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「……美聖」
翌日、まだICUに入ったままの美聖を見舞いに行くと、固くまぶたを閉じて眠りについていて、今すぐにでも目が覚めるのではないかと思うけれど、名前を呼んでも返事はない。
「……美聖、俺、時也さんと離れたよ。だからもう不幸は終わるはずだよ。早く目を覚ましてよ」
ポツンと声を掛けてみても、美聖は微動だにしない。
「ごめん……。俺が不幸にしてごめん。時也さんと離れただけじゃ許されないかな? 俺が消えたら楽になれる? 美聖の代わりに俺が消えたら、美聖は起きてくれる?」
――俺さえいなければみんな幸せだ。
***
「真夜くん、こんにちは」
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「あ! 聖くん! また来てくれたの?」
ベッドのそばには恋人の宇大さんも居て、俺はぺこりと会釈すると「こんにちは、聖くん」と挨拶してくれる。
「宇大さんもいらしてたんですね……お邪魔でしたか?」
「いいや。今日はまだ出勤まで時間があるから、時也さんとの惚気話でも聞きたいところだな?」
「俺も聞きたーい!」
宇大さんと真夜くんに好奇心たっぷりの視線を注がれて俺は思わず俯きながら、「二人にお願いしたいことがあります」と切り出した。
「――お願い?」
真夜くんがことりと子首を傾げて、宇大さんは何か探るようにじっと俺の瞳を覗き込んでくる。
「時也さんに、さようならを伝えてもらえませんか? もう、俺からは連絡出来ないので……」
「は? なんでさようならなの? 時也さんと何かあったの?」
「……俺が時也さんと関係を持ったせいで姉が自殺未遂をして。目が覚めないんだ。俺がそばにいたら、やっぱり時也さんを不幸にするばかりだから……離れることにした」
真夜くんと宇大さんが顔を見合わせて、それから弾かれたように二人の視線が飛んできて、思わず俯いてしまう。
「……時也さんはそれで納得しているのか?」
呆然としている真夜くんよりも先に声を掛けてきたのは、やはり大人なのだろう、宇大さんだった。
「会いたいとは言われましたけど……俺がそばにいたら姉は目覚めません。時也さんにも仕事を疎かにさせたくない。このまま静かに俺は身を引こうと思っています。それに俺――時也さんを殺そうとしました」
その言葉に、二人がひゅっと息を詰めた。
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