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第二部 エリミア編

69 密会

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 ガルクとフェーナは、二人で密会してた

「何?」

「いや、突然だがシュリオンは唯一王の器にふさわしいと思うか?」

「その質問、意図は?」

「単なる疑問だよ。君は、シュリオンが唯一王にふさわしいと思ってるから、手伝ってるのかと思って」

「逆に、ガルクは自分の兄が唯一王の器にふさわしいと思ってるの?」

 ガルクとフェーナは親友だ。フェーナはシュリオンよりも、ガルクの方が好きだし。ガルクも、どの友達よりも一番フェーナと居て楽しいと思っていた。二人とも、お互いが世界で一番好きだし、尊敬しあってる。だが、最近ガルクはフェーナに違和感を感じていた。ちょうど、リンドルズ学校の襲撃事件後からだ。大人へと成長していく過程で違和感を感じただけだと思っていたが、シュリオンを応援すると言った時から、不思議と違和感が強くなった

「思わないね。兄だから恥ずかしいが、シュリオンは善人だ。悪ガキだったけど、仲間を見捨てようとしたことはないし。自己中心的に見えて、自分のことは二の次だ。だから、ふさわしくない」

「は?今の言い方だど、ふさわしいと言ってるみたいよ」

「善人過ぎるからダメなんだ。父さんは、善人だが邪心も持っている。だから、目的の為なら手段は選ばないし。エリミアの未来に損だと思ったら、人をも殺す。だから、エリミアの崩壊は緩くなった。だが、シュリオンは違う。善人だから、人の言うことを鵜呑みにする」

「まるで、私が操ってるみたな、言い方ね!」

 今日の二人は、ギスギスしてる

「あぁ。僕は思ってたんだ。君の方が優秀だし。知名度もある。なのに、わざわざシュリオンを唯一王にする意味あるか?自分の力でなれるだろ?」

「ガルクには関係ないでしょ」

「フェーナ。目的を教えろ!最近、君が分からない」

「最初から、理解してたみたいね!あなたが、私の何を知ってるのかしら?!」

「何でシュリオンなんだ?!僕は、君は教師になりたいのかと思ってた。リンドルズ学校で次世代を育てたいのかと」

「・・・ねぇ。本当はあなたと私が手を組みたかった。あなたを唯一王にしたかった」

 フェーナは悲しそうな表情になった

「僕を?!」

「えぇ。だけど、私の家での事件から、あなたはフェルムスに取り憑かれた」

「あぁ」

 ガルクは不思議に思った。フェーナが、あの日の出来事を事故だと思ってるはず。しかし、事件と今言った

「ただ、シュリオンは違った。唯一王になりたいと。私も、本当は目指してた。だけど、親友の敵にはなれない。だから、退いたの・・・」

「そうか・・・。悪い。もう時間だ」
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