上 下
145 / 160
第二部 エリミア編

85 正しい道

しおりを挟む

「なんで、暴れさせることが困難なんだ?」

「近づく前に、エリアに侵入してきた奴らの方がやられる」

「そいつらは、相当馬鹿だったんだろう。正しい知識があれば余裕だな」

「ガルク。僕に、そんな賢い頭脳があると?」

「無いな!けど、安心しろ。ある人を味方につけることを思い付いた。その人が味方なら、リンドルズ学校は足止めどころか、征服できるな」

「誰?」

「僕の恩人。アイリン・クルトナ」

「アイリン・クルトナ?」

「ザルウィン・クルトナの子孫にして、前フェルムス隊長。先代唯一王ガルーダの親友」

「そんな人が味方になってくれるのか?」

「さぁ?」

「確証無いのか?!」

「無いよ。ただ、あの人は正しい未来につくと思ってる」

「アイリンさんが、ガルクを正しくないと思ったら?」

「その時は、その時だ」



 ガルクはクルトナ家に行った。ドードルがいないせいか、とても生活感がない家になってしまっている

「隊長~!隊長~!」

 ガルクは、ひたすら叫んだ

「もう、私は隊長ではないですよ」

 ボソッと小さな声がガルクの背後で聞こえた

「アイリン!」

「珍しい・・・。殺しに来たのですか?」

「殺しに?なんで?!」

 アイリン・クルトナからは以前のオーラが消えていた。すっかり、人生に疲れたおじさんの雰囲気になってしまってる

「あなたが、エリミアに変革をもたらすという噂を聞いたもので・・・。古きものを処分しにきたのかと」

「エリミアに変革・・・。どっから噂を?流石だと思いますよ。引退してもなお、世界の様々な情報を入手しているなんて」

「なら、エリミアに変革をもたらすのは本当なのですか?」

「そのつもりです」

「で、私に協力を?」

 ガルクはアイリンの目を見て、黙り込んだ

「どうしました?」

「すいません。さっき、噂を聞いたと言ってましたが、嘘ですね?」

 アイリンは少し笑った

「あなたも流石ですね」

「とんでもないジジイだな。あなたは、変革をもたらす噂なんか聞いていない。ただ、独自の考察力で、それに気付き、探りをいれただけだ」

「えぇ。あなたが会いに来る理由。フェーナの死。シュリオンとの不仲。スミとの密会。他にもいろいろあるが、総合的に判断すると、さっきの結末が思い浮かんだんです」

「僕のことなど、全てお見通しというわけですか・・・」

「で、私に協力を求めに?」

「えぇ」

「協力してもいいですが、裏切るかもしれませんよ?」

「あなたは、正しいと思う道を歩いていたいだけ。裏切る時がきたなら、僕とあなたが描く正しいの認識が違うだけ。恨みなんかしませんよ」
しおりを挟む

処理中です...