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聖女候補、準聖女という謎の肩書を頂く。
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「くぅ……さすが山の秋。早めの雪が降ったから身構えてはいましたけど、それでも寒いですね」
そう、この辺りはいつもなら冬の中盤ごろから深い雪に覆われるので今の時期はまだ雪がない想定でローブを仕立てたのです。
お陰で判定式の会場である教会の寒いこと!
見物人もたくさんいるから人の熱で暖かくなるなんてとんでもない話でした。
濃いめの紅を引いておいてよかったと思う寒さですね。
現聖女様からお言葉をいただいた後は順番に判定ができる魔導具に魔力の鑑定をさせるだけの儀式なのですが、待ち時間が苦行のよう。
ああ、足が氷になる前に名前を呼ばれたい……。
だれですか身分の低い順だなんて考えたの……まあ防寒具を用意できる人が長く待つのは合理的と言えば合理的ですが……。
「ルアーナ嬢、こちらへ」
歩く度にローブに目を奪われる人々が視界に入ってきます。
水晶に魔力を込め、元の場所に戻るまでずっと背中にチリチリとした視線を感じます。
いえ、まだ続いていますね。
さすがめざとい方々。新商品だと気付かれたのでしょうか?
「それではこれより選定の告知を行う。聖女候補は前へ」
魔力を込めた水晶の魔導具から羊皮紙に印字される文字は、全員で一斉に魔力を流さないと安定せずすぐに消えてしまいます。
「さあ、現れよ、我らを導き、救う者よ」
「発表する。聖女は……アルテ嬢及びルアーナ嬢である!」
「えっ」
なぜ私?
しかも聖女が2人?
私も会場も聖女が並び立つとは想定していなかったので波のようにざわめきが大きくなっていきました。
「なぜ、なぜ私じゃないんですの?なんで私じゃなく傷物のこの人なんですの!!!!!!」
「静粛に!アルテ嬢は庶民出身という事もあり魔力操作におぼつかない所があるため、準聖女としてルアーナ嬢が選ばれた。ただそれだけの事だ。きちんと勉学に励んでいれば歴代の聖女にそのようなケースがあったこと位は知っているはずだが」
いえ、それはそうなのですが……知識としては知っていましたけれども。
え、私、聖女なのですか?
あんなに俗にまみれた商売を行い、聖女として選ばれないように最善を尽くしたのに?
今ずるずると連れられて退場している方より頑張ったのに?
「私の……悠々自適……スローな毎日が……」
「ルアーナさん、心配はいりません。アルテさんがうまく結界を張れるようになるまでの練習や相談相手を少ししていただくだけです。あなたのお店に支障がでることの無いように手配しますから」
あら、ひそひそととても良いことを聞きました。
なるほど、練習相手だけならば王族との婚約候補として過度に虫除けされることはそこそこ避けられそうですね。
なおかつ、それに一番近い触れ込みを手に入れられると。
「そうです。聖女とはいえ、準聖女は一時のみ。どうかお力をお貸しください」
あらまあ、そんな聖女さまにまでお願いされては……。
ふふ、すぐに商売人に戻れそうならこれは勝機。
そうと決まればこれは逃す手はありませんね。
「あの、その……私がまだ未熟ですみません。出来る限り早く結界を張れるように頑張るので、その」
「……かしこまりました。準聖女、謹んでお受けいたします。」
式が終わった後、速攻でローブの生地を使った商売を行う許可を得たことは、もう皆さんの想像の通りです。
そう、この辺りはいつもなら冬の中盤ごろから深い雪に覆われるので今の時期はまだ雪がない想定でローブを仕立てたのです。
お陰で判定式の会場である教会の寒いこと!
見物人もたくさんいるから人の熱で暖かくなるなんてとんでもない話でした。
濃いめの紅を引いておいてよかったと思う寒さですね。
現聖女様からお言葉をいただいた後は順番に判定ができる魔導具に魔力の鑑定をさせるだけの儀式なのですが、待ち時間が苦行のよう。
ああ、足が氷になる前に名前を呼ばれたい……。
だれですか身分の低い順だなんて考えたの……まあ防寒具を用意できる人が長く待つのは合理的と言えば合理的ですが……。
「ルアーナ嬢、こちらへ」
歩く度にローブに目を奪われる人々が視界に入ってきます。
水晶に魔力を込め、元の場所に戻るまでずっと背中にチリチリとした視線を感じます。
いえ、まだ続いていますね。
さすがめざとい方々。新商品だと気付かれたのでしょうか?
「それではこれより選定の告知を行う。聖女候補は前へ」
魔力を込めた水晶の魔導具から羊皮紙に印字される文字は、全員で一斉に魔力を流さないと安定せずすぐに消えてしまいます。
「さあ、現れよ、我らを導き、救う者よ」
「発表する。聖女は……アルテ嬢及びルアーナ嬢である!」
「えっ」
なぜ私?
しかも聖女が2人?
私も会場も聖女が並び立つとは想定していなかったので波のようにざわめきが大きくなっていきました。
「なぜ、なぜ私じゃないんですの?なんで私じゃなく傷物のこの人なんですの!!!!!!」
「静粛に!アルテ嬢は庶民出身という事もあり魔力操作におぼつかない所があるため、準聖女としてルアーナ嬢が選ばれた。ただそれだけの事だ。きちんと勉学に励んでいれば歴代の聖女にそのようなケースがあったこと位は知っているはずだが」
いえ、それはそうなのですが……知識としては知っていましたけれども。
え、私、聖女なのですか?
あんなに俗にまみれた商売を行い、聖女として選ばれないように最善を尽くしたのに?
今ずるずると連れられて退場している方より頑張ったのに?
「私の……悠々自適……スローな毎日が……」
「ルアーナさん、心配はいりません。アルテさんがうまく結界を張れるようになるまでの練習や相談相手を少ししていただくだけです。あなたのお店に支障がでることの無いように手配しますから」
あら、ひそひそととても良いことを聞きました。
なるほど、練習相手だけならば王族との婚約候補として過度に虫除けされることはそこそこ避けられそうですね。
なおかつ、それに一番近い触れ込みを手に入れられると。
「そうです。聖女とはいえ、準聖女は一時のみ。どうかお力をお貸しください」
あらまあ、そんな聖女さまにまでお願いされては……。
ふふ、すぐに商売人に戻れそうならこれは勝機。
そうと決まればこれは逃す手はありませんね。
「あの、その……私がまだ未熟ですみません。出来る限り早く結界を張れるように頑張るので、その」
「……かしこまりました。準聖女、謹んでお受けいたします。」
式が終わった後、速攻でローブの生地を使った商売を行う許可を得たことは、もう皆さんの想像の通りです。
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