覇王はトラウマごと疫病神を愛しすべてを覆す

ちろる

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「時也さーん!」

 それからすぐに医師を呼んで、振戦しんせん以外の後遺症は確認されないと判断され、時也さんは今度こそ医師により呼吸器マスクを外された。

 俺の後を追いかけてきた真夜まやくんが病室に入るなり、時也さんに縋り付いて涙をこぼしている様子に、散々泣いたのにまた瞳が潤む。

「おーおー、可愛い真夜よ。俺がいなくて寂しかったな? つーか、俺がいない間にナンバーワンになったか?」

「もう、何言ってんの! 時也さん! 店全焼して絶賛無職ですよ! 時也さんも無職なんですからね!」

 真夜くんの言葉を聞いた時也さんは、何か心の底から愉快でたまらないと言った様子でククッと笑った。

「――なぁ、聞いた? 聖ちゃん。俺、もう聖ちゃんだけのモンになったみてぇだ。結婚してくれねぇかな?」

「わーお! プロポーズは二人っきりの時にしてくださいよ!」

「うるせぇな。神父になれよ、真夜。姫、返事は?」

「OK以外の選択肢があるんですか?」

「バーカ。NOなんて言わせねぇって言ってんだろ?」

 時也さんは不敵に笑んで、「真夜。ホラ、神父」と促すと、真夜くんは一瞬キョトンと瞳を見開いて、それから楽しそうに口を開いた。

「病める時も健やかなる時も、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「誓いまーす! 聖ちゃんは?」

「……誓います」

 言ったら、真夜くんが「誓いのキッスをどうぞ!」とはやし立ててきたけれど、時也さんは「バーカ」と真夜くんの頭を小突こづいた。

「俺たちのキスシーンは会員のみが視聴できるんだよ。でもまぁ――」

 そこですぐに時也さんは俺の腕を引き寄せて、頬に口付けを落とし不敵に笑んだ。

「可愛い真夜くんには特別に広告だけ見せよう。この続きは聖ちゃんの羞恥審査を通過したら見せてやる」

「えっ! 聖くん、俺、審査通過出来る!?」

 真夜くんの好奇心たっぷりの瞳に、俺は頬を赤らめつつ、それでも迷うことなく時也さんの唇を誓うように塞いだ。

「審査通過おめでとう、真夜くん。ディープなキス編は次回乞うご期待!」

「やったー! 楽しみー!」

「ありませんってば!」

 本当に変わらない時也さんの様子に俺は溜め息を吐きながら、それでも、こんな彼が大好きなんだと口元をほころばせた。
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