呪われた?旦那様、お約束通り半年が経ちましたので離縁させていただきます〜不遇な令嬢エリーが溺愛されるまで〜

涙乃(るの)

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「ここだよ。」

宿屋に到着すると私達は男の子に案内されて中へと入る。

「お遣い行ってきたよ」


「おぉ、レオおかえり。おやそちらは?」

宿屋の主人はレオの後ろにいる私達をみて声をかける


「お客さんを連れてきたのかい?レオ」

「いや、客ではない。少し尋ねたいことがある」


「はて?私にですか」

「貴様!その態度は一一むぐっ」

いつの間に来ていたのか、マクスが旦那さまの口を塞いでいた。


「んぐッ、マクス、おみゃえいつのまに…」

「旦那様とエリー様を2人きりにする訳がないではないですか。いつも控えておりましたよ。気づいていなかったのですね」

さすがマクスね…

「旦那様、お静かに。
お騒がせしてすみません。あの、
私達だけで話せる場所とかありますか?」


私は、口を塞ぐマクスを隠すように前に出て、宿屋のご主人に話しかける


「はぁ、では奥にご案内します。
レオ、お茶をお出ししてから仕事に戻りなさい。ターシャの手伝いを」


「分かった。じゃあね。お姉さんたち」

レオは私達に手を振ると元気よく去って行った。


「そちらにおかけください」

私達はソファーを勧められてご主人と向き合って腰掛けた。

マクスは壁際に佇む。

「尋ねたいこととはなんでしょう」

「レオが届けてくれているお花のことです」

「もしかして、あなたがエリーさん?」

宿屋のご主人が私の名前を尋ねるので、驚きながらもそれに答える

「はい、いつもお花を頂きありがとうございます。それで一一」

「エリーに惚れているのか?奥方がいながら…むぐっ」

またしてもマクスが無表情に旦那様の口を塞いでいた。
その様子をご主人は怪訝そうな顔でみているので、慌てて注意を逸らそうと試みる

「だ、旦那様とマクスはとても仲が良くて…き、気にしないでください」

旦那様はマクスの手をふりはらうとご主人に向かって叫び出した。

「いいか!金輪際、エリーに近づくな。だいたいこんな1輪の花でエリーが靡くとでも思ったか」


「あはははっ」

突然笑い声がして、その声の方を振り向くと、朗らかに笑った女性がお茶を運んできていた

「ターシャ、笑うなよ」

「だって、あんたが…いや、失礼しました。私はここの女将のターシャと言います。うちの人が何やらご迷惑をかけたようで、代わってお詫びします。」

「俺は何も」

「あんたのそういう言葉の足りない所が問題なんだよ。さあさあ、まずはこちらでご一服を。」


ターシャさんはそう言ってお茶を用意してくれた。
私達は、一息つくと、ターシャさんの言葉を待った


「いえね、立ち聞きするつもりはなかったのだけれど、声がきこえてね、

では、あなたがエリーさん。
で、こちらは…旦那様なのでしょうね。そうですかぁ。エリーさんはご結婚されているのですかぁ。
それは…残念…


いえ、これは旦那様のことを否定している訳ではないのですよ、

ねぇ、あんた」

ターシャさんはご主人と目線を交わすと戸惑っていた。

旦那様が何か話そうとするとマクスがズイズイっと近づくので、旦那様も観念して口を噤んでいた。

それでも言葉を挟もうとした時は、私が旦那様の腕をつついて制止した。
 私につつかれると何故か喜ぶ旦那様。気のせいかしらね。


「実は、あの花は、ある騎士様に頼まれたのです。

以前、主人が森へ薪やキノコの採取に入った際に魔物に襲われたそうで。

足を負傷して、もう助からないと思ったその時に、その騎士様が助けてくださったそうです。

遠征から帰る時だったようですが、親切にこの宿まで負傷した主人を連れて帰ってくれました。


私は本当にその騎士様に感謝しております

命の恩人です。

何かお礼がしたくて何度も申し出たのですがすぐにお帰りになろうとして。

しつこく後を追いかけてしまって…

ちょうどお邸が見える辺りでしょうか、

騎士様がこうおっしゃたのです。

もし、

お言葉に甘えていいのなら、

花をある女性に届けてくれないかと。

二つ返事で私は引き受けました。

花は一輪でしたがその騎士様が毎回お持ちになりました。

世話をかけるからといくらかのお金も一緒に。

お断りしたのですが、気が済まないからと。

わたしどもはレオにお小遣い稼ぎをさせるつもりで、レオにお願いすることにしました

ご自分で届けないのは、何か事情がおありなのかとは思っていましたが。

てっきり片想いのお相手なのかと…

ご結婚されていた方とは…」

ターシャさんの話しを聞き終えると、私の心の中には彼の顔が思い浮かんでいた。
その騎士様が彼ではないかと…


まさかとは思うけれど。
もしかしてそうだったらいいなと

そんなはずないのに。

「では、次にその騎士が訪れるのはいつか分かるか?」

ターシャさんはご主人と顔を合わせると、沈んだ表情で答える


「もう、これで最後だとおっしゃっていました。詳しいことは分りません
わたしどもがお話しできるのは、これで全てです。」

「そうか、諦めたのだな。殊勝なこころがけだ。男は諦めが肝心。はは」

なぜか喜ぶ旦那様とは対照的に、私の心は暗く沈んでいった

「そうですか、あの、ありがとうございました」


もしかして、会えるのではないかと思ってしまった。

最後だと聞いて、がっかりしてしまうなんて…

お茶をいただいた後に、お礼を伝えて私達は宿屋を後にした。


帰り道、旦那様はもう邪魔者はいないから安心だとかご機嫌でマクスに語りかけていた。

私は心の中ではモヤモヤしていた

最後の花は白いコダだった



彼なのだろうか

彼だとしたら近くに来てくれていたのね




私がここにいると知っていたのね


結婚したのだと

それでも、花を贈ってくれていた




青いコダを

何も言わずにいなくなった私を許してくれるだろうか





私の中で、もしかしたらという都合のいい可能性が膨らんでいく



例え一輪でも、あなたの想いが込められたものならだったならば、わたしにとってはどんな花束よりも嬉しいわ

そして、白いコダ…別れの挨拶だったのかしら

どうか、彼の身に危険なことなどありませんように


私はただ彼の幸せを祈ることしかできなかった。
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