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第二部 エリミア編

82 フェーナと双子

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 フェーナは部屋に入ってくるなり、部屋内をグルグル歩き回った。そして、ブツブツと独り言を言い出した

「昔に戻りたい・・・」

 フェーナがそう言ったのを、ガルクは聞き逃さなかった

「私のせいなの?ガルク・・・。シュリオン・・・」

 フェーナはグルグルと歩き回るのをやめて、部屋から出ていった。その光景を見てた、三人は無表情だった

「早送り」

 ガルクはシュリオンに言い、シュリオンは早送りをした

「戻ってきたわ」

 スミが言うと、シュリオンは早送りをやめた。フェーナの手には先ほど胸に突き刺さっていた鋭利な物が握られていた

「ごめんなさい。二人とも・・・。私のせいで・・・」

 フェーナは、鋭利な物を見つめて、体を動かさなかった

「許して」

 フェーナは、そう小さな声で言うと、手に持っていた鋭利な物を自身の胸に突き刺した

「ハァッ・・・ハァッ!」

 痛みで、体が再生させようとするのを、必死に抗ってる。やがて、その場に倒れ動かなくなった。フェーナが倒れて少しすると、シュリオンが部屋にやって来た

「フェーナ!?おい、嘘だろ!」

 シュリオンはすぐに助けを呼んだ。何があったかを三人は映像を見終えても、理解できていなかった

「本当に自殺しようとしたのか・・・」

「彼女は、ガルクとシュリオンの名前をずっと呟いていたわ」

「俺らが、仲が悪くなったのを自分のせいだと思い込んだのか?」

「フェーナは、そんな事で死のうとするやつじゃない!お前も分かってんだろ!」

「あぁ。だが・・・」

「フェーナちゃんが、強いのは知ってる。けど、彼女も一人の女の子。能力上、人の闇もいっぱい見てきたでしょう。知らなくてもいいこと、触れちゃいけないこと。本当は誰よりも繊細な子なのよ」

 スミの言葉にガルクは納得していなかった

「シュリオン様」

 救命措置をしていた一人がシュリオンに話しかけた

「どうだ?」

「手は施しましたが・・・」

 その言葉を聞いた瞬間に、スミは泣き出し。シュリオンは、絶叫した。ガルクは、フェーナの遺体を見つめたままだった

「シュリオン。フェーナの死体はフェルムスが預かる」

 ガルクがフェーナに近づこうとしたら、シュリオンに腕を掴まれた

「何を言ってる?何で、お前が引き取るんだよ!」

「本当に事件性がないか調べる」

「いい加減にしろよ!あるわけないだろ!自殺したんだよ!」

「だったら、生き返らせればいい」

 ガルクは蘇生措置の存在を思い出した。だが、シュリオンはガルクをおもいっきり殴った

「目を覚ませよ!」
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