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第二部 エリミア編

80 世界を変える

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 スミはガルクを哀れみの目で見た

「ガルク。力ずくで変えた物は、いつか力で変えられるわよ」

「それでも、今の世の中よりはマシだ。あなたも気づいてるはず、あの二人が行ってる政策は、どれも悪い方向に向かっていることを」

「確かに、もう少しで手遅れになりそう。だけど、戦争をすれば、エリミア自体が終わりよ」

「このままでは、いずれ終わる。だけど、今行動を起こせば変わる未来だと信じてる。データでも結果が出た!」

「・・・勝機はあるの?」

「誰が反乱を起こそうと考えてると?ガルーダの息子で、唯一王の弟。そしてフェルムス隊長ですよ。あなたと組めばエリミア全体の意見が割れる」

「フェルムスは・・・あなたの部下は協力してくれるの?」

「逮捕しに行くと言えばいい」

「元老院は?どれくらいの大陸が味方についてくれるの?」

「半数はいける」

「根拠は?」

「そんなの簡単だ。シュリオンを好きな奴は、そんなにいない」

「他の戦力は?」

「・・・」

「無いの?」

「いや、危険だが、強力な奴らがいる」

「誰?」

「フェルムスが捕まえた犯罪者」

「は?ダメでしょ!」

「出所させる条件だ」

「却下」

「あとは、リンドルズ学校の関係者」

「あそこは、中立よ。どっちにもつかないわ」

「いや、一人知り合いに内気だが、最強にもなれる能力を持った奴がいる」

「彼?」

「あぁ。リッゾルだ」

「リッゾル君は、シュリオンやフェーナとも仲が良いでしょ?」

「フェーナとは仲が良いが、シュリオンはそこまで。だけど、リッゾルもシュリオンが何をしてるか分かってる。フェーナが変わったことも」

「そして、あなたが狂ってることも」

「僕は狂ってない!周囲の状況がそう見せてるだけだ!」

「まぁいいわ。いつ、宣戦布告するの?」

「準備が整った瞬間だ」

 そう言い終わるとガルクはスミとの通信を切った



 ガルクとスミが密かに準備をし始めて、半年が経っていた。半年の間に、ガルクは職業柄知り合った、武器商人や傭兵と話をつけていた。スミは元老院メンバーのシュリオンが嫌いな何人かと個別で話をして、協力要請をしていた。だけど、そんな二人の元に、準備の手を止めてしまうような出来事が起こってしまった

「ガルク!シュリオンから聞いた?!」

「あぁ。大変なことになってしまった!」

「行きましょう!」

「今から、そっちに空間移動で行く」

 二人は、謀反を起こそうとした相手、シュリオンからの連絡で急いで宮殿に向かった。ガルクもスミも顔面蒼白だった
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