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24話 インタビューにて
その後、迷宮から帰還した俺たちは、カイトたちの元へと訪れた。
カイト達にはテノールが既に死んでいたと伝え、テノールの装備品を形見として渡した。
その時、カイト達は悲しげな表情をしていたが、俺にはそれが演技であることがすぐにわかった。
あれから数日後、俺たちはとある豪華な建物の一室にいる。
カイト達は約束通り、インタビューで俺たちを呼んだのだ。
しかし、こんな豪華な建物でインタビューを受けるなんて……腹が立つな。
「アルガ、時間よ」
「さぁ、行きましょう」
「あぁ、そうだな」
俺たちはインタビュー室へと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「──と、いうわけでディシート迷宮に挑んだんですけれど、……あ、来ましたね」
俺たちがインタビュー室にやってくると、既にインタビューは始まっていたようだ。
カイト、ケン、ネルカが豪華な赤い椅子にふんぞり返っている。
そんな彼らにインタビューをしているのは、黒いスーツを纏った記者。
彼女の後ろには、カイト達の言葉を一言一句ノートに写している記者もいる。
「あの、こちらの方は……?」
と、疑問をぶつける記者。
なんだ、事前に俺たちが訪れることを伝えていないのか?
「えぇ、紹介します。ディシート迷宮で敗北を喫した俺たちを、救ってくれたアルガさん達です!!」
別にお前たちを救ったわけではないのだがな。
「アルガ……あぁ、獣人と追放聖女をパーティに加えている、変人パーティ達ですよね? え、こんな人たちが、カイトさん達を救ったんですか?」
なんて口の悪い記者なんだ。
俺たちの実力も知らない分際で蔑みやがって、これだからマスゴミは嫌いなんだ。
「えぇ、まだ話の途中でしたけれど……実は俺たち、ディシート迷宮で敗北したんですよ」
「は、敗北ですか!? 今を時めく、あのカイトパーティが!?」
「ディシート迷宮のボスはミノタウロスの特殊個体でした。通常個体なら何とか勝てたでしょうが、特殊個体になると……やはり勝利は難しかったです」
「なるほど……あ、そういえばさっきから気になってはいたんですが、テノールさんはどこにいるんですか?」
「実は……テノールは死んでしまいました」
「え、えぇえええええええええええ!!」
「ディシート迷宮のミノタウロスに、殺されてしまったんです」
よくもそんなウソを吐けるな。
自分たちが捨てたというのに、本当に腐った連中だ。
「こ、こ、殺された……んですか?」
「はい。本当なら俺たちの手で復習したかったんですが、残念なことに俺たちではミノタウロスには手も足も出ませんでした。そこで復讐の代行を募集したんです」
「代わりにミノタウロスを倒してくれる、自分たちの復讐を代行してくれる人を募集したんですね」
「えぇ、その復讐代行が……このアルガさん達です」
「え、アルガ……さんたちが?」
おい、今呼びすてにしようとしただろ。
それになんだ、その疑うような眼差しは。
人を見かけや世間の評価で判断するなよ。
記者だったら、公平に判断しろ。
「アルガさん達はスゴイですよ!! なんでも、あのミノタウロスを一撃で討伐したらしいです!!」
「カイトさん達が手も足もでなかった、あのミノタウロスをですか!? それが本当なら……スゴイ話ですけれど……」
……気分が悪いな。
ピリカは露骨に眉間にシワを寄せている。
ラブリに至っては、今にも噛みつきそうな雰囲気だ。
「そんなスゴイアルガさんを……今日、この場を借りて勧誘しようと思います!!」
「お、おぉ!!」
「……はぁ」
どうせ、そんなことを言うとは思っていた。
カイトはズル賢いから、断りにくいこういう場で勧誘をしてくるのだ。
今回のインタビューでも、絶対に勧誘をしてくることは予見していた。
「アルガさん、アナタがテノールの友人であることは聞いています。魔法学院時代にテノールと競い合い、互いを高めあったライバル同士だったのでしょう?」
「……で?」
「テノールも苦しかったでしょう、悔しかったことでしょう!! もっと強く、もっと高みへとたどり着きたかったでしょう!! アルガさん!! そんなテノールの想いを、引き継ぎませんか!!」
「……はぁ」
「改めて言いましょう!! アルガさん!! 俺たちのパーティに加入してください!! テノールの想いを、受け継ぎましょう!!」
なんというか……滑稽だな。
テノールうんぬんなど、微塵も思っていないだろう。
カイトが考えていることは、テノールがいなくなったことの穴埋めだ。
テノールと同じく魔法職であり、尚且つテノールよりも強い俺のことを、どうしても仲間に引き入れたいのだろう。
……度し難いな。もう、救えないな。
「……カイト」
「はい!! で、お返事は!!」
「返事の前に、カイトに話がある人がいるんだ」
「……え?」
「入ってくれ」
と、俺は扉の前にいる人物に入室を許可する。
扉が開き、そこにいたのは──
「……は?」
「やぁ、カイト」
──テノールだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺はテノールを救出した際に、1つ命令を下した。
それは、本日のインタビューで真実を話すこと。
テノールはそれを了承し、本日やってきたという訳だ。
「て、テノール!! なんでテメェがこんなところにいるんだ!?」
「そうよ!! アンタは……死んだハズでしょ!!」
「そ、そうだ!! お前は……ミノタウロスに殺されたハズだ!!」
と、慌てふためくカイト達。
死者が現れたのだから、その反応も当然だ。
「……記者さん、俺の話を聞いてもらえますか?」
「あ、え、あぁ……。え、えっと……アナタは本当にテノールさん……ですか?」
「えぇ、僕はテノール・ヴァルガス。種族はエルフで得意魔法は火炎魔法、女神歴2022年に魔法学院を首席で卒業したテノールです。疑わしいのでしたら、他にも個人情報を話しましょうか?」
「い、いえ、だ、大丈夫です……。ですが、ど、どうして……この場に? あ、あなたは……死んだハズでは?」
「見ての通り、ピンピンしていますよ。ですが……死んだ方が彼らにとっては、都合がよかったのでしょう」
テノールはカイト達を、睨みつけた。
「記者さん、僕の話を聞いてくれますか?」
「え、あ、は、はい」
そして、テノールは語りだそうとするが──
「て、テノール!! 余計なことは言うなよ!!」
「そ、そうだ!! テメェ、殺してやるぞ!!」
「貴方、わかっていますわよね!!」
当然のように、カイト達はそれを妨害しようとしてくる。
真実が語られれば、カイト達の評判は著しく下がってしまうからな。
「《最上級の沈黙》《最上級の光束輪》」
「「「……!!」」」
だが、そんな彼らは俺の支援魔法で黙らせる。
今回だけは、テノールの味方だ。
「それでは記者さん、僕の……真実を聞いてください」
そこからテノールは、真実を語り始めた。
ディシート迷宮で捨てられたこと。
生死を彷徨い、助けを求め続けていたこと。
そんな中、自分を助けてくれたのは俺たちだということ。
カイト達は自分の死を望んでいて、自分の装備だけを回収したがっていたこと。
その他、様々なことを語っていく。
闇賭博への参加や、違法魔道具の密売を行っていること。
これまでに幾人もの冒険者を勧誘し、無能と判断した段階で解雇を繰り返していること。
裏の依頼で殺人などの犯罪を、いくつも請け負っていたこと。
カイト達の情報を、数々流していく。
記者はテノールが話すたびに、愕然とした表情になる。
「──以上が、僕の知る真実です」
テノールが語り終えると、室内にはシーンと静まり返る。
テノールの語った全てが、あまりにも衝撃的過ぎたのだろう。
「……な、なるほど……ですが、ニワカには信じられないですね」
「ですが、全て真実です。特に解雇された被害者は、この場にもいますよ?」
「……え?」
テノールはニコッと、俺に微笑む。
バトンタッチという訳だな。
「その被害者の1人が俺です」
「もう1人が私よ」
ズイッと、俺たちは前に出た。
記者はビクッとしたが、マスゴミに配慮する必要はない。
「ひ、被害者……ですか?」
「えぇ、俺たちはカイト達に追放されました」
「こいつの都合で勧誘されて、不要だからって捨てられたのよ」
「な、なるほど……ちなみに追放された被害者って……まだいますか?」
「えぇ、何人もいるハズよ」
「カイト達は優秀な冒険者には、片っ端から勧誘していたので恐らく……最低でも10人はいると思いますよ」
実際、正史では現時点でも十数人は被害にあっていた。
追放された彼らに会うことはなかったが、恐らく……酷い人生を送ったことだろう。
そんな彼らの為にも、ここでカイト達の真実を語る必要がある。
これから生まれるかもしれない被害者の為にも、ここで真実を語る必要がある。
「なるほど……それは……言葉が出ませんね。あまりにも……凄惨ですね」
「えぇ、彼らは人畜無害な表情をした、ただの悪魔です。一刻も早く、彼らの冒険者の称号を剥奪すべきだと思いますよ」
「ホント、コイツ等って救えないわ。自分たちもそれほど優秀ではないのに、それを棚に上げて他の人には無能のレッテルを張り付けるんだから」
「それはひどい話ですね……」
よし、こんなものでいいだろう。
このインタビューが世間に広まれば、カイト達は終わるからな。
「それでは言いたいことは全部言い終わりましたので、俺たちはここでお暇します」
「え、そうですか……? もしよければ、もっとお話をお聞かせ願いませんか?」
「続きは本人たちから聞いてください」
俺はカイト達にかけた魔法を解く。
「あ、アルガ!! て、て、テノール!! な、何を言っているんだ!!」
「そ、そうだぜェ!! お、俺たちが、そ、そ、そんなこと、す、す、するハズないだろ!!」
「そ、そ、そ、そうですわ!! う、ウソを吐くのも、や、や、やめて欲しいですわね!!」
「動揺しすぎだぞ」
態度で答えを表している彼らを冷笑しながら、俺たちは部屋を後にした。
「アルガ!! お前は絶対に……許さないからな!!」
「テノール!! テメェは必ず……殺してやる!! ウソ吐き野郎!!」
「ラブリ!! 獣人の女!! あることないこと言って、卑怯者ですわよ!!」
後ろからは、醜い抗議の声が響いていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、俺たちは建物の入り口までやってきた。
「ありがとうアルガ、僕の……言いたいことを言わせてくれて」
「感謝は良い。それよりもカネを出せ」
「う、うん……あと、これも貰ってくれるかい?」
テノールは金貨数十枚と自身の装備を渡してきた。
「『ホワイトスパイダーのコート』と『水龍の杖』か」
「それは僕の最強装備だ。是非キミに使ってほしくてね」
「そうか、だが俺には不要だ」
『ホワイトスパイダーのコート』を破り捨て、『水龍の杖』を握り折る。
テノールは一瞬驚愕の表情を浮かべたが、すぐさま元の疲れきった表情に戻った。
「お前の施しなど、必要ない。俺はお前とは違って、強いからな」
「そうか……それなら仕方ないね。……ねぇ、アルガ。実は僕……冒険者を引退しようと思っているんだ」
「ほぉ?」
だろうな、と思った。
心が折れたテノールは、引退するだろうと予想していたからな。
「僕はもう……これ以上は──」
「──それ以上は続けるな。お前の理由なんて、どうでもいい」
長くなりそうなので、遮る。
テノールの独白など、誰も聞きたくない。
「そうだね……うん、ごめん」
「用は済んだか? さっさと失せろ」
「うん……じゃあね、アルガ。これまで……ごめんね」
「謝罪をしてスッキリするのは、自分だけだぞ。俺は一生、お前を許さないからな」
「うん……でも、ごめんね」
そうして、テノールはトボトボと去っていった。
彼の背中は異様に小さく、情けなく見えた。
「……いいの? あのまま帰らせて」
「一生癒えない傷を負わせないんですか? あの人って、アルガさんが恨んでいた人ですよね?」
「あぁ、構わない。既に一生癒えない傷は与えたからな」
テノールは今後、無様な一生を送ることだろう。
拠り所にしていたパーティに見捨てられ、俺という見下していた存在に敗北した。
プライドの高いテノールには、あまりにも大きな傷だ。
与えられた傷は今後一生、癒えないだろう。
「……ざまぁみろ」
小さくなるテノールの背中に、俺は小さく呟いた。
カイト達にはテノールが既に死んでいたと伝え、テノールの装備品を形見として渡した。
その時、カイト達は悲しげな表情をしていたが、俺にはそれが演技であることがすぐにわかった。
あれから数日後、俺たちはとある豪華な建物の一室にいる。
カイト達は約束通り、インタビューで俺たちを呼んだのだ。
しかし、こんな豪華な建物でインタビューを受けるなんて……腹が立つな。
「アルガ、時間よ」
「さぁ、行きましょう」
「あぁ、そうだな」
俺たちはインタビュー室へと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「──と、いうわけでディシート迷宮に挑んだんですけれど、……あ、来ましたね」
俺たちがインタビュー室にやってくると、既にインタビューは始まっていたようだ。
カイト、ケン、ネルカが豪華な赤い椅子にふんぞり返っている。
そんな彼らにインタビューをしているのは、黒いスーツを纏った記者。
彼女の後ろには、カイト達の言葉を一言一句ノートに写している記者もいる。
「あの、こちらの方は……?」
と、疑問をぶつける記者。
なんだ、事前に俺たちが訪れることを伝えていないのか?
「えぇ、紹介します。ディシート迷宮で敗北を喫した俺たちを、救ってくれたアルガさん達です!!」
別にお前たちを救ったわけではないのだがな。
「アルガ……あぁ、獣人と追放聖女をパーティに加えている、変人パーティ達ですよね? え、こんな人たちが、カイトさん達を救ったんですか?」
なんて口の悪い記者なんだ。
俺たちの実力も知らない分際で蔑みやがって、これだからマスゴミは嫌いなんだ。
「えぇ、まだ話の途中でしたけれど……実は俺たち、ディシート迷宮で敗北したんですよ」
「は、敗北ですか!? 今を時めく、あのカイトパーティが!?」
「ディシート迷宮のボスはミノタウロスの特殊個体でした。通常個体なら何とか勝てたでしょうが、特殊個体になると……やはり勝利は難しかったです」
「なるほど……あ、そういえばさっきから気になってはいたんですが、テノールさんはどこにいるんですか?」
「実は……テノールは死んでしまいました」
「え、えぇえええええええええええ!!」
「ディシート迷宮のミノタウロスに、殺されてしまったんです」
よくもそんなウソを吐けるな。
自分たちが捨てたというのに、本当に腐った連中だ。
「こ、こ、殺された……んですか?」
「はい。本当なら俺たちの手で復習したかったんですが、残念なことに俺たちではミノタウロスには手も足も出ませんでした。そこで復讐の代行を募集したんです」
「代わりにミノタウロスを倒してくれる、自分たちの復讐を代行してくれる人を募集したんですね」
「えぇ、その復讐代行が……このアルガさん達です」
「え、アルガ……さんたちが?」
おい、今呼びすてにしようとしただろ。
それになんだ、その疑うような眼差しは。
人を見かけや世間の評価で判断するなよ。
記者だったら、公平に判断しろ。
「アルガさん達はスゴイですよ!! なんでも、あのミノタウロスを一撃で討伐したらしいです!!」
「カイトさん達が手も足もでなかった、あのミノタウロスをですか!? それが本当なら……スゴイ話ですけれど……」
……気分が悪いな。
ピリカは露骨に眉間にシワを寄せている。
ラブリに至っては、今にも噛みつきそうな雰囲気だ。
「そんなスゴイアルガさんを……今日、この場を借りて勧誘しようと思います!!」
「お、おぉ!!」
「……はぁ」
どうせ、そんなことを言うとは思っていた。
カイトはズル賢いから、断りにくいこういう場で勧誘をしてくるのだ。
今回のインタビューでも、絶対に勧誘をしてくることは予見していた。
「アルガさん、アナタがテノールの友人であることは聞いています。魔法学院時代にテノールと競い合い、互いを高めあったライバル同士だったのでしょう?」
「……で?」
「テノールも苦しかったでしょう、悔しかったことでしょう!! もっと強く、もっと高みへとたどり着きたかったでしょう!! アルガさん!! そんなテノールの想いを、引き継ぎませんか!!」
「……はぁ」
「改めて言いましょう!! アルガさん!! 俺たちのパーティに加入してください!! テノールの想いを、受け継ぎましょう!!」
なんというか……滑稽だな。
テノールうんぬんなど、微塵も思っていないだろう。
カイトが考えていることは、テノールがいなくなったことの穴埋めだ。
テノールと同じく魔法職であり、尚且つテノールよりも強い俺のことを、どうしても仲間に引き入れたいのだろう。
……度し難いな。もう、救えないな。
「……カイト」
「はい!! で、お返事は!!」
「返事の前に、カイトに話がある人がいるんだ」
「……え?」
「入ってくれ」
と、俺は扉の前にいる人物に入室を許可する。
扉が開き、そこにいたのは──
「……は?」
「やぁ、カイト」
──テノールだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺はテノールを救出した際に、1つ命令を下した。
それは、本日のインタビューで真実を話すこと。
テノールはそれを了承し、本日やってきたという訳だ。
「て、テノール!! なんでテメェがこんなところにいるんだ!?」
「そうよ!! アンタは……死んだハズでしょ!!」
「そ、そうだ!! お前は……ミノタウロスに殺されたハズだ!!」
と、慌てふためくカイト達。
死者が現れたのだから、その反応も当然だ。
「……記者さん、俺の話を聞いてもらえますか?」
「あ、え、あぁ……。え、えっと……アナタは本当にテノールさん……ですか?」
「えぇ、僕はテノール・ヴァルガス。種族はエルフで得意魔法は火炎魔法、女神歴2022年に魔法学院を首席で卒業したテノールです。疑わしいのでしたら、他にも個人情報を話しましょうか?」
「い、いえ、だ、大丈夫です……。ですが、ど、どうして……この場に? あ、あなたは……死んだハズでは?」
「見ての通り、ピンピンしていますよ。ですが……死んだ方が彼らにとっては、都合がよかったのでしょう」
テノールはカイト達を、睨みつけた。
「記者さん、僕の話を聞いてくれますか?」
「え、あ、は、はい」
そして、テノールは語りだそうとするが──
「て、テノール!! 余計なことは言うなよ!!」
「そ、そうだ!! テメェ、殺してやるぞ!!」
「貴方、わかっていますわよね!!」
当然のように、カイト達はそれを妨害しようとしてくる。
真実が語られれば、カイト達の評判は著しく下がってしまうからな。
「《最上級の沈黙》《最上級の光束輪》」
「「「……!!」」」
だが、そんな彼らは俺の支援魔法で黙らせる。
今回だけは、テノールの味方だ。
「それでは記者さん、僕の……真実を聞いてください」
そこからテノールは、真実を語り始めた。
ディシート迷宮で捨てられたこと。
生死を彷徨い、助けを求め続けていたこと。
そんな中、自分を助けてくれたのは俺たちだということ。
カイト達は自分の死を望んでいて、自分の装備だけを回収したがっていたこと。
その他、様々なことを語っていく。
闇賭博への参加や、違法魔道具の密売を行っていること。
これまでに幾人もの冒険者を勧誘し、無能と判断した段階で解雇を繰り返していること。
裏の依頼で殺人などの犯罪を、いくつも請け負っていたこと。
カイト達の情報を、数々流していく。
記者はテノールが話すたびに、愕然とした表情になる。
「──以上が、僕の知る真実です」
テノールが語り終えると、室内にはシーンと静まり返る。
テノールの語った全てが、あまりにも衝撃的過ぎたのだろう。
「……な、なるほど……ですが、ニワカには信じられないですね」
「ですが、全て真実です。特に解雇された被害者は、この場にもいますよ?」
「……え?」
テノールはニコッと、俺に微笑む。
バトンタッチという訳だな。
「その被害者の1人が俺です」
「もう1人が私よ」
ズイッと、俺たちは前に出た。
記者はビクッとしたが、マスゴミに配慮する必要はない。
「ひ、被害者……ですか?」
「えぇ、俺たちはカイト達に追放されました」
「こいつの都合で勧誘されて、不要だからって捨てられたのよ」
「な、なるほど……ちなみに追放された被害者って……まだいますか?」
「えぇ、何人もいるハズよ」
「カイト達は優秀な冒険者には、片っ端から勧誘していたので恐らく……最低でも10人はいると思いますよ」
実際、正史では現時点でも十数人は被害にあっていた。
追放された彼らに会うことはなかったが、恐らく……酷い人生を送ったことだろう。
そんな彼らの為にも、ここでカイト達の真実を語る必要がある。
これから生まれるかもしれない被害者の為にも、ここで真実を語る必要がある。
「なるほど……それは……言葉が出ませんね。あまりにも……凄惨ですね」
「えぇ、彼らは人畜無害な表情をした、ただの悪魔です。一刻も早く、彼らの冒険者の称号を剥奪すべきだと思いますよ」
「ホント、コイツ等って救えないわ。自分たちもそれほど優秀ではないのに、それを棚に上げて他の人には無能のレッテルを張り付けるんだから」
「それはひどい話ですね……」
よし、こんなものでいいだろう。
このインタビューが世間に広まれば、カイト達は終わるからな。
「それでは言いたいことは全部言い終わりましたので、俺たちはここでお暇します」
「え、そうですか……? もしよければ、もっとお話をお聞かせ願いませんか?」
「続きは本人たちから聞いてください」
俺はカイト達にかけた魔法を解く。
「あ、アルガ!! て、て、テノール!! な、何を言っているんだ!!」
「そ、そうだぜェ!! お、俺たちが、そ、そ、そんなこと、す、す、するハズないだろ!!」
「そ、そ、そ、そうですわ!! う、ウソを吐くのも、や、や、やめて欲しいですわね!!」
「動揺しすぎだぞ」
態度で答えを表している彼らを冷笑しながら、俺たちは部屋を後にした。
「アルガ!! お前は絶対に……許さないからな!!」
「テノール!! テメェは必ず……殺してやる!! ウソ吐き野郎!!」
「ラブリ!! 獣人の女!! あることないこと言って、卑怯者ですわよ!!」
後ろからは、醜い抗議の声が響いていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、俺たちは建物の入り口までやってきた。
「ありがとうアルガ、僕の……言いたいことを言わせてくれて」
「感謝は良い。それよりもカネを出せ」
「う、うん……あと、これも貰ってくれるかい?」
テノールは金貨数十枚と自身の装備を渡してきた。
「『ホワイトスパイダーのコート』と『水龍の杖』か」
「それは僕の最強装備だ。是非キミに使ってほしくてね」
「そうか、だが俺には不要だ」
『ホワイトスパイダーのコート』を破り捨て、『水龍の杖』を握り折る。
テノールは一瞬驚愕の表情を浮かべたが、すぐさま元の疲れきった表情に戻った。
「お前の施しなど、必要ない。俺はお前とは違って、強いからな」
「そうか……それなら仕方ないね。……ねぇ、アルガ。実は僕……冒険者を引退しようと思っているんだ」
「ほぉ?」
だろうな、と思った。
心が折れたテノールは、引退するだろうと予想していたからな。
「僕はもう……これ以上は──」
「──それ以上は続けるな。お前の理由なんて、どうでもいい」
長くなりそうなので、遮る。
テノールの独白など、誰も聞きたくない。
「そうだね……うん、ごめん」
「用は済んだか? さっさと失せろ」
「うん……じゃあね、アルガ。これまで……ごめんね」
「謝罪をしてスッキリするのは、自分だけだぞ。俺は一生、お前を許さないからな」
「うん……でも、ごめんね」
そうして、テノールはトボトボと去っていった。
彼の背中は異様に小さく、情けなく見えた。
「……いいの? あのまま帰らせて」
「一生癒えない傷を負わせないんですか? あの人って、アルガさんが恨んでいた人ですよね?」
「あぁ、構わない。既に一生癒えない傷は与えたからな」
テノールは今後、無様な一生を送ることだろう。
拠り所にしていたパーティに見捨てられ、俺という見下していた存在に敗北した。
プライドの高いテノールには、あまりにも大きな傷だ。
与えられた傷は今後一生、癒えないだろう。
「……ざまぁみろ」
小さくなるテノールの背中に、俺は小さく呟いた。
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本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!
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俺は慈悲深い人間だ。
だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。
だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。
馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。
俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
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出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。