僕、魔女になります‼︎

くりす

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第11章〜全力〜

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 「それで早速ですが、明日の試験での作戦を教えてもらってもいいですか?」
 桐崎さんは僕と握っていた手を離すと、僕に尋ねてきた。
 (ーーアレ?ひょっとして…。)
 それに対して、僕は今の状況からある可能性が浮かび、今まで考えていた作戦の決め手になると思いながらも、桐崎さんに試験での作戦を伝える。
 「うん。先ず前提条件の確認だけど、月兎先生が相手だと僕か桐崎さんのどちらか片方だけでは課題の達成は難しいよね。」
 「そうですね。月兎先生と私たちの実力差では現実的ではないですね。」
 僕の説明に桐崎さんも同意してくれる。そして僕は説明を続ける。
 「だから、2人で月兎先生に同時に仕掛けるのが必要になる。」
 「でも、月兎先生もそれは分かっていると思います。だから、昨日はなるべく2人同時に相手にしないように立ち回っていましたから。」
 「確かにその通りなんだけど、昨日の試験で月兎先生について幾つか分かったことがあるから、その情報を元に作戦を考えた。詳しく説明していくね。」
 僕は桐崎さんに作戦内容を説明する。
 
 僕が作戦の説明を終えると、桐崎さんは少し考える仕草をした後、感想を述べる。
 「その作戦なら上手くいくかもしれませんね。」
 「まぁ、綱渡りな作戦ではあるけどね。」
 僕が小さく苦笑いをしながら言うと、桐崎さんはそれに同意する。
 「確かにそうかもしれませんが、それ以外に方法は思い浮かびませんし、やってみる価値は充分ありと思います。」
 「それだったら、後は確認するだけだね。」
 「そうですね。一応、念のため仮想世界で試した方がいいでしょうから、仮想訓練棟に行きましょうか?」
 「了解。」
 僕と桐崎さんはその後、仮想世界で試験に向けて様々な試みをし、学生寮に戻った。

 学生寮の自分の部屋に帰ると、既に姉さんが戻っていた。
 「おかえり、玲。」
 「ただいま、姉さん。」
 「その様子だと咲夜ちゃんと上手くいけた感じ?」
 「まぁ、なんとかなった感じかな。」
 僕は桐崎さんとどんな話があったか、姉さんに簡単に説明する。
 それを聴いた姉さんは反応を示す。
 「なるほど。私たち4人全員が『魔女』に、ね。かなり難しいお願いね。」
 「でも、約束したからには実現させるつもりだよ。そのためにも、明日の試験は姉さんたちのペアにも頑張ってもらう必要があるんだけど、何か作戦はあるのかな?」
 桐崎さんとの約束の手前、姉さんたちのペアにも良い成績を出してもらいたい。
 「もちろん!ただ、上手くいくかは保障できないけどね。それでも最善は尽くすつもりよ。私も玲と同じで無理ゲー攻略好きなゲーマーだもの。」
 姉さんもやる気充分のようだ。
 こうして僕たちは2回目の実戦試験の日を迎えることになる。

 翌日の午後、仮想訓練棟に召集された僕たち4人は1回目の試験と同様に僕と桐崎さんペアと姉さんと朱莉さんペアに別れて、『夢の箱庭』を用いて仮想世界にダイブした。
 そして今、僕と桐崎さんは月兎先生と対峙している。
 「それじゃあ、2回目の実戦試験を始めようと思いまーす♪今回のルールは前回の試験と同じだから、省略させてもらうね♪」
 (ーー戦闘フィールドも、開始地点も全部前回と一緒か。これなら作戦通りにいける!)
 もし、可能性は低いがルールや戦闘フィールドが変わっていた場合、僕たちの作戦は成り立たない可能性があるので、この状況はかなり有り難い。
 「さてと、前回も言ったと思うけど、ちゃんとで試験に臨むように♪何か質問はあるかな?」
 「「大丈夫です。問題ありません。」」
 僕と桐崎さんが一言一句同じこと言ったため、月兎先生は少し驚いた表情をした後、嬉しそうに小さく笑みを浮かべる。
 「随分、仲良くなったみたいだね♪もしかしたら、前回より良い結果を残せるかもね♪」
 月兎先生はそう言うと、僕たちに開始地点まで移動するように指示する。
 僕と桐崎さんはその指示に従って移動を終えて、試験開始の合図を待つ。
 (ーーよし、やれるだけやってみようか。)
 そう思った直後、支給された腕時計が試験開始の合図を告げる。
 
 こうして、僕と桐崎さんの2回目の試験が始まった。

 「行くよ!桐崎さん!」
 試験開始の合図と共に、前回と違い今回は僕が先行して月兎先生との距離を縮める。
 そして桐崎さんは僕と距離を置きながら続く。
 それに対して月兎先生は前回と同様に無茶苦茶な『身体活性化』をして、僕らを迎え撃つ。
 「あれ?今回は玲ちゃんが前衛なの?でも、それは悪手じゃないかな?」
 月兎先生は僕が先行しているのを見て、そう感想を述べた後、前回と同じように衝撃波の魔法を発動しようとする。
 これに対して、僕は『魔力感知』で月兎先生の魔法が発動するタイミングに合わせて『魔力障壁』を瞬間的に展開する。
 ただ、前回と違い『魔力障壁』の形と展開方法を工夫する。前回は移動を止めて、平面の壁のように『魔力障壁』に展開していた。そうしないと、月兎先生の魔法を防ぎ切ることが難しいと思ったからだ。
 ただし、今回は移動を止めずに僕の前方に新幹線の先端のような流線形に『魔力障壁』を展開する。
 そうすることで、月兎先生が放つ魔法の威力の大半を受け流すことができ、前回と違い多少強度を落としても魔法を防ぐことが可能になる。
 そのおかげで、移動しながらの『魔力障壁』でも問題なく使うことができる。
 (ーーこれは前回の戦闘中に気付くべきだったよな…。最初からこうすれば、足止めされる時間も短くなって、もう少しマシな結果だったかもしれないし…。まぁ、今は戦闘に集中しないと。)
 そんなことを考えながら、月兎先生との距離を脚を止めることなく縮めていく。
 「うわぁ、そんな事ができるなんて、ちょっと予想外♪」
 僕の防ぎ方を見た月兎先生はそう言うと、僕との距離が3メートルくらいになった瞬間、次の手段に移る。
 「じゃあ、これはどうやって防ぐのかな♪」
 そう言い終えると、月兎先生から溢れ出ている魔素が一気に減ったかと思うと僕の頭上に魔法陣が展開される。
 「上かっ!」
 (ーー『魔力障壁』だと、間に合わない!)
 僕は咄嗟の判断で『身体活性化』を僕のできる限界まで身体を強化して、月兎先生の魔法に備える。
 次の瞬間、僕の身体に今までの比にならない威力の衝撃波が上から襲い掛かる。
 「ぐっ!」
 僕は『身体活性化』のおかげで何か片膝を地面につけるだけで堪えることができた。
 だが、今までの魔法は瞬間的だったがこの魔法は凄まじい威力を持続している。
 僕は『身体活性化』の制御に集中しながら、月兎先生の方を見る。
 そして、僕の予想が正しかったことを知る。
 「やっぱり。月兎先生は魔法を使っている間は放出している魔素量が減りますね。」
 (ーー放出している魔素量が減るということは、『身体活性化』による強化も多少弱くなるということになる。)
 そんな僕の言葉に月兎先生は言葉を返す。
 「確かに玲ちゃんの言う通りだけど、だからと言って何も解決してないよね!」
 そう言い終えると、月兎先生は魔法陣に更に魔力を注ぎ威力を上げる。
 「くっ!」
 僕は片膝と両手を地面につけ、魔法に耐えながら彼女を待つ。
 「そんなことないですよ。少なくとも、私にとっては。」
 僕の上を白銀の線を引きながら桐崎さんが通り過ぎる。
 桐崎さんは月兎先生の魔法をその魔法属性で無効化しながら、一気に月兎先生との距離を縮めると、その勢いのまま攻撃を仕掛ける。
 しかし、月兎先生はその攻撃を僕から見て左側に軽くステップして回避する。
 「うーん、それじゃあ先生に攻撃を当てることはできな…、!?」
 できない、と桐崎さんに言おうとした月兎先生は目の前に現れた僕を見て言葉を飲み込む。
 僕は回避行動をしたタイミングで月兎先生の回避先に一気に近づいて左腕を振り抜く。
 月兎先生は咄嗟に右腕で僕の攻撃を防ごうとするが、直前まで魔法に魔力を使っていたことと不意を突かれたために僕の攻撃に耐えれず、後ろに下がる。
 僕がこの奇襲が出来たカラクリは桐崎さんにある。
 彼女が僕の頭上を通って直後、魔法無効化のおかげで月兎先生の魔法による圧力が消失した。そのタイミングで魔法に耐えるための『身体活性化』を用いて、一気に月兎先生に攻撃を仕掛けることが出来た。
 そして、月兎先生が下がった先には桐崎さんが待ち構えている。
 その桐崎さんは前回と違い、月兎先生の足を止めるための威力より速さを重視した牽制的な連続攻撃を繰り出す。
 月兎先生は現状『身体活性化』の効果が落ちていることもあり、桐崎さんの攻撃から直ぐに抜け出せないでいる。
 そこに僕も合流して、桐崎さんと一緒に月兎先生の前方から攻撃を仕掛ける。
 「うっわ、これは厳しいね♪」
 そんなことを言いつつも月兎先生は後方に下がりながら、僕らの攻撃を若干の余裕を持ってかわし続ける。
 (ーーまだ余裕があるのか。やっぱり、この人強過ぎる!でも…。)
 暫くの間その攻防が続くと、月兎先生は壁に背中を預ける形になった。
 「これで逃げ道は無くなりましたね、月兎先生!」
 「そんなことはないよ、玲ちゃん♪」
 そう言って、月兎先生は軽く膝を曲げると、その名に恥じない跳躍をして後ろの壁を軽々と飛び越えた。
 「残念だったね♪かなり良かったとは思うけど詰めが甘かったかな?」
 壁の向こう側から月兎先生が話しかけてきた。
 「ところで、月兎先生に確認したいんですけど?」
 「うん?何かな?別に聴いあげても良いけど、残り時間は減っていく一方だよ?」
 僕の問い掛けに疑問を持ちながらも、応じてくれる月兎先生。
 「試験開始時に全力で闘うように言ってましたけど、本当に全力を出しても良いんですか?」
 僕は月兎先生に確認しながら、複数の術式をイメージして、いつでも発動出来るように準備する。
 この確認は術式を用意する時間を悟られないためでもある。
 「うん。全然、全力を出してくれても構わないよ♪寧ろ、まだ何か作戦でもあるのかな?」
 僕は月兎先生の返事を聴きながら、隣に居る桐崎さんに作戦準備が整ったことを目線で伝える。
 これに桐崎さんも小さく頷いてくる。
 それを見た僕は用意した術式に魔力を流し込みながら、月兎先生の疑問に答える。
 「もちろん、ありますよ!とっておきの作戦が!」
 そう言い終えると、僕は用意していた魔法を発動させて両手に掌サイズの黄色いクリスタルを創り出すと同時に月兎先生のいる壁の向こう側に投げる。
 そして次の瞬間、放り投げられたクリスタルが月兎先生の近くで破裂して大きな炸裂音と強烈な閃光が創り出す。
 (ーー幾ら『魔力障壁』でも音と光を遮断はしない!これは流石に防げないだろう!)
 一応、『魔力障壁』を発動するタイミングで音や光を遮断するように設定は出来るが普段から遮断する人は殆どいない。
 そしてクリスタルが破裂するタイミングに合わせて、僕と桐崎さんは作戦通りに行動に移す。
 結晶が破裂した後、僕と桐崎さんは左右に分かれて壁を回り込み、月兎先生を挟み打ちにする。
 (ーー今の月兎先生は大音量と閃光で聴覚と視覚が使えないはず!)
 普通ならそれ以前に気を失っても不思議ではないが、月兎先生は両目を押さえながらも意識ははっきりしているようだ。これだけでも月兎先生が中々に規格外の人物だと言うことが分かる。
 でも今、その月兎先生は僕と桐崎さん、そしてフィールドに設置されている壁でのせいで四方は塞がれており逃げ道は頭上しかない。
 (ーーでも、今度は逃がさない!)
 僕は月兎先生が上に逃げないように月兎先生の頭上を中心に『魔力障壁』を展開する。
 さらに、僕は左右に分かれる時から『身体活性化』の出力を抑えて、『魔力感知』でも感知されないようにしている。
 (ーーこれで完全に逃げ道もないし、月兎先生が僕ら居場所を知る術もないはず!これでチェックメイトだ!)
 しかし、目も見えず耳も聞こえない月兎先生は目を閉じた状態で小さく笑うと口を開く。
 「残念でした♪私以外の人なら有効だったかもしれないけど、私には意味ないよ♪」
 そう言うと月兎先生は何かの手段で僕の位置が見えているかのように、はっきりと捉えており、先程と同じ頭上からの衝撃波の魔法を発動させる。
 しかし、その魔法が効果を現すことはなかった。
 「そんなことないですよ。むしろ、月兎先生じゃないと上手くいきません。」
 その声の主は僕の魔法で僕の姿をした桐崎さんだった。
 魔法が発動する直前に僕の姿をした桐崎さんが白銀のオーラを纏うと僕が施していた変身魔法と月兎先生の魔法を無効化する。
 「えッ!?」
 月兎先生は視界が効かないにも関わらず、何かしらの変化を感じ取ったのか驚きの声を上げる。
 (ーー今、この一瞬にを出し尽くす!)
 そして、そのタイミングで僕も僕自身に使った変身魔法解除して桐崎さんの姿から普段の姿に戻ると同時に残っている魔力殆どを『身体活性化』で身体能力の強化に用いて月兎先生との距離を一息で縮めた後、素早く月兎先生の右腕を掴んで動きを拘束する。
 「これで終わりです。月兎先生。」
 残り少ない魔力で自分の身体ごと密着している月兎先生の膝から下までを結晶で覆う。これで月兎先生がまともに動かせるのは左腕のみとなる。
 そこに桐崎さんが間合いを一気に詰めて、月兎先生の首に掛かっている懐中時計に手を伸ばしてくる。
 月兎先生は勝ち目がないと判断したのか小さく溜息を吐く。
 「まさか、変身魔法までしてくるなんてね。流石に予想外だよ。」
 僕に動きを封じられている月兎先生は抵抗することができないまま、桐崎さんに課題の懐中時計を奪われる。
 「これで試験は終了ですよね。ちゃんと言われた通りを出しましたよ。」
 そんな僕の言葉に月兎先生はどこか嬉しそうに笑いながら、試験終了を宣言する。
 「えーっと、ただ今の時刻を持って試験を終了します。2人とも本当にお疲れ様でした♪」
 その言葉を聴いた僕と桐崎さんは喜びの中、自然と笑顔でハイタッチを交わした。
 こうして、僕と桐崎さんの2回目の実戦試験は最高の結果を掴み取ることが出来た。
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