なぜか軟禁されてました〜脇役はどうしたらいいですか〜

涙乃(るの)

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第一部

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あれからひと眠りしたようだった。
手足を動かしてみようと思った。

あ、さっきよりはいいかも。

先程は全く動かせなかった手足も、多少痺れた感覚はあるものの、動かすことができた。
ゆっくりとそのまま起き上がることにした。

何とかベッドに腰掛けることができた。

このまま、洗面所まで行けるかもしれない。

ゆっくり、ゆっくりと歩を進めてみた。


手足の感覚はあまりない。
それでも、ぎこちないながらも、歩く分には支障はないみたい。


洗面所に行った後、ベッドに戻り腰掛けて一休みする。

サイドテーブルには、コップに入ったお水が置かれていた。

喉が渇いていたので、お水を頂くことにした。

『はぁ』

とても美味しい。

脱出は成功したののかな。


不安は拭えないものの、あの家から出られたという開放感は嬉しい。


早く、カイン様の元へ行きたい。

ーコンコンー

ノックの音が聞こえた。

「リィーン、起きてる?」

静かに扉を開けて、キースがこちらの様子を窺っていた。

『キース。本当にありがとう。
私、そろそろ、行かないと』

私は一刻も早くカイン様の所へと向かいたかった。


「えっ、そんな体で動くのはやめた方がいいよ。あと2、3日は安静にしないと
。解毒剤は、今日の夜にこれを飲んで。
1日2回解毒剤はきちんと飲んでね。
その都度渡すから。」

『あ、ありがとう』

「なんでもないですよ。それにあそこに侵入されたのバレたら上から怒られるし…あ、いや今の忘れて。さぁ、これを飲んで」

キースから解毒剤とお水を渡された。

『キース、私』

キースに自分の状況を、どこまで伝えたら良いのか分からなかった。
無条件に信じて良いのかも、分からなかった。

「リィーン、あ、もしかして家族に連絡したいとか?
良ければ俺が伝えに行くよ。
どうしても帰りたいなら、おぶって連れて行ってもいいけど」

『えっ! ううん、全然そういうことじゃなくて。
ここを離れたいというか、行きたい所があるというか』

「リィーン、もしかして…」

キースに何か疑われただろうか。

どうしよう、せっかくここまで来たのに。

「訳あり?あれでしょ…家出だね。違う?」

『えっ?』
予想外の言葉に戸惑ってしまった。

「そっかぁ~家出かぁ~。
だからあんな所にね~。
まぁでも、俺で力になれることがあれば、遠慮なく言って」

ーグゥー

『!』

突然私のお腹が盛大に音を立てた。
あまりの恥ずかしさに、逃げ出したくなった。

「ははっ、かわいい音だね。お腹空いてるだね。ちょっと待ってて。何かあるかも」

キースは、食べ物を探してくると言って、部屋を出て行った。

悪い人ではなさそうだけど、ちょっと早とちりする人みたいだ。


なんだか可笑しい。

「リィーン入るね。」

キースが戻ってきて、ベッドの側の椅子に腰掛けた。

「こんなものしかなくてごめんね」


キースが申し訳なさそうに、パンを手渡してくれた。

『このパンは?』


「あ、これは保存の効くパンなんだよね。先輩が非常時用に置いていたみたい。」


それは、長年ずっと届けられていたパンと同じだった。
とても見慣れたパンだった。

『非常時用…』

「あ、もしかしてリィーン初めて?
まぁ非常食だからね。」

初めてじゃない。ずっといつも食べていたパン。届けられなくなって、もう二度と食べられないのかもと恐れていた。
まさか、こんな形で見ることになるなんて。

「ごめん。食べられないかな。明日何か用意するから。」

『ううん。ありがとう。いただきます』

私は泣きそうになるのを必死に堪えて、
キースと一緒にパンを食べた。

とても懐かしい味がした。










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