覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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 美聖みさとがぱぁっと華やいだように笑って「時也ときや!」と頬を紅潮させて幸せの絶頂と言った様子で浮足立っている。

「美聖さん、いらっしゃい。……お? おお? そこの美青年は?」

 ……と、俺の顔を覗き込んできたナンバーワンホストの時也さんとやらは、神秘的な白髪、グレーがかった瞳(カラーコンタクトだろうか?)、造り物のように神々しさすら感じる整った容姿の男性だった。

 モデルなんて仕事をしていると容姿の美しい女性や男性なんて見慣れているはずだけれど、飛び抜けていた。

 正直、一目で見惚れた。

 男しか相手に出来ない俺に彼の容姿は眩しすぎて、ただただ純粋に隙のない美しさに見惚れてしまった。

 そして、何故か時也さんも惚けたように俺を見つめてくるので何だかそわそわしてしまう。

「私の弟のひじり。時也を紹介したくて連れてきたの……って、時也? 聞いてる?」

「――あ、ああ。わりぃ、なんでもねぇ。美聖さんも美人だけど弟くんも美人とはすげぇ姉弟だな。よろしくな、聖ちゃん。俺はくすのき 時也ときや。二十九歳。聖ちゃんはいくつなんだ? おじさん気後れしちゃうかもしんねぇ」

 なんて、〝おじさん〟とはかけ離れた美しい男性は、口を開くと多少粗野なギャップも持ち合わせているようだ。

(っていうか、俺の顔に何かついてた?)

 軽やかな所作で美聖の隣に腰掛けた時也さんは、そんな風に好奇心に満ちた瞳で俺を見つめてきた。

「初めまして……。神谷かみや ひじりです。二十歳です。姉がお世話になっているようで。時也さんみたいな人に美人なんて言われたら皮肉のようですよ」

「俺は世辞も皮肉も言わねぇよ? 聖ちゃん。俺、年下のかわい子ちゃんに弱いんだよなぁ。もう条件反射のレベルでガシーッ!抱きしめたくなるんだよ。あ、そっちの趣味はねぇよ? つーわけだから美聖さん共々よろしく」

 パチッと片目を閉じて見せる様に俺はまた黙って見惚れていると、美聖が「ちょっと時也ぁ!」と唇を尖らせた。

「聖とばっか話してないで私に構ってよ!」

(美聖、うるさいな……)

 ……とか思っている俺は完全に目の前のナンバーワンホストに心を射抜かれてしまったようだった。

 ――こんなに胸が高鳴ったのはいつ以来だろうか?
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