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第二部 エリミア編

65 大陸選挙

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 シュリオンとフェーナはリンドルズ学校を卒業して、初めての大陸選挙に臨んでいた

「シュリオン。あんた、喋らなくていい。私が適当な公約言うから」

「はい、先生!」

「安心して、勝てる!まず、シュリオンの出身の大陸の現元老院メンバーはジジイ。唯一王ガルーダの後もあって、評判はそんなに良くない。他の立候補者も、パッとしないやつばっか」

 フェーナは選挙の立候補者のデータを見てニヤニヤ笑ってる

「そこで、期待の新星よ。リンドルズ学校を卒業した優等生で、飛び級もしてる天才。それに、他の立候補者より、圧倒的に若い」

「しかも、唯一王の長男。応援者は、元老院メンバーだった人の娘。喋らなくても勝てるな」

 二人の会議中に、ガルクが空間移動でやって来た

「ガルク。プライベートなんだけど」

「ホント、フェルムス隊員は人の家に勝手に上がれんのか?」

「応援に来てやったんだろ?なんなら、僕が演説してもいいぞ」

「私じゃ、不満あんの?」

「いや、フェーナの代わりじゃない。シュリオンの代わりだ。双子だし、分かんないだろ」  

「いいわね!そうしましょう!」

「フェーナ。本気で乗るな!替え玉バレたら終わりだぞ」

「で、勝算あんのか?」

「誰がタッグを組んでると思ってんの?血筋完璧な優等生の二人よ。勝てるに決まってるじゃない!」

 

 選挙週間が訪れた

「圧倒的・・・」

 ガルクは、実績が無いシュリオンは元老院メンバーになれないと思っていたが、支持率が飛び抜けていた

「どうよ!」

 フェーナは自慢気にガルクに言った

「降参。じゃあ、仕事があるから・・・」

 ガルクはフェルムス本部に帰った



 本部に帰ったガルクは、すぐに隊長とフィオル、ドードルを呼び出した

「どうした?そんなに、慌てて」

「隊長!シュリオンとフェーナを逮捕しましょう!」

「は?何言ってるんだ?」

 フィオルとドードルは爆笑してる

「父さん。シュリオンの選挙だよ」

「ガルクは、シュリオンが元老院になったら、エリミアが滅びると思ってるんです」

「なるほど・・・。嫉妬か!」

「んなわけあるか!そうだ!無許可で能力を使った罪で捕まえましょう!」

「あいつら、免許持ってんぞ」

「いや、ガキの頃に無許可で使ってる!」

 ドードル、フィオル、アイリンは同じことを思ってた。時効だよ!と

「アイリン。すぐに逮捕の許可を!もちろん、殺しません!」

「できるわけないだろ!」

 結果、ガルクの説得は通らなかった



 選挙の結果が出た

「やった!やった!」

 シュリオンの当選に、みんな喜んでいた。フェーナはもちろん、フィオル、ドードル、リッゾルやネオルノ先生、校長、アイリンまで。そして、ガルーダも息子の当選祝いにやって来たが、ガルクの姿はなかった

「フィオル。ガルクは?」

「・・・さっきまで居たけど」



 みんなが当選祝いをしてる時に、ガルクはバンジャン大陸の元老院。スミの所を訪れていた

「スミさん。相談があります」

「ガルク君ね。シュリオンの当選おめでとう!君の言う通り、私と唯一王争いが起きるかもね」

 スミは笑いながら言ったが、ガルクは真剣だった

「スミさん。とても恥ずかしいんですけど、シュリオンに負けたりしないでください!」

「え?!前は、シュリオンが強敵になるみたいなこと言ってたよね?シュリオンを応援してるんじゃないんすか?」

「応援はしてますよ。ただ、エリミアの未来を考えるなら、あの二人だけはダメだ!」

 ガルクの必死ぶりに、スミは笑った
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