本当はあなたを愛してました

涙乃(るの)

文字の大きさ
56 / 60
第三部

リナを探して

しおりを挟む
「二人に協力してほしいことがあるの」

私は自分がルーカスにしたことを打ち明けることにした

軽蔑されることを覚悟の上で。

最初はリナの父親へリナに連絡をとりたいとコンタクトをとった

リナは心機一転出て行ったと、
必要なことがあれば自分が伝えるからと
連絡先は教えてもらえなかった

仕方なく人探しを雇って、隣街に住んでいることを突き止めた
子供がいることも

いてもたってもいられずに教えられた近辺に尋ねて回った

引っ越してきたのは何年前か
子供の容姿など

リナには会えなかったけれど


「誰にも邪魔されずにリナと話したくて、もしもリナと連絡が取れたら、この邸の部屋を借りてもいいかしら?」


「サラならいつでもこの邸は自由に使っても大丈夫だよ。
邸のことはいいんだけどさ、込みいったことを聞くけど、サラはその人と会ってどうしたいのか聞いてもいい?

まぁ、私も人のことを言えるほど綺麗な人生送ってないんだけどね」


「償いをしたくて」

「償い?
サラ、
厳しいことを言うようだけど、その人はサラに会いたくないんじゃないかな。

それでも会いたいと言うなら、その人をこれ以上傷つけないようにする努力は必要だと思う

この先同じように後悔することがないように」


「えぇ、分かってる
もうこれ以上後悔したくないの
だから、どうしても彼女に会いたいの」

サラは固い決意を込めた瞳でフェリクスを見つめる
 フェリクスはサラの強い意志を汲み取ると、これ以上止めても無駄だと判断した

「そう、そこまで決意しているのなら、仕方ないね、応援する
でも一人で勝手に突き進むのではなくて
相談して
いつでも話しは聞くから」


「ありがとうフェリクス」

いい加減だと思っていたフェリクスだけど、親身になってくれることに泣きそうになる

その後デボラと二人きりで今後の打ち合わせを細かく詰めた

「サラお嬢様、私も旦那様と同意見です…その方とはお会いにならない方がいいかと」

「そうかもしれないわね…でもどうしても会って伝えなければいけないことがあるの」


ルーカスに必要なのはリナだから
二人を会わせなければいけない

この頃の私は、取り憑かれたように
二人を元に戻すことが正しいことだと信じて疑わなかった



「デボラ、お願いがあるの。正直に話そうとしてもリナは聞く耳を持たないと思うの。
私が悪いんだけど…それでね
考えたのだけど、

反感をかって、私からルーカスを救いださなければと思うように誘導したいの。」

「サラお嬢様、それは間違っていると思います。ここは正直にご自分のお気持ちと謝罪がベストかと」

「いいえ、今さら謝罪を受け入れてもらえると思えない

無理でしょ…

正直にルーカスの側にいてほしいとお願いしたって、断られるに決まってる

あの時だって提案を聞いてはくれなかったわ

でも私がいなければ話は違うでしょう

だから全てを元通りにしたいの

大丈夫、二人には迷惑はかけないわ

でも少しだけ協力をお願いしたいの

ここに詳しくメモしてきたの」

メモにはリナを訪ねて、折り入って話したいことがあると呼び出すこと

お願いしても拒否された場合
どうにかすること。ただし暴力は禁止
など想定される状況に関する対処法を書いていた



「本当にこのように接するのですか?
どうにかするって、これではまるで誘拐ではありませんか⁉︎」


「無理矢理連れ去ることはしないわ。
暴力はしないわ、何かこう、精神的に圧を加えて一緒に来てもらうの」

「お嬢様、それは…人としてどうかと思います。
貴族社会では日常のことかもしれませんが、世間一般では非常識かと思います」

「でも、どうしても二人きりで話したいのだから、仕方ないでしょう?」


「仕方ないのでしょうか…

あの、失礼を承知で言いますが、だいぶ他の方とずれていると言われませんか?」

「ずれているのかしら」

はぁ とデボラの深いため息が聞こえた


✳︎✳︎✳︎第2部サラお嬢様と重複する部分有り✳︎✳︎✳︎
その日はデボラと一緒に行動していた

幸運なことに偶然リナを街で見かけた

探していた時には会えなかったのに、予期せぬ幸運に感謝した

流行る気持ちから思わず声をかけた

「リナ!」

リナはこちらに気づいていた
けれど、逃げるように走り去っていく

思い切り走ることなどしたことないので、自分では追いつくのは無理だと早々に諦めの判断をした

「デボラ、あの親子を連れてきてちょうだい」


そこでデボラにどうにかして邸に連れてきてくれるようにお願いした

多少強引な手を使っても致し方ないことだと

最終手段は子供に関する噂を流すと圧をかけるように伝えた

渋っていたデボラも「旦那様よりお嬢さまの意思を尊重するようにと申しつけられていますので」と、

「人生の階段を踏み外していく気がする」とつぶやきながらリナを追いかけた

一足先に邸へと心の準備も兼ねて戻ることにした
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

幸せな番が微笑みながら願うこと

矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。 まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。 だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。 竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。 ※設定はゆるいです。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

処理中です...