僕、魔女になります‼︎

くりす

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第5章〜魔法講義(1時間目)〜

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 『徳島魔法科大学校』
 全国にある魔女育成大学の中でも、学園長の国への影響力が大きいため様々な制度が学園長の方針で気ままに導入されている一風変わった大学である。その中でも有名なのが2人1組のパートナーで学校生活を送るペア制度である。

 そんな中、僕たち新入生はおそらく学園長の方針で導入された4人1組のパーティ制度で学校生活を送るように主担任の月兎先生に告げられる。
 「つまり、みんなにこの1ヶ月中にやってもらいたいのは、先ず最初に今いるパートナーと共に他のペアとパーティを組んでもらうことです!その後、作ってもらったパーティの能力を先生たちが把握するために、私か稲葉先生のどちらかと2回実戦試験を受けてもらうよ♪」
 「期限としまして、パーティ作成が3週間、実戦試験を残りの約1週間で実施します。期限内にパーティが出来なかったペアはこちらでパーティを作ります。また、実戦試験の成績に応じて、4月からの正式な入学時に入学金としてポイントを付与しますので、頑張って下さい。」
 「さらに!1番優秀だったパーティーには学園長から特別報酬が出るよ♪」
 月兎先生と稲葉先生から新制度と実戦試験の説明を受け、生徒たちは各々報酬への期待や新制度への不安等様々な感情になった。ちなみに、僕は先生との実戦試験に大分興味があった。今の自分と『魔女』の実力差がわかるかもしれないからだ。
 しかし、月兎先生はとんでもないことを続けて説明する。
 「あっ、もしもだけど~、先生たちから見て実戦試験の成績がよろしくないパーティがいた場合には、最悪そのパーティには退学してもらう可能性があるから、で試験に臨むよーに♪」
 この発言を受けて、多くの生徒は驚きを隠せなかった。
 「横暴だと思うけど、この学校を始めとして全国の魔女育成機関では実力が成績になるの。だから、実力が無いと判断された子が退学なのは何も可笑しくないでしょ。自分たちの価値は自分たちの実力で証明してね♪」
 今まで、ただ明るい雰囲気だけだった月兎先生から始めて『魔女』としての圧力のようなものを感じた。
 (ーーこれが『魔女』を目指すということなのか…。)
 僕を含む生徒たちは、わかっていたつもりになっていた『魔女』になる事が容易では無いと改めて思い知らされた。
 「以上で大学の規則について説明終了!最初にも言ったけど、詳細な情報を知りたい場合は『デバイス』で調べてね♪それじゃあ、次は学生寮に移動して寮長に挨拶をしようか♪これから、お世話になる人だから失礼のないよーに♪」
 直前までの圧力が嘘みたいに消え、明るい口調で生徒たちに指示する月兎先生。
 「それじゃあ、学生寮へレッツゴー♪」

 月兎先生と稲葉先生による引率のもと僕たち生徒は、学生寮に到着する。
 「寮長~。4月より、本校に入学予定の生徒たちの挨拶に来ました~♪」
 「はーい、今行きますね。」
 月兎先生を先頭に学生寮に入る僕たち一同。すると、寮長と思わしき人物が姿を見せる。
 「生徒のみなさん、はじめまして。わたしは『徳島魔法科大学校』の学生寮で寮長をしています仲良瞳(なかい ひとみ)と申します。何か困った事があったら遠慮せずに相談して下さいね。それと、月兎先生と稲葉先生も引率ご苦労様です。」
 仲良瞳寮長は身体が140に届くかどうかで、幼さを感じながらも何処優しい母親のような温かさを兼ね備えている。
 (ーーこの人、一体いくつなんだろうか?)
 そんな女性対して失礼なことを考えていると月兎先生が話し始める。
 「それじゃあ、今日は解散!各ペアで決められた部屋を確認の後、荷物の整理をするように。ちなみに、明日から講義を開始するので遅刻しちゃダメだぞ♪以上!」
 こうして、僕たち新入生(仮)の1日目が幕を閉じた。
 
 
 翌日、僕たち生徒は講義棟の一室に集まっていた。もちろん、今日から始める講義を受けるためである。今日の教室では、席の指定はされていないが1つの長机に対して席が2つのため、自然と各ペアで1つの机を使用する形になった。
 「やっほ~♪昨日はみんな良く眠れたかなぁ?」
 昨日と変わらず明るいテンションだが、窓から入った昨日とは違い普通に教室に入って来た月兎先生。また、授業開始時間にはまだ少し余裕がある。
 (ーー昨日の感じから、授業開始ギリギリに来ると思ってたけど…。)
 月兎先生は教壇まで移動した後、生徒たちを見渡す。
 「おぉー!みんな、遅刻をするどころか早くから準備万端な感じかなぁ?感心、感心♪」
 月兎先生が嬉しそうに頷く。
 「でも、まだすこーし時間はあるし、他の子たちとお話ししてもいいんだよ?これから同じ時間を過ごすかもしれないし、昨日話したパーティ作りのためにも互いを知っておくのは重要だと先生は思うけどね♪」
 月兎先生に言われて、僕たち生徒は他の生徒たちの様子を見渡す。
 しかし、昨日今日の話しのためか誰も口を開こうとはしない。
 (ーーこの雰囲気で話し出すのは、中々にハードルが高い。せめて、もう少し何かキッカケが欲しいなぁ…。)
 「うーん、みんなまだ緊張してる感じかなぁ?まぁ、時間はあるし焦る必要もないけどね♪よし、じゃあちょっと早いけど講義を始めようか。」
 こうして『魔女』になるための最初の講義が始まろうとする。
 「と…、その前に、みんなに言っておきたいのが1つ、みんなはこれから『魔女』になるために魔法について学ぶと思うけど、魔法にはいろんな可能性があるってこと!それこそ、みんなが思っている以上にね♪」
 (ーー何が言いたいんだろう、この先生は…。)
 そんな僕の考えに気づくはずもなく、満足気に月兎先生は講義を行う。
 「それじゃあ、講義を始めようか♪先ず、みんな知ってるとは思うけど確認の意味も含めて、魔法を使えない人はと魔法を使うことができる人との違いから説明するね♪」
 月兎先生の説明しよう要約すると、魔法を使えない人と、魔法に使える人の違いは大きく分けて2つになる。
 
 1つ目として、『魔素の保有量』である。魔素とは魔力とほぼ同じで意味で魔法や魔道具を起動するためのエネルギーであり、マナと呼ばれることもある。
 そもそも、人間や動物、植物や鉱石等の多くの物資には多かれ少なかれ魔素を保有している。中には、魔素を一切含まない物もあるらしい。
 その中で、人間は多くの魔素を保有しており、魔法を使うことができる人物は個人毎に差はあるが、魔法を使えない人よりも圧倒的に多くの魔素を保有している。
 ちなみにだが、人間は呼吸のように普段は一定のリズムで魔素を取り込んだり、放出することで体内の魔素量を保っている。そして、魔法が使える人は、魔法が使えない人より多くの魔素を取り組むことができたために魔素を多く保有していると考えられた。
 しかし、魔素量を測定できる機械が作られたときに、ある事実が発覚した。
 驚くべきことに、計測された全ての人間の平常時における魔素量には、ほとんど差がなかったのである。
 その後の試行錯誤により、研究者たちは魔法を使うことが人間には、機械で計測することのできない魔素の貯蔵庫があると結論付けた。そして、その魔素の貯蔵庫を『魔素の部屋(ルーム)』、機械で計測できた部分を『魔素の庭(ガーデン)』と名付けた。
 また、一般的に『ルーム』内の魔素量は多くの魔法使いの場合『ガーデン』の数倍から数百倍以上のキャパシティがある。

 ちなみに月兎先生が言うには、魔法使いたちが魔法等の魔素を使用する際には『ガーデン』を経由して『ルーム』から魔素を取り出している使用しているらしく『ルーム』の魔素を直接使用することは不可能らしい。
 イメージとしては、浴槽にある水をコップ等の容器を用いないと使用することができないといった感じである。
 また、普段の『ガーデン』の魔素量は先程説明したように、多くの人でそこまで大きな差はないが、『魔女』は『ルーム』から『ガーデン』へ魔素を取り出し留めることで『ガーデン』内の魔素量を一時的に増やすことができる。そうすることで、魔法を使える人は魔法が使えない人より短時間に大きくの魔素を使用することができる。
 もちろん、一度に『ガーデン』内に留めることができる魔素量は個体差があるが、訓練をすることで増やすこともできる。
 「これ以上、詳しく知りたいなら、研究者に聴いてみるか、図書館にあるめちゃくちゃ分厚い参考書を読めばいいと思うよ♪」
 月兎先生はそう言うと、これ以上の説明はしなかった。
 
 そして2つ目は、魔法属性の有無である。
 この魔法属性とは、魔法を使う際の適正みたいなもので、所有している魔法属性に適した魔法以外は発動させることができないということだ。
 魔法属性には、火や水、雷、風といったメジャーなものから、破壊、幻、力といったユニークなものを含めて様々な種類があり、魔法属性を持っている人は思春期を終える頃に自分がどんな属性を持っているかを自然と理解してくる。ここの仕組みは未だ詳しく解明されていないらしい。
 ちなみにだが、魔法属性は1人の魔法使いにつき1つを持っていることが多いが、複数の魔法属性を持っていることも珍しくはない。また、高い魔法制御が出来る魔法使いは魔法を派生させることができるらしい。例として、水の魔法属性を持っているが、氷を創り出すことができるといった感じである。
 他にも、魔法属性の恩恵、『ギフト』と呼ばれる魔法属性毎に抵抗力や感知能力の増加がすることがある。例えば、火の魔法属性を持っていることで、高温に耐性があったり、周囲の気温を感じ取ることができたりする。ただ、この能力のスペックはほぼ先天性に近く、努力による上がり幅はそこまで大きくないのが一般的である。
 そして、僕の魔法属性は『変化』である。この魔法属性のおかげで、女性の姿に変身することができ、この大学で大きな問題なく過ごすことが可能になっている。少なくとも、今のところはだが…。
 
 「以上が魔法を使える人と使えない人の差になってるよ♪まぁ、簡単に言っちゃうと『ルーム』と魔法属性を持っている人は魔法使いと呼ばれる訳だね♪ちなみに、『ルーム』と魔法属性のどちらか片方しかない人は今のところ存在しないと言われていま~す♪以上が魔法を使える人と使えない人との差かな。ここまでで分からないところとか質問とかあるかな?」
 長々とした説明を終えて、多少満足気な表情で月兎先生は僕ら生徒たちに尋ねてきた。
 それに対して、僕たちは誰も質問することがないのか誰も発言をしようとしない。
 (ーー正直、予想以上に説明の仕方が上手だったなぁ。)
 僕の中で、月兎先生の評価が何段階か上がった。
 「ふむふむ、質問は特にはなさそうだね♪ちなみにだけど…、」
 月兎先生は意味深な笑みを浮かべ、僕と視線を合わせてきた。
 (ーー僕の方を見てる?気のせいかな…?)
 「この魔法を使える条件を満たしているのは、今のところ女性だけなのは有名だよね~♪だから、一定条件下で魔法を使用することができる国家資格の名称が『魔女』だもんね♪もし、男性の魔法使いが現れたら、大騒ぎになること間違いなしだよね♪」
 (ーー明らかに今、僕の方を見て言ったよね!この先生!)
 僕の中で、月兎先生の評価が何段階か下がった。
 ちなみに、不意を突かれたが何とか表情に出さずに堪えることができた。
 そんな僕のリアクションに満足したのか、別のところに視線を動かす月兎先生。
 「まぁ、それはいいんだけど…。ところで魔法属性で思い出したことがあるんだよね♪」
 何か楽しそうな笑みを浮かべる月兎先生。
 (ーーもうなんか、嫌な予感しかしない…。)
 「ほら、私ってみんなの担任でしょ?だから、みんなの入学試験時での実戦試験を見せてもらったんだけど、今年は中々個性的な魔法属性の子が多いな~って思ったんだよね。特に印象的だったのが…。」
 そんな気になることを月兎先生が喋っていると、講義の終わりを告げる音が鳴り響いた。
 「おっと、もう終了の時間かぁ。じゃあ、午前の講義はここまで!午後からも、ちゃんと講義に出席するように♪後、他の子の魔法属性に興味があるなら、自分たちで話し合って聴くように♪パーティ作成のためにも、お互いを知ることは大事だもんね♪以上!ご飯♪ご飯♪」
 そう告げると、楽しそうな雰囲気で教室を後にする月兎先生。
 (生徒同士の交流のキッカケのためにわざと話を終わらせたのかな…?いや、月兎先生のことだし、何も考えてない可能性の方が高そうだな…。)
 僕がそんなことを考えていると、他の生徒たちはそれぞれのペアで教室を後にする。昼ご飯のために、食堂がある学生寮エリアへ向かってるのだろう。 
 「ねぇ、玲。私たちもご飯に行きましょうか?」
 「そうだね、姉さん。」
 僕と姉さんも他の生徒に続き、教室を出て行く。
 
 こうして、月兎先生の発言の一部に驚かさせたが、大きな問題なく午前の講義は終わりを迎えた。
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