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このあと警察に行くことを願っていると、黒崎が体を拭いてこいと促してくれた。
それに頷いてバックヤードの方へ行き、濡れてしまったエプロンを外していると。
「尚里、タオルです」
黒崎から預かってきたらしいタオルを片手に、ルキアージュが扉から入ってきた。
肩越しに小さく振り返ると、彼も微かに濡れた髪の毛が尚里同様にしっとりしている。
「髪拭いた?」
「私より貴方です」
「拭いた方がいいよ」
タオルを受け取るためにルキアージュへ向き直ろうとしたけれど、それより早く。
「ひゃっ」
うなじに指を這わされてびくりと肩を跳ねさせた。
「忌々しい」
いきなりの感触に何をするんだと口を開きかけると、地を這うような声が憎々しげに呟いた。
何だと思った瞬間、肩を掴まれたと思ったら、かり、とうなじに歯を立てられた。
「ちょっ何して」
「こちらも触られていましたね」
肩から手が離れると、大きな手の平が尚里の尻をひと撫でしていく。
「コ、コラー!」
両手をバタバタとさせルキアージュの手が離されると、尚里は眉を吊り上げた。
「変なことするなよ」
「変なことではありません。消毒です」
ルキアージュはキリッとした顔で大真面目に言い放った。
「消毒って」
「尚里に触っていいのは私だけです」
どんな主張だ。
しかし。
(さっきの今なのに気持ち悪くはなかったな)
はて?と内心首を傾げた。
何故だろう。
「……顔?」
「私の顔がどうかしましたか?」
思わず出た結論を呟けば、きょとりとルキアージュが小首を傾げた。
サラリと肩口で切られている銀髪が揺れる。
コンコンとドアの方からノックの音がして考え事から我に返ると、黒崎が顔を覗かせた。
「大丈夫か?」
心配気な問いに頷けば、黒崎はほっとしたように口元を緩めた。
「あいつは二度と現れることはないってさ」
本当に警察に行ったのだろうか。
そんな不安が脳裏をよぎったけれど、この件は忘れた方がいいだろうと尚里は一人結論付けた。
「それでさ、あー……その」
「店のこと?」
言いにくそうに口を開閉させる黒崎に問いかければ、言いにくそうに後ろ頭をかいた。
「店は五日後に閉めることになった。次の人たちの希望なんだ」
あまりにも突然の報告だった。
「そっ……か」
何とか声をしぼり出すと、そっと右手が暖かいものにすっぽりと包まれる。
見れば、ルキアージュが尚里の手をきゅっと握りしめていた。
なんだか慰めてくれているようだ。
「閣下、席を外していただけますか?」
「……わかりました」
黒崎の言葉に頷くと、ルキアージュが手を離した。
思わず体温の離れた指先を寂しく思ってしまって、いやいやと尚里は内心首を振った。
バックヤードを出ていく真っ直ぐな背中を見送ると、ドアが閉まるのと同時に黒崎が尚里に向き直った。
「尚里、あのな」
「大丈夫、また仕事探すし、掛け持ちだって」
「アルバナハルに行け」
あからさまに声を明るくさせれば、静かに黒崎が言い切った。
思わず目を丸くすると。
「一人にするのは心配だし、閣下の目を見ればわかる。あれは本気でお前を恋しい目で見てる、悪いようにはしないだろ」
黒崎の突然の思っても見なかった言葉に、尚里はぽかんと小さく口を開いた。
「俺なんか、そんな」
「お前が家族と希薄なのもあって自信ないのはわかる。でもそんな物まで渡してくるんだ」
チラリと黒崎の視線は尚里の指に輝くトゥルクロイドに注がれている。
いきなり光った宝石に大丈夫なのかと焦ったけれど、ルキアージュが問題ないと言ったので考えないことにした。
マナの使い手が多いアルバナハルの物だ、多少不思議なものがあっても普通なのだろうと納得したのだ。
「本気には断るにしろ何にしろ本気で返せ。相手をしっかり知ってからでも遅くない」
じっと目を見つめられて、今までも何度も助言をくれた黒崎の顔を見返す。
このうえなく真剣な顔は、本当に尚里を思ってくれているのだろう。
「店長は父親みたいだ」
小さく笑えば。
「せめて兄って言えよ」
ちゃかすように笑みが返ってきた。
バックヤードを出て店内に戻ると、フルメルスタはまだ姿がなくルキアージュがカウンターのスツールに腰かけている。
「ほら、今日は濡れてるし帰れ」
ぽんと尚里の背中をルキアージュの方へ黒崎が押し出すと、当然のように彼は尚里の右手をすいと手に取りエスコートした。
その何度されても慣れない行為に思わず黒崎を小さく見やれば、微かに頷かれる。
「では黒崎」
「はい、立ち寄っていただいてありがとうございました」
黒崎がぺこりと頭を下げるとルキアージュがひとつ頷く。
エスコートされるままに店のドアを開ければ、フルメルスタが停車している車のドアを開けて待っていた。
それに乗り込みホテルに戻ると、部屋につくなりルキアージュによってバスルームへエスコートされてしまった。
「しっかり温まってください」
ルキアージュも濡れているのにとは思ったけれど、さっさと出て行ってしまったので尚里は服と指輪を籠に入れると浴室へと入った。
たっぷりとお湯の張られた浴槽に、ざっと洗った体を温めるため沈めれば指先がじんわりとしていく。
湯の中で手をにぎにぎとしながら尚里は黒崎の言葉を思い出していた。
「本気には本気で、か」
ルキアージュがどんな風に自分を見ているのかなんて、尚里にはわからない。
騙されている可能性だとかも考えたけれど、尚里を騙す意味がないしと思う。
「はなよめ、ねえ」
男なんだけどな、とか、何で俺なんだ、とか色々と疑問ばかりがあるけれど。
「ルキを知ってからでも遅くない、か」
顎まで浸かって出た結論だった。
そうと決まればアルバナハルに行くことをルキアージュに伝えようと、尚里は湯舟から立ち上がった。
脱衣所に行けば、いつの間にかバスローブが置かれてその上に指輪がある。
バスローブを着たあとに迷って左手にトゥルクロイドを着けた。
もの凄く抵抗感はあるけれど着けないのもなくしたらと思うと怖いのだ。
応接間に行くと、ルキアージュが尚里に気が付いた。
「温まりましたか?」
「うん」
「こちらへ」
ソファーへと促されたので言われるままに座ると。
「失礼」
「わあっ」
ぐいと右の膝裏に手を入れられ軽く足を持ち上げられた。
バスローブの裾がわれ、日にあたっていない内ももを露わにされた。
「火傷は大丈夫なようですね」
何をするんだと言いかけて、ほっとしたような声音に口を噤む。
下着はかろうじて見えていないけれど、右の足だけ太ももまでさらけ出されているのが、妙に羞恥心を煽る。
「あの、大丈夫だか、ひぇっ」
耳がじわじわと熱くなっていくのを感じて言外に離してほしいと言いかけたけれど、ルキアージュが長い指を内ももにゆったりと這わせたことで、小さく悲鳴が漏れた。
「痛くありませんか?」
「大丈夫!痛くなんて全然ない」
ゆるゆると指が肌を撫でることに、カッと頬まで赤くなった尚里はルキアージュの手を離させようと手を伸ばしたけれど。
「よかった」
「ひゃあ」
火傷をした場所に唇を寄せられて今度こそ大きな悲鳴を上げた。
「そ、そういうのは駄目だ!」
尚里の慌てようにくすくすと笑うと、ルキアージュはすぐに唇を離して抱えていた膝裏からも手を引いた。
バッとバスローブの裾を直してソファーの上に足を抱え込む。
「ふふ、すみません」
悪いと思っていないだろう。
機嫌よく笑うルキアージュが尚里の隣に腰を降ろし、すいと長い足を組んだ。
「夕食は何を食べたいですか?」
「ええっと、その前に言いたいことが」
言いにくそうに口を開けば、きょとんと混じり気のない青い瞳が尚里を見つめる。
「その、なんていうか、一緒に行こうかと」
「行く、とは」
期待の籠った瞳がキラキラと煌めいている。
「アルバナハルに」
「尚里!」
言った瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
背中に回された手が大きいと思ったら、それに比例して大きな体にすっぽりと包まれてしまう。
頬に触れる銀髪がくすぐったい。
「本当に?」
「旅行、あくまで旅行だから!」
あまりの弾んだ声に慌てて釘を刺すけれど。
「かまいません、嬉しいです」
弾んだ声はますます嬉しそうな声音になった。
ルキアージュの腕の中で顔を上げると、羽根のように軽く唇を啄まれた。
「ふあ!」
吃驚することに、ファーストキスを奪われた。
別に後生大事に守っていたわけではないけれど。
「は、はじめて」
「え!」
ルキアージュがまさかというように声を上げた。
「尚里は唇を合わせた事はないのですか?」
「……悪かったな」
ぷいと顔をそむけると、そっと頬に手を当てられ顔を合わせられた。
「悪くなんてありません。私が初めてなんてとても嬉しいです。ナレージャロに感謝をしたいくらいに」
「いや、それは大げさじゃないか」
「大げさじゃありません」
そっと鼻が触れるほどに顔を近づけられて、尚里は内心ドキドキと心臓が鳴りだしたことに驚いた。
(いや、顔がいいからだ!多分)
すべてをルキアージュの顔のせいにしていると。
「やり直しをさせてください」
内緒話をするように近距離でそっと囁かれ、尚里はとうとう顔を真っ赤にさせた。
「く、くちは駄目だ」
胸に手をついて突っ張りルキアージュから距離を取ろうとしたけれど。
「じゃあ口以外ならいい?」
蠱惑的に微笑まれた。
「だ、だめ」
「ふふ、可愛い」
やっとのことで拒絶をしぼり出したけれど、甘やかな眼差しと声が容赦なく返された。
それに頷いてバックヤードの方へ行き、濡れてしまったエプロンを外していると。
「尚里、タオルです」
黒崎から預かってきたらしいタオルを片手に、ルキアージュが扉から入ってきた。
肩越しに小さく振り返ると、彼も微かに濡れた髪の毛が尚里同様にしっとりしている。
「髪拭いた?」
「私より貴方です」
「拭いた方がいいよ」
タオルを受け取るためにルキアージュへ向き直ろうとしたけれど、それより早く。
「ひゃっ」
うなじに指を這わされてびくりと肩を跳ねさせた。
「忌々しい」
いきなりの感触に何をするんだと口を開きかけると、地を這うような声が憎々しげに呟いた。
何だと思った瞬間、肩を掴まれたと思ったら、かり、とうなじに歯を立てられた。
「ちょっ何して」
「こちらも触られていましたね」
肩から手が離れると、大きな手の平が尚里の尻をひと撫でしていく。
「コ、コラー!」
両手をバタバタとさせルキアージュの手が離されると、尚里は眉を吊り上げた。
「変なことするなよ」
「変なことではありません。消毒です」
ルキアージュはキリッとした顔で大真面目に言い放った。
「消毒って」
「尚里に触っていいのは私だけです」
どんな主張だ。
しかし。
(さっきの今なのに気持ち悪くはなかったな)
はて?と内心首を傾げた。
何故だろう。
「……顔?」
「私の顔がどうかしましたか?」
思わず出た結論を呟けば、きょとりとルキアージュが小首を傾げた。
サラリと肩口で切られている銀髪が揺れる。
コンコンとドアの方からノックの音がして考え事から我に返ると、黒崎が顔を覗かせた。
「大丈夫か?」
心配気な問いに頷けば、黒崎はほっとしたように口元を緩めた。
「あいつは二度と現れることはないってさ」
本当に警察に行ったのだろうか。
そんな不安が脳裏をよぎったけれど、この件は忘れた方がいいだろうと尚里は一人結論付けた。
「それでさ、あー……その」
「店のこと?」
言いにくそうに口を開閉させる黒崎に問いかければ、言いにくそうに後ろ頭をかいた。
「店は五日後に閉めることになった。次の人たちの希望なんだ」
あまりにも突然の報告だった。
「そっ……か」
何とか声をしぼり出すと、そっと右手が暖かいものにすっぽりと包まれる。
見れば、ルキアージュが尚里の手をきゅっと握りしめていた。
なんだか慰めてくれているようだ。
「閣下、席を外していただけますか?」
「……わかりました」
黒崎の言葉に頷くと、ルキアージュが手を離した。
思わず体温の離れた指先を寂しく思ってしまって、いやいやと尚里は内心首を振った。
バックヤードを出ていく真っ直ぐな背中を見送ると、ドアが閉まるのと同時に黒崎が尚里に向き直った。
「尚里、あのな」
「大丈夫、また仕事探すし、掛け持ちだって」
「アルバナハルに行け」
あからさまに声を明るくさせれば、静かに黒崎が言い切った。
思わず目を丸くすると。
「一人にするのは心配だし、閣下の目を見ればわかる。あれは本気でお前を恋しい目で見てる、悪いようにはしないだろ」
黒崎の突然の思っても見なかった言葉に、尚里はぽかんと小さく口を開いた。
「俺なんか、そんな」
「お前が家族と希薄なのもあって自信ないのはわかる。でもそんな物まで渡してくるんだ」
チラリと黒崎の視線は尚里の指に輝くトゥルクロイドに注がれている。
いきなり光った宝石に大丈夫なのかと焦ったけれど、ルキアージュが問題ないと言ったので考えないことにした。
マナの使い手が多いアルバナハルの物だ、多少不思議なものがあっても普通なのだろうと納得したのだ。
「本気には断るにしろ何にしろ本気で返せ。相手をしっかり知ってからでも遅くない」
じっと目を見つめられて、今までも何度も助言をくれた黒崎の顔を見返す。
このうえなく真剣な顔は、本当に尚里を思ってくれているのだろう。
「店長は父親みたいだ」
小さく笑えば。
「せめて兄って言えよ」
ちゃかすように笑みが返ってきた。
バックヤードを出て店内に戻ると、フルメルスタはまだ姿がなくルキアージュがカウンターのスツールに腰かけている。
「ほら、今日は濡れてるし帰れ」
ぽんと尚里の背中をルキアージュの方へ黒崎が押し出すと、当然のように彼は尚里の右手をすいと手に取りエスコートした。
その何度されても慣れない行為に思わず黒崎を小さく見やれば、微かに頷かれる。
「では黒崎」
「はい、立ち寄っていただいてありがとうございました」
黒崎がぺこりと頭を下げるとルキアージュがひとつ頷く。
エスコートされるままに店のドアを開ければ、フルメルスタが停車している車のドアを開けて待っていた。
それに乗り込みホテルに戻ると、部屋につくなりルキアージュによってバスルームへエスコートされてしまった。
「しっかり温まってください」
ルキアージュも濡れているのにとは思ったけれど、さっさと出て行ってしまったので尚里は服と指輪を籠に入れると浴室へと入った。
たっぷりとお湯の張られた浴槽に、ざっと洗った体を温めるため沈めれば指先がじんわりとしていく。
湯の中で手をにぎにぎとしながら尚里は黒崎の言葉を思い出していた。
「本気には本気で、か」
ルキアージュがどんな風に自分を見ているのかなんて、尚里にはわからない。
騙されている可能性だとかも考えたけれど、尚里を騙す意味がないしと思う。
「はなよめ、ねえ」
男なんだけどな、とか、何で俺なんだ、とか色々と疑問ばかりがあるけれど。
「ルキを知ってからでも遅くない、か」
顎まで浸かって出た結論だった。
そうと決まればアルバナハルに行くことをルキアージュに伝えようと、尚里は湯舟から立ち上がった。
脱衣所に行けば、いつの間にかバスローブが置かれてその上に指輪がある。
バスローブを着たあとに迷って左手にトゥルクロイドを着けた。
もの凄く抵抗感はあるけれど着けないのもなくしたらと思うと怖いのだ。
応接間に行くと、ルキアージュが尚里に気が付いた。
「温まりましたか?」
「うん」
「こちらへ」
ソファーへと促されたので言われるままに座ると。
「失礼」
「わあっ」
ぐいと右の膝裏に手を入れられ軽く足を持ち上げられた。
バスローブの裾がわれ、日にあたっていない内ももを露わにされた。
「火傷は大丈夫なようですね」
何をするんだと言いかけて、ほっとしたような声音に口を噤む。
下着はかろうじて見えていないけれど、右の足だけ太ももまでさらけ出されているのが、妙に羞恥心を煽る。
「あの、大丈夫だか、ひぇっ」
耳がじわじわと熱くなっていくのを感じて言外に離してほしいと言いかけたけれど、ルキアージュが長い指を内ももにゆったりと這わせたことで、小さく悲鳴が漏れた。
「痛くありませんか?」
「大丈夫!痛くなんて全然ない」
ゆるゆると指が肌を撫でることに、カッと頬まで赤くなった尚里はルキアージュの手を離させようと手を伸ばしたけれど。
「よかった」
「ひゃあ」
火傷をした場所に唇を寄せられて今度こそ大きな悲鳴を上げた。
「そ、そういうのは駄目だ!」
尚里の慌てようにくすくすと笑うと、ルキアージュはすぐに唇を離して抱えていた膝裏からも手を引いた。
バッとバスローブの裾を直してソファーの上に足を抱え込む。
「ふふ、すみません」
悪いと思っていないだろう。
機嫌よく笑うルキアージュが尚里の隣に腰を降ろし、すいと長い足を組んだ。
「夕食は何を食べたいですか?」
「ええっと、その前に言いたいことが」
言いにくそうに口を開けば、きょとんと混じり気のない青い瞳が尚里を見つめる。
「その、なんていうか、一緒に行こうかと」
「行く、とは」
期待の籠った瞳がキラキラと煌めいている。
「アルバナハルに」
「尚里!」
言った瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
背中に回された手が大きいと思ったら、それに比例して大きな体にすっぽりと包まれてしまう。
頬に触れる銀髪がくすぐったい。
「本当に?」
「旅行、あくまで旅行だから!」
あまりの弾んだ声に慌てて釘を刺すけれど。
「かまいません、嬉しいです」
弾んだ声はますます嬉しそうな声音になった。
ルキアージュの腕の中で顔を上げると、羽根のように軽く唇を啄まれた。
「ふあ!」
吃驚することに、ファーストキスを奪われた。
別に後生大事に守っていたわけではないけれど。
「は、はじめて」
「え!」
ルキアージュがまさかというように声を上げた。
「尚里は唇を合わせた事はないのですか?」
「……悪かったな」
ぷいと顔をそむけると、そっと頬に手を当てられ顔を合わせられた。
「悪くなんてありません。私が初めてなんてとても嬉しいです。ナレージャロに感謝をしたいくらいに」
「いや、それは大げさじゃないか」
「大げさじゃありません」
そっと鼻が触れるほどに顔を近づけられて、尚里は内心ドキドキと心臓が鳴りだしたことに驚いた。
(いや、顔がいいからだ!多分)
すべてをルキアージュの顔のせいにしていると。
「やり直しをさせてください」
内緒話をするように近距離でそっと囁かれ、尚里はとうとう顔を真っ赤にさせた。
「く、くちは駄目だ」
胸に手をついて突っ張りルキアージュから距離を取ろうとしたけれど。
「じゃあ口以外ならいい?」
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「だ、だめ」
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