覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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 キスをするのと、身体の中を掻き乱される感覚が似ていると思うのは、きっと粘膜をもてあそばれるという共通点だ。

 くちゅ、と濡れた音を立てながら快楽の受け口から引き抜かれていく指と反比例すように、キスは咥内こうないみ尽くそうと蹂躙じゅうりんされるから喉奥が苦しい。

 身体の奥深くが時也ときやさんの愛に飢え、濃密な繋がりを知っている彼の色に染められた場所が疼いている。

 ほどかれない口付けで催促することも出来ず、わずかに空気が漏れる唇の隙間から、限界なのだとむせたら、時也さんはほころびきっている淫らな器にけつくような劣情を一息に突き立てるから。

 十分すぎるほど高められていた身体は、それだけで腹に粘液を吐き出し、吐精後の持て余すような倦怠感に浸る隙すら与えられず、肌を打ち付ける乾いた音は加速するけれど、俺も待って欲しくなどない。

 時也さんと繋がれる一分一秒も無駄にしたくない。

 中途半端に四肢に絡みついている衣服どころか皮膚の存在すらもどかしく、身の内までけ合いたい。

 激情のまま支配しようとする肉に、際限を知らない俺の欲望は、中を猛然と刺衝ししょうされる度に再び頭をもたげ始め、すぐに浅ましくも二度目の精を吐き出したいのだと快楽の涙を流しながら訴えている。

 身体を串刺しにされたまま、やっと胸が苦しいくらいにおかされていた唇が放され、息継ぎと、嬌声きょうせいを吐き出すことを許された。

「俺はマジヤベェけど、……ひじりちゃんはどうっすかっ? まぁ、一発出してんのにこんだけドロドロにしてりゃあ聞くまでもねぇかっ」

 色欲に浮かされた男のれた声はどうしてこんなにもあだめいているのだろうか。

 辱められる言葉も欲情を高めるスパイスだ。

 身体を揺さぶられつつ、二人の腹の間で育ち、蜜をしたたらせている俺の情欲に彼の指が絡まれば、指紋の存在すら感じられるほど敏感になっているのがわかる。

「時也さ、と、きやさんっ……も、出してっ……俺の中っ……」

 自分が欲を吐き出すことよりも、自分の中に時也さんを刻み込んで欲しい飢餓感に抗えない。

 互いの身体の間に誰も入り込ませたくない、熱い淫蜜を注がれるのは俺だけであって欲しい、そんな独占欲を、心の中が、頭の中が、身体中が叫んでいる。
 
 彼を受け入れている腹にグッと力を込めたら時也さんが眉根を寄せるから、早く、早く、と最奥を濡らされたくて仕方がない。

「聖ちゃん……どした? 燃えすぎじゃね?」

 ――俺だけに飲み込ませて欲しい。

 ただそれだけの気持ちで浅ましく腰を振り、柔肉やわにくで搾り取れば、時也さんは「ヤッベ……」と短く息を吐いて俺の渇きを潤した。

 その瞬間、全てが俺のものになったのだと錯覚してしまったこの心は許されるだろうか――。
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