12 / 47
12
しおりを挟む
向かい合った顔が近い。
先生が俺の額にコツンと額を当ててきた。
そのままフッと唇が合わさる。
触れるだけですぐに離れて行った唇を俺はまた追いかけたい衝動に駆られて。何を考えているんだろうと小さく頭を振った。
「眠れない? 眠剤飲んだかな?」
でも俺は先生に抱きしめられている温もりだけで睡魔が襲ってきて。
あんなに眠れなかったのにどうしてしまったんだろうと思う。
「ん、眠いです……先生……」
「ゆっくりお休み」
先生が俺を抱きしめる腕に力を込めて。
瞳から一筋の涙が伝っていた。それを先生が拭ってくれたような気がしたけれど、俺はもうまどろみの中にいた。
翌朝──。
目を覚ますと先生がキッチンに立っていて。
「す、すみません先生! 俺っ」
「おはよう。気にしないの」
微笑みながらダイニングテーブルに促されて。
先生が作ってくれた、だし巻き卵と焼き鮭とご飯をご馳走になる。
食事しながら俺は今日はどうしようかと、ふと思った。昨夜は先生が一泊させてくれたけれど、先生はこれから仕事があるわけで。
俺はまたあの部屋に帰らなければいけない? と思ったらたちまち不安になってしまって。
「あの……俺、今、大学春休み中でずっと暇なんです。もし迷惑じゃなかったら……先生の帰り待っててもいいですか?」
恐る恐る尋ねると先生がフッと笑った。
「僕も八神さんが居てくれたら嬉しいな」
その言葉に俺はたちまち心が軽くなって。
もうあの部屋に帰らなくていいんだ。
彰成に怯えなくていいんだ。
そう思うと心の痞えが取れて行くようだった。
先生が俺の額にコツンと額を当ててきた。
そのままフッと唇が合わさる。
触れるだけですぐに離れて行った唇を俺はまた追いかけたい衝動に駆られて。何を考えているんだろうと小さく頭を振った。
「眠れない? 眠剤飲んだかな?」
でも俺は先生に抱きしめられている温もりだけで睡魔が襲ってきて。
あんなに眠れなかったのにどうしてしまったんだろうと思う。
「ん、眠いです……先生……」
「ゆっくりお休み」
先生が俺を抱きしめる腕に力を込めて。
瞳から一筋の涙が伝っていた。それを先生が拭ってくれたような気がしたけれど、俺はもうまどろみの中にいた。
翌朝──。
目を覚ますと先生がキッチンに立っていて。
「す、すみません先生! 俺っ」
「おはよう。気にしないの」
微笑みながらダイニングテーブルに促されて。
先生が作ってくれた、だし巻き卵と焼き鮭とご飯をご馳走になる。
食事しながら俺は今日はどうしようかと、ふと思った。昨夜は先生が一泊させてくれたけれど、先生はこれから仕事があるわけで。
俺はまたあの部屋に帰らなければいけない? と思ったらたちまち不安になってしまって。
「あの……俺、今、大学春休み中でずっと暇なんです。もし迷惑じゃなかったら……先生の帰り待っててもいいですか?」
恐る恐る尋ねると先生がフッと笑った。
「僕も八神さんが居てくれたら嬉しいな」
その言葉に俺はたちまち心が軽くなって。
もうあの部屋に帰らなくていいんだ。
彰成に怯えなくていいんだ。
そう思うと心の痞えが取れて行くようだった。
32
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる