさんは、知ってたんですか?」

「分からない。目覚めたから、フェルムス達が記憶を見に行ったわ」

「なるほど。だから、あんなに・・・。でも、リッゾルさんがテロリスト達を手引きしますか?」

「考えにくい」

「けど、真意は本人にしか分からないわ」

「それで、喧嘩になった原因は?」

 フィオルは、リッゾルが裏切ってるかもしれない情報より、仲良しの三人が殺し合ってる方が衝撃が大きかった

「それは・・・」

「先生がフェーナを部屋に帰して、俺達は医務室に来いって」

「それで、フェーナがおかしいって」

「いろいろ、口論になった結果があれよ」

「なるほど。詳しくは分かりませんが、医務室に行った方がいいのでは?」

「私は?私だけ、部屋に戻るの?」

「フェーナも一緒に、行きましょう。僕も、勝手ながらついていきますが・・・」
 
 ガルクとシュリオンは顔を見合わせた

「何で考えなかったんだろう」

「ガルク。俺も同じ事思ってんぞ」

「どうせ、いつも校則破ってるし。先生の言うことは、ほぼ聞いてない三人だった。今さら、フェーナを連れていってって、怒られるか?」

「そんなことより、行くわよ!」

 フェーナはガルクとシュリオンの腕を掴んで、医務室に走った。フィオルも後をついていく



 医務室の前に着くと、校長とアイリン・クルトナが話していた

「シュリオン。ガルク。フェーナを部屋に連れていきなさい。と言ったはずですが、何で一人増えてるのですか?」

 成人姿の校長に言われた

「フェーナとフィオルにも、知る権利がある!」

「それより、リッゾルは?」

「はぁー。問題児達が・・・。良いでしょう。一人一人話しましょう。シュリオン来なさい」

 校長はシュリオンを連れて、医務室の隣の部屋に入っていった。ガルクとフェーナは、すぐに部屋の扉に耳をつけて、盗み聞こうとした

「無駄だよ」

 アイリン・クルトナは微笑してから、言った

「学校の扉は、盗聴防止が施されている」

「学校に盗聴防止なんているか?」

「アイリン・クルトナ隊長。リッゾルは犯人だったのですか?」

 フェーナは、アイリン・クルトナの目を見て聞いた

「フェーナ。それも、無駄だよ。考えは読めない」

 フェーナは悔しそうな顔をした

「リッゾルは、何も覚えてない」

「記憶を見たんでしょ?」

「あぁ、見たさ。だが、何も記憶がなかった。やはり、リッゾル本人がやったのでは、ないと思う」
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