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45話 学食と嫌味な同級生
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現在時刻は12時。
そう、お昼ご飯の時間だ。
「このウドンという料理は、なんとも奥が深いな」
学食で注文したのは、ツルツルの白い麺が特徴的なウドンという料理だ。
これは東洋の島国で発明された、小麦が原材料の料理らしい。
珍妙な見た目とは裏腹に、何とも奥深くて美味な料理だ。
まるで何かの幼虫のように思えた白い麺も、今はこの麺でなければ満足できない。
噛むたびに歯を押し返すような、圧倒的な弾力。
飲み込んだときに感じる、気持ちのいい喉越し。
最初こそ麺料理と聞いてパスタの劣化と思ったが、これは……パスタよりも断然おいしいな。
「ウドンの弾力も素晴らしいですが、この汁も素晴らしいですね」
俺の隣で昼食を摂るピリカも、舌鼓を打っている。
ちなみに彼女もウドンを食べている。
「その汁はダシと呼ぶらしいぞ。なんでも、昆布を使ってできた汁らしい」
「こ、昆布ですか……。東洋の人はおもしろい料理を思いつきますね」
昆布を使った料理など、聞いたことがなかった。
海に生えているヌルヌルした葉っぱという印象しかなかった昆布だが、まさかこんなにも秘めたるモノがあったとは。
ふと思ったが、古代魔法は東洋の人が作ったのかもしれない。
昆布に価値を見出す慧眼があるのだから、古代魔法を作り出す独創的な発想があってもおかしくはないだろう。
……いや、おかしいか。それとこれはイコールでは繋がらないな。
「一度東洋に赴いてみたいですね。ウドンを作り出したのですから、他にも独創的な料理があってもおかしくはないでしょうし」
「あぁ、俺も一度行ってみたいな。……カネがある程度溜まったらな」
「……そうですね」
リレリオン家の遺産には、まだ余裕がある。
だがしかし、東洋への旅行をしてしまうと、一瞬で底が付いてしまうだろう。
大陸間の移動ではなく、船で移動することになるのだから。当然ながら、その費用は文字通りケタが違ってくる。
これから先、どんな出費が重なるかわからない。
だからこそ、あまり無駄な出費はしたくないのだ。
東洋への旅行は決して無駄ではないが、それでも……出し惜しみはするべきだ。
「順調にお金を貯めていって、来年には赴けるでしょうか?」
「そうだな。休日はギルドで依頼を受けて……、来年の夏には行けるかもしれないな」
「絶対に……絶対にお金を貯めましょうね!!」
キラキラとした瞳で、ピリカは俺に迫ってくる。
おぉ……圧が強いな。どうした?
「わたし……アルカ様と一緒に行きたいです!!」
「そうか、俺もだよ」
「え……!!」
1人で旅行するよりも、ピリカと旅行した方が絶対に楽しい。
もちろん、これは恋慕的な事情は含まれていない。友愛的な感情だ。
1人旅行も悪くはないだろうが、青春を謳歌するならば2人以上で旅行することの方が楽しいからな。
「う、嬉しいです……!!」
ニコッと微笑むピリカ。
この笑顔を濁さない為にも、約束の反故は絶対にしないようにしよう。
カネを貯めて、来年の夏に東洋の島国に旅行をしてやる。絶対に。
◆
「やぁやぁやぁ!! アルカくんじゃないな!!」
その後、ウドンに舌鼓を打っていると、1人の男が俺の前の椅子に座ってきた。
鬱陶しい紫黄の髪を靡かせて、無駄に白い歯を見せつけるように笑ってくる。
その瞳は薄紫色で、トコトン人を下に見るような嫌な眼をしている。
コイツは確か、クラスメイトの男のハズだ。
名前は……。
「誰だお前」
思い出そうとしたが、めんどくさくてやめた。
冷静に考えて、コイツの名前を思い出すことに脳機能を割きたくない。
嫌な奴の名前なんて、一生忘れたままでいいのだ。
「ふっははは!! 下等なる平民は、やはり脳が小さいようだね!! 偉大なるボクの名前さえも覚えられないなんて」
「……」
「無視をするな!!」
いやだって、ウドンが冷めてしまうだろ。
こんなヤツのつまらない話よりも、冷めないうちにウドンを完食することの方が大切だ。
「ふはは!! まぁいい。それよりもキミ、次の授業が何か覚えているかな?」
「……」
「そう、次の授業は実技の授業だ!!」
「……俺、何も言っていないぞ」
勝手に話を続けるな。
あと、高らかに笑うな。唾が飛ぶだろ。
「トード先生のプライドを傷つけるほどの知識はあるようだけど、キミは所詮平民だ。魔法の実力はゴミみたいなモノだろ?」
「……」
「ふはは!! いや、違うか!! キミの魔力量は5だ!! ゴミ以前に魔法を使えないか!!」
「……」
「何とか言ったらどうだい!!」
「……お前、教育がなっていないな」
「な、何!?」
ハァ、とため息を溢す。
ダシを啜り、感触だ。
「まず初めに、俺は食事中だ、食事中は話すなと、習わなかったか? 食事中の者に意見を求めるなど、教育が足りていない証拠だぞ」
「ぐッ……、ナマイキなことを言うな!!」
「2つ目。食事は静かに厳かに行われなければならない。食事をしている者の前で、ベラベラと話すんじゃない」
「だ、黙れ!! ボクは公爵家だから、何をしてもいいんだ!!」
「3つ目。例え相手が平民であっても、どんな相手であっても、敬意を持って接するべきだ。貴族はその身分や立場を振りかざす傾向が強いが、あくまでも平民などに支えられて生きていることを自覚するべきだ」
「ぼ、ボクに説教をするな!!」
「以上のことから、お前は教育が足りていないと判断した。何か反論はあるか?」
「黙れ黙れ黙れ!!」
顔を真っ赤にして、立ち上がる男。
まったく、口喧嘩が弱いのだったらケンカを売るなよ。
「覚えていろよ!! 次の授業で恥を見ろ!!」
そう言って、男は去っていった。
……食事もせずに、いったい何のためにやってきたんだ?
「……愚かですね。アルカ様の真の強さを知らずに、煽ってくるとは」
「まぁ、仕方ないだろ。古代魔法のことを知らなければ、俺が魔法を使えるなんてわからないんだからな」
「……ふぅ、アルカ様。これはチャンスですよ」
「え?」
ピリカはダシを啜り、どんぶりを空にした。
おぉ、最高の食いっぷりだな。
「アルカ様は今後、様々な方々に煽られてケンカを売られると考えられます。ですので──次の授業で、アルカ様の真の実力を見せつけてやりましょう」
「おぉ、アグレッシブな考えだな。だが……悪くない」
俺が平民で魔力がたったの5しかないから、ブタ男や先ほどの男のような連中が絡んでくるのだ。言い換えると、俺が弱そうだから絡んでくるのだ。
だったら、対策は簡単だ。俺の強さを証明すればいい。
「ピリカ、次の授業──楽しみにしておいてくれ」
「はい!!」
昼休憩も直に終わる。
楽しい時間が、近づいてきている。
強さの証明、少し……本気で取り組むか。
そう、お昼ご飯の時間だ。
「このウドンという料理は、なんとも奥が深いな」
学食で注文したのは、ツルツルの白い麺が特徴的なウドンという料理だ。
これは東洋の島国で発明された、小麦が原材料の料理らしい。
珍妙な見た目とは裏腹に、何とも奥深くて美味な料理だ。
まるで何かの幼虫のように思えた白い麺も、今はこの麺でなければ満足できない。
噛むたびに歯を押し返すような、圧倒的な弾力。
飲み込んだときに感じる、気持ちのいい喉越し。
最初こそ麺料理と聞いてパスタの劣化と思ったが、これは……パスタよりも断然おいしいな。
「ウドンの弾力も素晴らしいですが、この汁も素晴らしいですね」
俺の隣で昼食を摂るピリカも、舌鼓を打っている。
ちなみに彼女もウドンを食べている。
「その汁はダシと呼ぶらしいぞ。なんでも、昆布を使ってできた汁らしい」
「こ、昆布ですか……。東洋の人はおもしろい料理を思いつきますね」
昆布を使った料理など、聞いたことがなかった。
海に生えているヌルヌルした葉っぱという印象しかなかった昆布だが、まさかこんなにも秘めたるモノがあったとは。
ふと思ったが、古代魔法は東洋の人が作ったのかもしれない。
昆布に価値を見出す慧眼があるのだから、古代魔法を作り出す独創的な発想があってもおかしくはないだろう。
……いや、おかしいか。それとこれはイコールでは繋がらないな。
「一度東洋に赴いてみたいですね。ウドンを作り出したのですから、他にも独創的な料理があってもおかしくはないでしょうし」
「あぁ、俺も一度行ってみたいな。……カネがある程度溜まったらな」
「……そうですね」
リレリオン家の遺産には、まだ余裕がある。
だがしかし、東洋への旅行をしてしまうと、一瞬で底が付いてしまうだろう。
大陸間の移動ではなく、船で移動することになるのだから。当然ながら、その費用は文字通りケタが違ってくる。
これから先、どんな出費が重なるかわからない。
だからこそ、あまり無駄な出費はしたくないのだ。
東洋への旅行は決して無駄ではないが、それでも……出し惜しみはするべきだ。
「順調にお金を貯めていって、来年には赴けるでしょうか?」
「そうだな。休日はギルドで依頼を受けて……、来年の夏には行けるかもしれないな」
「絶対に……絶対にお金を貯めましょうね!!」
キラキラとした瞳で、ピリカは俺に迫ってくる。
おぉ……圧が強いな。どうした?
「わたし……アルカ様と一緒に行きたいです!!」
「そうか、俺もだよ」
「え……!!」
1人で旅行するよりも、ピリカと旅行した方が絶対に楽しい。
もちろん、これは恋慕的な事情は含まれていない。友愛的な感情だ。
1人旅行も悪くはないだろうが、青春を謳歌するならば2人以上で旅行することの方が楽しいからな。
「う、嬉しいです……!!」
ニコッと微笑むピリカ。
この笑顔を濁さない為にも、約束の反故は絶対にしないようにしよう。
カネを貯めて、来年の夏に東洋の島国に旅行をしてやる。絶対に。
◆
「やぁやぁやぁ!! アルカくんじゃないな!!」
その後、ウドンに舌鼓を打っていると、1人の男が俺の前の椅子に座ってきた。
鬱陶しい紫黄の髪を靡かせて、無駄に白い歯を見せつけるように笑ってくる。
その瞳は薄紫色で、トコトン人を下に見るような嫌な眼をしている。
コイツは確か、クラスメイトの男のハズだ。
名前は……。
「誰だお前」
思い出そうとしたが、めんどくさくてやめた。
冷静に考えて、コイツの名前を思い出すことに脳機能を割きたくない。
嫌な奴の名前なんて、一生忘れたままでいいのだ。
「ふっははは!! 下等なる平民は、やはり脳が小さいようだね!! 偉大なるボクの名前さえも覚えられないなんて」
「……」
「無視をするな!!」
いやだって、ウドンが冷めてしまうだろ。
こんなヤツのつまらない話よりも、冷めないうちにウドンを完食することの方が大切だ。
「ふはは!! まぁいい。それよりもキミ、次の授業が何か覚えているかな?」
「……」
「そう、次の授業は実技の授業だ!!」
「……俺、何も言っていないぞ」
勝手に話を続けるな。
あと、高らかに笑うな。唾が飛ぶだろ。
「トード先生のプライドを傷つけるほどの知識はあるようだけど、キミは所詮平民だ。魔法の実力はゴミみたいなモノだろ?」
「……」
「ふはは!! いや、違うか!! キミの魔力量は5だ!! ゴミ以前に魔法を使えないか!!」
「……」
「何とか言ったらどうだい!!」
「……お前、教育がなっていないな」
「な、何!?」
ハァ、とため息を溢す。
ダシを啜り、感触だ。
「まず初めに、俺は食事中だ、食事中は話すなと、習わなかったか? 食事中の者に意見を求めるなど、教育が足りていない証拠だぞ」
「ぐッ……、ナマイキなことを言うな!!」
「2つ目。食事は静かに厳かに行われなければならない。食事をしている者の前で、ベラベラと話すんじゃない」
「だ、黙れ!! ボクは公爵家だから、何をしてもいいんだ!!」
「3つ目。例え相手が平民であっても、どんな相手であっても、敬意を持って接するべきだ。貴族はその身分や立場を振りかざす傾向が強いが、あくまでも平民などに支えられて生きていることを自覚するべきだ」
「ぼ、ボクに説教をするな!!」
「以上のことから、お前は教育が足りていないと判断した。何か反論はあるか?」
「黙れ黙れ黙れ!!」
顔を真っ赤にして、立ち上がる男。
まったく、口喧嘩が弱いのだったらケンカを売るなよ。
「覚えていろよ!! 次の授業で恥を見ろ!!」
そう言って、男は去っていった。
……食事もせずに、いったい何のためにやってきたんだ?
「……愚かですね。アルカ様の真の強さを知らずに、煽ってくるとは」
「まぁ、仕方ないだろ。古代魔法のことを知らなければ、俺が魔法を使えるなんてわからないんだからな」
「……ふぅ、アルカ様。これはチャンスですよ」
「え?」
ピリカはダシを啜り、どんぶりを空にした。
おぉ、最高の食いっぷりだな。
「アルカ様は今後、様々な方々に煽られてケンカを売られると考えられます。ですので──次の授業で、アルカ様の真の実力を見せつけてやりましょう」
「おぉ、アグレッシブな考えだな。だが……悪くない」
俺が平民で魔力がたったの5しかないから、ブタ男や先ほどの男のような連中が絡んでくるのだ。言い換えると、俺が弱そうだから絡んでくるのだ。
だったら、対策は簡単だ。俺の強さを証明すればいい。
「ピリカ、次の授業──楽しみにしておいてくれ」
「はい!!」
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