覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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「あっ……くっ……」

 真夜まやくんが帰った後で、すぐに寝室に連れ込まれて、時也ときやさんはたった一回で覚えたらしい男同士のセックスを操り、快楽の渦に引きずり込むように身を焦がされる。

 柔らかなひだに招いた時也さんの灼熱が、俺の体内でもつれ合い、け合い、熱さで全身がただれるような強烈な快感に見舞われ、何もかもとろけていき、熱の海に溶け出す。

 激しく身体を揺さぶられる度、顎は天を仰いで背はしなり、縋り付く時也さんの背に幾重いくえもの爪痕を残してしまう。

 今にも弾けようとしている熱い身体とは裏腹、頭の中はこの腕が先刻まで美聖みさとを抱いていたと、どこか冷静に捉えている自分がいることに気が付く。

 けれど、情動的に身体を求められればすぐに性感が高まって、頭の中の冷静な思考はぐにゃりと歪み、快楽で脳まで煮え立ってけるから、救われているのかもしれない。

 抱え上げられている太腿の内側にキツく吸い付かれると濡れた音で肌が鳴って、追い立てるように俺の両腿を引きずり寄せ、結合を深めてくる。

「……っ、ひじりちゃん、おっ先どうぞ?」

 言いながら、先の極致きょくちを促され、ピッチを早めた腰が頂点へ追い立てるから、俺のつま先はピンと糸が張ったように引きつれ、ほとばしりを受け取る準備をしようと、肉色の欲望を食い締めて離さないとばかりに肉襞にくひだが無意識に彼を搾り取る。

「っ、あ! と、きやさ……く、――んっ!」

 俺の吐き出した粘液が腹の上に飛び散った刹那、言葉どおり後を追うように時也さんが短く息を吐いて激情の飛沫で体内を濡らすから、絶頂の名残りにひくつく粘膜に残滓ざんしが染み入る感覚に身体は痙攣を起こす。 

 余韻を飾るみたいに吸われた唇に、荒い呼吸を奪い盗られながらギュッと背に縋ったら、時也さんも俺を抱きしめ返してくれて、その腕には確かに温もりを感じる。

 けれど――。

 俺たちは〝恋人〟にはなりきれない。

「はー……マジ燃えた。っけど、今日は真夜がどうしても会いたいっていうから無理して来させちまって悪い。聖ちゃんも早朝に呼び出したら疲れちゃうよな。毎日のように朝まで身体空かねぇから……明日からはちゃんと控える。聖ちゃんに無理させたくねぇからさ。ごめんな?」

(それって……明日からは殆ど会えないってこと?)

「……次は、いつ時也さんに会えますか?」

「んー……申し訳ないことにアフター入らなかった日としか言えねぇんだ……。帰ってくんの朝だから、こんな風に早朝に聖ちゃん呼び出すかになっちまうんだよ。店には十六時よじまでに行けばいいんだけど、起きてから出勤までは同伴あってさ……。本当に悪い。俺も出来ることなら毎日会いてぇんだけど……マジでごめんな?」

 時也さんは覇王という絶対的立場があるんだから、俺が独占出来ないことは、最初からわかっていたはずだ。

 けれど、頭の中にイメージが浮かんだ。

 時也さんを刺し、時也さんに刺される自分が――。
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