刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

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38話 入学式

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「……長い」

 思わず、俺の口からそんな言葉が漏れ出す。
 欠伸は止まらず、眠気も襲ってくる。
 きちんと12時間以上の睡眠を確保したというのに、何故に……『入学式』というものはこうも眠気を誘うのだろうか。

 学院に到着したら早々に、体育館へと案内された。
 つまらない来賓の話、おもしろくない先生の話。
 今は学院長が長々と未来だの、希望だの、栄光だのについて語っている。

 周りの生徒は目をキラキラとさせ、学院長の話を聞いている。
 頭をブンブンと揺らして頷く者や、メモを取っている者もいる。
 なんというか……熱心すぎて気持ち悪いな。
 
 かれこれ1時間は学院長は話している。
 そろそろ……眠気がピークだ。
 あぁ……抗えない……。

 そこから記憶はない。


 ◆


「──様」

 ん、なんだ……。
 誰かが呼ぶ声がする。
 
「──ルカ様」
 
 その声は心地が良い。
 できることならば、ずっと聞いていたい。
 ずっと耳元で囁いて欲しい、そんな声だ。

「アルカ様!! 起きてください!!」

「うぉッ!?」

 飛び起きる。
 目を覚ますと、目の前にはピリカがいた。
 頬を膨らまして、少々怒っている様子だ。

「お、おはよう……ぴ、ピリカ……」

「おはよう……じゃないですよ!!」

「いや、眠くてさ……。来賓とか先生とか、話も長いから……ね?」

「昨日あれほど寝たじゃないですか!! ここまで運ぶの大変だったんですからね!!」

 ここまで……?
 周りを見渡すと、ソコは体育館ではなかった。
 椅子と机が多数並び、多くの生徒が存在している。
 そう、ここは教室だ。

「あ、運んでくれたんだ。ありがとう」

「もう……。寝ちゃダメですよ?」

「善処するよ」

 ピリカの頭を撫でる。
 いつも以上に髪がフワフワだ。
 そういえば本日は、いつもよりも入念にケアをしていたな。
  
「ん……、本当に寝ちゃダメですよ?」

「あぁ、わかった。気を付けるよ」

 そんな風にピリカの頭を撫でていると、周りの視線を感じた。
 辺りを見渡してみると、半数以上の生徒が俺たちを見ている。

「お、おい……アイツって、ラパス様を殺した野郎だよな……」

「顔は美人だし背も高いけど……、許せないよな……」

「平民の分際でナマイキだよな……。シメてやろうぜ……」

「でもアイツ、カイナ様の弟なんだろ? あのカイナ様を殺した上に、リレリオン家を没落させたんだろ?」

「バケモノ……というよりは、イカレているんだろうな。サイコパスってヤツだろ?」

「平民でサイコパスで、殺人も厭わないって……。なんで、偉大なる我が校に入学できたんだよ……」

「早く死んでくれよな……。それか退学してくれよ……」

 周りの連中は俺に対し、悪印象を抱いている様子だ。
 カイナを殺してリレリオン家を没落させたことや、受験の際にブタを殺したことは既に広まっているのだな。

 だが、話を聞く限り詳細までは広まっていない様子だ。
 カイナとの決闘を見た連中はおらず、ブタ野郎が怪物に変わったことも知らない様子だな。

 何はともあれ、出足を挫いたようだ。
 平民でサイコパス、そんな印象を持たれてしまった。
 これでは友人を作ることは、難しいだろう

 俺が思い描く青春には友人が必須なのだが、あまり悲観はしていない。
 何かの機会に汚名を返上すれば、これまでのように評価が一変するだろう。
 その際に友人を作れば、万事解決というわけだな。
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