人生の追憶〜私のReal Life〜

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未来からの告知〜見えない何かのお告げ〜

5話 トラウマ

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人は何故、人を傷付けるのか。故意でも無意識でも傷付けられた人は傷の深さによってはトラウマになることがある。

思ってもいない暴言、暴力は特に一生消えない心の傷として残り、消えることは無い。
私のトラウマはたくさんある。一番はお母さんから受けた傷だ。

幼少期の頃から思春期になるまでの間、日に日にエスカレートしていくお母さんの暴言や暴力に耐えてきた。普通なら死んでいてもおかしくない出来事もあったが奇跡的に生きていた。
きっとお母さんも同じことを体験してきたのかもしれないし、ただ私が憎くてストレスの発散にとしか思っていなかったのかもしれない。

ある時は手足を縛られ猿ぐつわをされ、暗くて埃臭い押し入れに何時間もずっと閉じ込められたせいで閉鎖恐怖症になった。今も少し狭いとこが怖く、暗いところは苦手だ。
特にエレベーター、トイレ、クローゼット、押し入れなど狭いとこで箱詰めされるような場所は気持ちが落ち着かなくなり気持ち悪くなる。だからあまり長くいることが出来ない。

鉄棒から落ちて右腕を骨折してからは高所恐怖症になり、上から下へ落ちるものや下から上に行く乗り物、高い場所が怖くなった。

正直、人も怖い。何を考え、何をしてくるか分からない。人を普通の顔で傷付け嘲笑う、もはや人では無いかもしれない存在が怖い。

信じれるのは自分だけだった。未だに体験してきた恐怖を思い出すと震えるくらいだ。ホラーより怖いし怖かった。人に殺される恐怖も分かるが殺人未遂で生きていたこと自体が一番最強のトラウマかもしれない。

正当防衛で人を殺してしまった、自分を守るためにしたことだなんて言って行動していたら私は生きていなかったかもしれない。

人を傷付けるのが嫌で、でも何で私だけこんな目に合うの?誰も理解してくれない、誰にも話せない、気持ちを晴らして楽になりたい…。
そう思いながら自分を痛めつける人を私は見てきた。痛くて辛くて生きてる心地がしない、誰かを殺したいけど殺せないそんな気持ちと葛藤しながら私も生きてきた。

なぜ、あの時殺さなかったか?なぜ、あの時もっと自分より相手と戦わなかったか?そう考えた時に私は思った。
いつか見返したい、生きてその人達の無様な姿を拝みたいと思った。怒りや悲しみが私の生きる力になり支えでもあった。そんな人生を送ってきた。

言葉通り、悪いことした人には天罰(因果応報)が下るそうだ。私はその因果応報を信じていた。

お母さんは優しい時もあった。いつしか精神が病み、精神病が酷くなり、鬱もあり自意識過剰となり周りのことから目や耳を塞ぎ、外出もしなくなり引きこもるようになってしまった。それから情緒不安定で喜怒哀楽が激しくなり暴力や暴言、ものを投げたり八つ当たりがひどくなっていった。それからしばらくしてお母さんは病気になり苦しみながら亡くなって行った。

そんなお母さんを22~23年間見続けてきた私は心の中で安心と憎しみと悲しみでただ泣きながら見送った。常に神経質だったお母さんの口癖は「あんたなんかうちの子じゃない、産まなきゃ良かった、生まれて来なければ良かった」そんなことを近所に聞こえるようにでかい声で叫びまくっていた時もあった。
怒ると口を聞かなくなり、何日も話さなかった日なんて数え切れないくらいだ。

機嫌がいいときはいつもにこにこしていた。お母さんが病気になってからは少しだけ機嫌が落ち着いていた。亡くなる前日にまた些細なことで喧嘩してお母さんは不貞腐れてしまい泣き出してしまった。私はそれを無視してそのまま家に帰ってきた。その次の日の朝にお母さんが亡くなるとも知らずに…。

私が人生で一番後悔したことだった。今まで私はお母さんに反抗して家を出て帰らなかったり、悲しませて泣かせてしまったこともあった。本当は病気で辛くて悲しくて寂しくて怖かったと思う。今思えば痛いのに治療も我慢していた。また平気な振りをして元気な振りをして手を振りながら帰りを病室から見送っていたお母さんの顔が今でも忘れられない。
きっと毎日隠れて泣いていたのかもしれない。

死にたくない、生きていたい気持ちは痛いほど分かっていた。けど、喧嘩別れをしてしまい、きちんとお母さんに向き合うことが出来なかったことだけが後悔として未だに心に残っている。

あんなに憎み、嫌いで死んでしまえばいいと毎日思っていたお母さんを失ってやっと気付いたことの方が多かった。

神様は本当にいるのかもしれない、人は傷付けた人だけがいい思いをするんじゃなく平等に痛み分けをしているのかもしれない、苦しめた分苦しみを与えているのかもしれないと私は思う。

人生いい事ばかりじゃない。悪いことばかりじゃない。辛いこともあり、嬉しいこともある。だけど、私には悲しさしか無かった人生が長かった。自分でそう選択した道だったのかもしれない。これは生きていくための試練かもしれない。

きっと強くて折れない、世の中に負けない私にしたかったのかもしれない。昔と今は変わるし変えられる。お母さんはもうトラウマではなくなった。今はただ、お母さんに会いたい。会って謝りたい、それだけだ。
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