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第二部 エリミア編

64 初任務

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「なぁ。誰を逮捕するんだ?」

 都市を見渡せる高さの位置に三人と一匹は居た。そして、ドードルがガルクに聞いた

「メーデル」 

「ヨーデルだよ!窃盗の常習犯!」

「どうやって捕まえるんだ?案ある人?」

 ドードルはアクトにエサをやってる
 
「あるよ」

「僕もあります」

「ガルクの案は?」

「囮になる高価な物を用意する。すると、それを狙ってターゲットが、のこのこやってくるわけだ。上手くいけば、他のこそ泥も捕まえられる」

「フィオルは?」

「この都市に潜伏してるのは分かったから、わざわざあっちから来てもらうのではなく、捜しに行く」

「どうやって?」

「ドードルがアクトに憑依して、街中を飛び回る。すると、珍しいテマニーに大衆は釘付けになり、外に出て、アクトを観覧しようとする。だけど、ヨーデルは慎重な男だから外に出たり、アクトを見に行こうとはしないはず、その行動を起こした人物をフェルムスの人体感知器で検出する」

「フィオル。面倒だ」

「ガルクに同じく、二人ともマシな案ないのか?」

「お前もなんか出せよ!」

「無い。よし!やめよう!逮捕できなくても、文句言わないだろ。どうせ、フェルムスの先輩達がへまやって取り逃がしたんだから」

 その時、三人の脳内にアイリンの声が聞こえてきた

「ドードル。会話、全て聞こえてんぞ。三人とも、もっと真面目にやれ!フィオルは仕方ない。ガルクも許容範囲だ。ドードル、後で説教な」

「あー。全て聞こえてんの?」

「あぁ」

「ガルク!フィオル!何やってんだ!早く捕まえにいくぞ!」

「ハァー。隊長。何か、捕まえる方法ありますか?」

「逮捕方法は、現場に任せてる。どんな手段使ってもいいが、第三者に被害出すな。そして、殺すな」

「フィオルの案で行くか・・・」



 ドードルは老人を追って走ってた

「おい!待てコラッ!」

 フィオルの作戦は上手くいったが、老人の足の速さが、フェルムス隊員よりも速い

「ドードル。口が悪いですよ!」

 ドードルはアクトに憑依しながら、老人を脅し追いかけてる。それを、フィオルが後を追いながら注意した

「フィオル。前借りすれば?」
 
「簡単に言ってくれますね。そんなに早く死んでほしいですか?」

 老人が角を曲がった。急いで、アクトになったドードルとフィオルも曲がった。すると、老人がガルクにボコボコにされていた

「ガルク。撲殺するなよ」

「安心しろ。再生できるくらいにボコってる」

「やめてくれ!もう・・・やめて!」

 老人は至るところから流血してる

「ガルク。落ち着け。もう、いいぞ」

「すげぇ、イライラすんだよ!」

 都市にいる人の負の感情を吸収して強くなってるが、その分どっちが犯罪者か分からないほどだった

「はい。よくできました」

 アイリンが後ろに立っていた。しかも、ドードルの本体を抱いている

「何で?!」

「ドードル、戻れ」

 ドードルが自分の肉体に戻った

「さてと、その犯罪者は、お前らの為にわざと泳がせていた」

「フェルムスも、お暇なこった」

 ドードルがアイリンの横でボソッと言った

「ガルク、殺さなかったことと、捕まえたことは誉める。フィオル、お前の案で追い詰めた。ドードル、よく目立ったな」

 最後のドードルだけ、アイリンは睨んで言った

「帰るぞ」

 三人と一匹はアイリンと空間移動して、フェルムスの本部に帰った
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