刻下の古代魔法師 〜魔法の才能がないので公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した〜

志鷹 志紀

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46話 魔法実技 1/4

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 俺たちは今、闘技場のような校庭にいた。
 周りには大勢のクラスメイト。
 そして俺のことを見て、ニヤニヤと笑う紫黄髪の男。
 ……煩わしいな。

「諸君!! それではこれより、魔法実技の授業を始める!!」

 高らかに告げるププリ先生。
 いつもよりも声が張っているな。

「諸君らにはこれより、コイツと戦ってもらう!!」

 先生が指を鳴らすと、先生の側の地面がモコモコと盛り上がる。
 やがてソレは大雑把に人の形を取り、静かに佇んだ。

「ご、ゴーレムだ!!」

「土属性の上級魔法を、今……無詠唱で行わなかったか!?」

「す、スゲェ!! 無詠唱って、実在したんだ!!」

 驚愕しているクラスメイトだが、やはり彼らは見る目がない。
 あのゴーレムは先生が作り出したのではなく、この闘技場に刻まれた魔法陣が作用しただけだ。つまり先生が作ったわけではない。
 おそらく『指を鳴らすこと』をトリガーとして発動する魔法陣が、事前に刻まれていたのだろうな。

「皆にはこのゴーレムと戦ってもらう!! だがもちろん、倒す必要はない!! 皆の魔法をゴーレムに当てて、その威力や質によって私がポイントを付与するという授業だ!!」

 倒す必要がないと聞くと、生徒のほとんどが安堵の表情を浮かべた。
 なんだ、何故に安堵するんだ? あんな土塊、別に倒すことなど容易いだろうに。

「さて、では始めよう!! まずは──」


 ◆


「……冗談だろ?」

 呆れる。絶望する。
 なんというか……あまりにもひどい。

 あれから数人の生徒が呼ばれ、ゴーレムと戦っているが……あまりにもお粗末だ。
 剣を扱う者、槍を扱う者、杖を扱う者。様々な武器を手にして、生徒たちは意気揚々とゴーレムに向かっていく。
 魔法を駆使して、武器を使って、ゴーレムに攻撃を加えるのだ。

 だがしかし……、そのどれもがひどい。
 たかが土で出来たゴーレムを相手に、一切のダメージを与えられていない。
 欠けさせることもできずに、ペチペチと攻撃を加えている。

 その上、攻撃のレベルも低い。
 剣術は児戯にも満たないほどで、魔法に至ってはほとんどが中級以下だ。
 魔力の消費を抑えるために、ブッ放さないことは理解できる。
 だが……なんだその剣技や槍技は!! ナメているのか!!
 これが師匠の前だったら、全員ゲンコツを入れられているところだぞ。

「終了!! 中々良い戦いだったぞ」

「ありがとうございます!!」
 
 そんなレベルの低い彼らに対して、先生は賞賛の言葉を送る。
 おいおい、冗談だろ? どこが良い戦いだったんだ?
 いったい先生は、何を見て言っているんだ?

「……ひどい戦いだな」

「あの……アルカ様。お言葉ですが、彼らは優秀ですよ?」

「……え?」

 賛同してくれると思っていたが、意外にもピリカは反論してきた。
 彼らが……優秀だと?

「武器の扱いや魔法の実力、そのどれもが同級生の中では群を抜いています」

「おいおい……冗談だろ? あんなゴーレムを倒せないで、どこが優秀なんだ?」

「あのゴーレムを倒すなんて、アルカ様やロイドさんくらいにしか不可能です」

「……え?」

 いやいや、そんなハズはないだろう。
 確かに防御魔法の加護が掛けられており、防御力だけならばSSS級の魔物に匹敵するだろう。一般的な15歳ならば、討伐は絶対にできないハズだ。
 
 だが、ここは『ルトス王立魔法学院』だ。
 入学には厳しい試練を乗り越える必要があり、故に優秀な生徒が集まる。
 そう、カイナと同レベルの天才がゴロゴロと集まる学院であるハズなのだ。

 その証拠に受験日にいた連中はおらず、俺とピリカ以外の全員が落ちている。
 彼らは実力が極めて低かったが故に、落ちてしまうことは妥当だ。

 だからこそ、認められない。
 あの日の受験生に毛が生えた程度の実力の彼らが、同級生の中でも優秀だなんて。
 
「アルカ様……。もしかしてカイナさんと同レベルの生徒が、多く集まってきていると思っていましたか?」

「あ、あぁ……。よくわかったな」

「確かにカイナさんでしたら、あのゴーレムの討伐は容易いことでしょう。ですが……、あの人のレベルを求めることはあまりにも酷ですよ」

「え?」

「カイナさんは異常なのです」

「いや、それは知っているが……」

「いえ、多分思っている意味とは違います。そうですね、『段違い』や『圧倒的』という言葉の方が理解しやすいでしょうか」

「え?」

 確かにカイナは強かった。
 だが、この学院ではあくまでも平均レベルだろう。
 なんたって、ここは超難関校の『ルトス王立魔法学院』なのだから。 

「アルカ様、認めてください。これが現実です」

「いや……でも……」

「彼らは十分優秀で、あのゴーレムの破壊など……到底不可能なのです。カイナさんレベルの方は、非常に少ないのです」

「……」

 彼らの戦いを見ているうちに、その言葉がだんだんと真実なのだと理解できてきた。ピリカの言葉に偽りはないのだと。
 だが……認めたくないものだな。世界最難関の学院が、この程度のレベルだったなんて。

「次!! ピリカくん!!」

 そして、ピリカの名前が呼ばれた。
 
「では、行ってきますね」

「あ、あぁ。行ってらっしゃい」

 ピリカはゴーレムの元へと向かった。
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