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4話 魔王、名を授ける
しおりを挟む朝とも昼とも夜とも言えない魔界の朝。
窓の外は相変わらず、薄紫の靄がかかっている。
魔王の間の椅子に寝起きの状態で座り込む。
昨日は色々ありすぎて、頭の中がスッキリしない。
まぁ、サラリーマン時代から、気になることがあると、熟睡できないんだよねぇ。
色々考えたけど、大筋はリリア、つまり勇者の
討伐イベントはあきらめて、この世界は撤退するのが
一番の良策と、オレの中では一応の結論が
出たのだが・・・
しかし、どうしてもシックリこない。
何かが引っかかる。
現実的に考えて、背に腹は代えられない
もんね。。。。
魔界の奴らの生活かかってるし。
長年やっていたら、こーゆー時もあるだろう。
まぁ、魔王が理由も無く消えるのは、
ファンタジー世界上、非常に矛盾するのだが、
それがシックリこない理由ではない。
うまくは表現できないが、なんか出来すぎというか、
お膳立てが整ってしまっているような・・・・
ん~~~~・・なんだかなぁ。。
とにかく、オレはこのシックリ来ないのを
検証するために、昨夜、レイグリッドに、ちょっと
無理な頼みをした。
レイグリッドは、お安い御用だと言っていたが・・。
「おはようございます。シュベル様」
レイグリッドが部屋に入ってきた。
「あぁ、おはよう。どうだった?」
「はい。仰せのままに、仕上げて参りました」
「さすがだねぇ~レイグリッド。仕事が早いわ」
「御褒めに預かり、光栄でございます」
そしてレイグリッドは「入られよ!」と
ドアに向かい声を掛けた。
「し・・・失礼いたします」
か細い声で、遠慮がちに入ってきたのは、
見目麗しい、まさしく貴婦人だった。
「おぉ!キレイじゃん!うんうん!どこから見ても、
貴族のご婦人だよーー!スタイルもいいし!」
「シュ・・シュベル様、それは言い過ぎでございます。
なんか・・慣れなくて恥ずかしゅうございます」
貴婦人は、顔赤く染め、うつむいてしまった。
「あはは、いいじゃん、いいじゃん!
まさかねーここまで化けるとはねー・・
いつもの白竜からは想像できないや」
彼女はレイグリッドの管轄下に
置かれている、白竜だ。
雌なんだよね。
で、人型になってもらったのだ。
でも、元々、人型になるスキルを持ち合わせて
いなかったため、一晩かけてレイグリッドが
取得させたのだ。
「でさ、レイグリッドから事情は聞いた?」
「いえ・・・あまり詳しくは・・・」
「そっか、シロ、実はその姿で、帝国に潜入して
欲しいんだよ。貴族のフリしてさ」
「あ、はい。それはレイグリッド様より伺って
おりますが、潜入して何をすればよろしいの
でしょうか?」
シロが不安げに上目遣いで、オレを見つめた。
うわっ、ヤッベー。。。シロってわかって
なかったら、理性がぶっとびそうだわ。。。
エロイわぁ。。
ま・・まさか、こんな仕草もレイグリッドが
教えたのか??
あ・・・・レイグリッドが教えている絵を
想像したら気持ち悪い・・。
「ま・・まぁ、見たまま、感じたままをそのまま
報告してほしいんだわ。
国境の状況は知っているだろ?
お前も空から見ているだろうし。
だから、中に入って生きた情報が欲しい。
お前の主観が入ってもかまわん」
「私に出来ますでしょうか??上手く
できるのか・・・・」
「うん、ムリはしなくてもいいよ。でも、もし
チャンスがあれば、王宮まで潜入してほしい。
で、ヤバくなったら、飛んで逃げろ
自分を優先してくれればいい」
「はい。シュベル様の命とあれば、この身が
潰えようとも全うする所存でございます」
力のこもった眼差しでオレを見つめた。
いつものシロの眼光だ。しっかりしている。大丈夫そうだ。
「シュベル様、あまり時間をかけることが
出来ませんでしたので、白竜の人型のスキルの
維持は若干、不安定でございます。
ご了承くださいませ」
レイグリッドが、シロを心配そうに見た。
仕方ないだろう。スキルなんて一朝一夕に
身に付くモノではない。
覚えてから何回も使い、熟練度を上げなければ
安定しない。
「そうだろうなぁ、元々、スキルが無かった上に、
ぶっつけ本番だもんなぁ」
オレはちょっと考えた。シロの事だから、
ムリするなと言っても、とことんやるだろう。
竜は生真面目だからねぇ。
「レイグリッド」
「はっ」
「シロに名を授けてもいいか?」
「は?シロにでございますか?
よろしいのでございますか?」
驚いたように、レイグリッドは目を見開いた。
「うん。スキルを安定させるためにも、オレ
の力を与えたい」
「シュ・・シュベル様、わ・・私に名を授けて
頂けるのですか?
有りがたき幸せにございます!
この命に代えても、任務を全ういたします!」
シロが感激のあまり、腰が抜けたように
座りこんでしまった。
「じゃぁ、レイグリッドもいいな?」
「はい。シュベル様が与えて下さるのであれば、
もちろん異存はございません。
白竜に名を授けていただけますでしょうか?」
「よし、簡易的にするが、契約は契約だ。
シロこっちに来い」
「はい」
シロが、オズオズと近寄ってきた。
しかし、近くで見ると、なおさら美人だなぁ。。
アカも人型の時、イケメンになるしさぁ。
ドラゴンて、容姿端麗な奴ばかりかよ。
今回は、アカみたいな、変な名前にしたら
ダメだよな。
ちゃんと考えなければ。
なんせ、偽名でなくちゃんとした契約なんだし。
少し考えてオレはある名を思いついた。
「よし、シロやるぞ。」
シロはオレの前で跪いている。
オレはシロの額に手を当てた。
「汝、我の従属たろうとする者よ、永遠にわが力を与えん。
我との契りに異存はないか?」
「ございません」
「汝を『ミリア』と命名する。我が魂と共にあらんことを!」
「共にあらんことを!」
これでシロ、いやミリアはオレの従魔となる。
オレが存在する限り、ミリアは魔力切れに
なることはない。
さらに、竜から魔界龍となる。
ハッキリ言って、メッチャ強いっすよぉ!
「ミリア?位が上がったねぇ。うふふ」
契約によって光に包まれたミリアに話しかけた。
「はい。有りがたき幸せ」
「よかったですねぇ、ミリア殿」
レイグリッドが微笑んで言った。
まぁ、レイグリッドはミリアの親父みたいな
もんだからなぁ。
これでミリアは、魔将と同格。
つまり、レイグリッドとも同格ということになる。
「シュベル様、では早速、帝国へ行ってまいります。
ご報告は、随時、念話にて行います」
「うん。頼んだぞ」
ミリアは部屋を出ていった、しばらくすると
窓の外に、白銀に光る竜が東に向かい、飛んでいくのが
見えた。
ーーーーーーーーーーーファデラ王国ーーーーーーーーーー
リリアは王都の宿の自室で、窓から空を見ていた。
「私は、何のために召還されて今まで、頑張って
きたんだろう・・・・」
召還されてからレベルを上げるため、実戦を
繰り返し、訓練し、スキルも手に入れ、やっとの思いで
辿り着いた任務だった。
それは「魔王討伐」
そのためだけに生かされ、生きてきた。
「なんで公国なんかに。私は兵士じゃない・・・・勇者なのに」
リリアは悔しかった。もうすぐそこまで、
手に届く所まで来ていた。
自分の存在意義を、存在理由を立証できるはずだった。
やるべきことができない。させてもらえない状況に
憤りと悲しみを感じていた。
5年前。
女勇者、聞こえはいいが、現実は厳しかった。
パーティを組むにしても、女というだけで、
魔王には勝てない、ムリだと判断され、
協力してくれる者はいなかった。
仲間を募っても、誰も来ない。
しかし時間は刻々と過ぎていく。
魔族は待ってくれない。人々が災いに巻き込まれる。
リリアは仲間を作るのを諦め、一人で
戦う事にした。
一人で魔の森に入り、ダンジョンに入り、必死で
魔物と戦ってきた。
しかし、レベル上げは遅々として進まなかった。
ある日、魔の森で、サーベルタイガーの
魔獣と出会った。
健闘したものの実力差は大きく、全てを諦めかけた時、
一本の燃える矢がサーベルタイガーの眉間を貫き、
サーベルタイガーは倒れた。
矢の主は、ダークエルフだった。危ない所を
救われた。
「貴様、無謀ではないのか?近接戦であやつに
勝てるとでも、思ったのか?」
厳しい口調でダークエルフは怒鳴った。
「わかりません・・・わかりませんけど!
私は!私は戦わなければならないのです!!」
積もり積もった思いのたけが溢れた。
「うむ。。何か事情があるみたいだな。
話すがいい。聞こう」
ダークエルフは、目の前のか弱そうな女の子の瞳に
強い意志を感じた。
リリアは名を名乗り、話した。勇者として
召還されたことを。
しかし女であるために、仲間が出来ないことを。
そして・・
自分一人で、戦おうとしたことを。
ダークエルフの名はパメラとリリアは聞いた。
彼女は西の大陸から中央大陸に単身で来ていた。
里の近郊に魔獣が出没し、妹が魔物にさらわれた
という。
ファデラ王国近郊で妹を見かけたという噂を聞き
探すために、里を出て旅をしているところだった。
「そうであったか・・・・我も女であるからな。
気持ちはわかる」
「パメラさんも、おひとりで戦われているのですか?」
「ん?あ、あぁ。我は森の民だ。一人であっても
森が味方をしてくれる。
それに、我はパーティとやらが苦手でなぁ」
「やはり・・・・一人ではムリなんでしょうか。。
いつまでたっても強くなれないですし。。。」
「うーむ。。そうだなぁ。。サーベルタイガーごとき、
一撃で倒すぐらいにならなければ、魔王は到底
倒せぬな。。。」
「そう・・・・ですよねぇ。。。」
リリアはうつむき、唇を噛んだ。
その様子を見ていたパメラは、やがて意を決したよう
に言った。
「よし!我が仲間になろう!一緒に一からやり直そう!」
「え・・・・?ほ・・ホントですか?で・・
でも、パーティは苦手なんじゃ?」
呆気にとられたように、リリアはパメラを見た。
「そうだが、実は冒険者の男どもが苦手でな、
あはは・・
アイツら別の目的で仲間になろうとするからな」
「あぁ、パメラさん、おキレイですものねぇ」
リリアはパメラを見て感じた事が、そのまま
口から出た。
「あぁ?あはははは、そりゃ光栄だ!
リリアも可愛いぞ?」
「いえ・・・そんな・・・・」
リリアは顔を赤らめた。
「でも、本当にいいんですか?私、本当に弱いです」
「うん。今はな。でも時間がかかってもいい!
時間が倍かかっても、
倍強くなればいいのだ!リリア!
諦めるのはまだ早い。
共に力をつけ、共に魔王を倒そうではないか!」
「は・・・・はい!!ありがとうございます!そ・・
それと、よろしくお願いします!」
リリアは立ち上がり、頭を下げた。
「うん!」
パメラがニッコリと笑った。
それから二人は、魔物を狩りまくった。
二人なので、すぐに阿吽の呼吸で連携が取れる
ようになった。
しかし、やはり魔法士と壁役が不在なのは、
戦略的なバリエーションを欠いた。
最終的には力技でねじ伏せるしか無かったのだ。
二人は悩み、考え、独自の戦い方を編み出した。
リリアは、回復魔法のみを取得し、魔力配分を
超光速百斬剣という刀スキル取得に特化した。
つまり、一撃のパワーでなくスピードの勝負に出た。
パメラは、火属性魔法と水属性、地属性の魔法を取得し、
さらに弓だけでなく拳闘士のスキルも覚えた。
二人で4役のパーティに仕上げたのだった。
レベルも上がり、装備も充実させ、満を持して
魔王討伐に出立した。
リリアが召還されてから5年。
パメラと出会ってから4年の歳月が過ぎていた。
「リリア?」
パメラが部屋に戻ってきた。
「あ、あぁ、おかえりなさい」
リリアの様子を見て、パメラはワザと明るく振舞った。
「リリア?公国までの道のりは長い。
戦いながら進むと我らはもっと強くなれるぞ?」
「え?・・・・はい!そうですね!」
リリアはニッコリ笑った。
パメラの心遣いが分かった。
こんな私と共にいてくれて、感謝してもしきれない。
私がこんなんじゃダメだ!今まで一緒に居てくれた
パメラさんに申し訳ない。
今、やれること、やらねばならないことに
真摯に向き合おう!
リリアは、改めて心に誓った。
ノリッチ公国までは、馬で10日かかる。
途中、村や街があるが、野宿も避けられない。
リリアとパメラは、旅の準備にかかった。
全ての武器、防具の修理と手入れ、それに
必要な消耗品などを揃える。
兵士達も公国に向かうため、武器・防具の修理は
順番待ちとなった。
修理屋に急ぎを頼んだが、2~3日かかるとの
事だった。
出発は4日後ということになった。
---------帝国ーーーーーーーーーーーーー
元白竜、現ミリアは帝国の王都に潜入した。
魔王の使命を受け、即日、帝国入りしたのだ。
一夜漬けではあるが、特訓の成果か、
誰も自分を、貴族婦人として疑ってはいない様子
だった。
名前をミリア=レイオットと名乗った。
苗字は、帝国に数多くある、ありきたりな苗字。
レイオット家のを拝借した。
日本で言えば、「鈴木」「佐藤」の類の多さである。
ミリアは表向き、明晩行われる王宮での舞踏会に行く
という理由で王都に宿を取った。
貴族達が利用する定番の宿であった。
常日頃、上空から観察しているので、王都内の街中は
地図を見なくとも把握できていた。
部屋に入ると、一息ついた。
「はぁ・・・・人型って、意外と窮屈で疲れるわね。
それに、このドレスって面倒なモノねぇ」
ミリアは人型を維持するのに、気を張っていた。
魔王の魔力がなければ、すでに竜の姿に戻っていたかも
しれなかった。
「明日の舞踏会に潜り込む手段を考えなければ・・」
王都に入るとき、門番に、「舞踏会へのご招待ですか?」
と聞かれた。
咄嗟に返事できず、ニッコリ微笑んだだけだったが
門番は通してくれた。
街に入り、聴力を上げ、周囲の話を拾い上げてみると、
明晩、王宮で貴族を集めた舞踏会が開かれるらしい。
魔王から、できれば王宮に入れとだけ言われていたが、
これは、いいチャンスだと思った。
ミリアは名前を授けてくれた魔王に、なんとか報いたかった。
このチャンスを利用する他ないと考えていた。
念話が入った。
4魔将の一人、魔女のリベラだった。
「ミ・リ・ア様♡」
「リベラ様!からかわないでくださいぃ」
「あらぁ、素敵なお名前なのに、呼ばれるのは
オイヤですか?うふっ」
「いやぁ・・・まだ慣れてませんので。。。」
「それで、どう?大丈夫な感じ?」
「はい!お陰様で。バレてなさそうです!」
「それは良かった。。貴女、スジがよろしくてよぉ。
うふふ」
「本当に、立ち居振る舞いから、歩き方、仕草まで
教えていただき、ありがとうございました!」
貴婦人風の立ち居振る舞いや仕草などを、事細かく
リベラに教えてもらったのだ。
それは、もはや特訓だった。
「そんなこといいわよぉ。貴女は私の大事な
お友達なんですから。それにもう同格なんですから、
様はいらないわよぉ。リベラって呼んで」
「リベラ様と同格なんて、とんでもございません。
親しくさせて頂いているだけで、十分です」
リベラとミリアは仲の良い友達だった。
担当地区は違えども、
一緒に居る事が多かった。姉妹の関係に近いものが
あった。
「でもぉ、シュベル様から名付けをされるなんて、
妬けちゃうわあ。
羨ましい。どこにいても、シュベル様の魔力を
感じれるなんて」
「はい、私も、お名前を頂けるってシュベル様が
仰ったときには、もうドキドキでした。
額に手を当てられたとき、失神しちゃうかと
思いました。あははは」
「いいわねぇ、貴女。触っていただけて、竜の時には
背中にも乗って頂けるし。
私なんか、いくら挑発しても、指一本触れて
下さらないのに」
リベラが少し拗ねたような口調で言った。
「まぁ、とにかく、今度の女子会で貴女のお名前の
お披露目をしなくちゃねぇ。楽しみだわ」
「あ、例のファンクラブですかぁ?うふふ」
ファンクラブとは、言う間でもなく、魔王の
ファンクラブだ。
意外と現魔王は、魔界の女子や保護された女性達
など種族を問わず人気があるのだった。
それゆえに、互いに抜け駆けを許さない
ように、非公式のファンクラブという形で、
女子の間での不可侵条約を結んでいるのであった。
もちろん、作ったのはリベラであり、第一号会員が
白竜。今でいうミリアだった。
その関係もあり、二人は特に仲が良かった。
「そう。まぁ、貴女のお仕事が終わらない事にはね。
すぐ帰れそう?」
「まだ、わからないですけど・・・・。
そうだ、リベラ様、明晩、王宮で舞踏会があるん
ですけど、どうすれば入れるんでしょう?」
「舞踏会?うーーん。それなら招待状がいるわねぇ
・・ナンパしちゃう?」
「ナ・・・・ナンパ???なんですか?それ」
「シュベル様がぁ、街に行ったとき、帰ってきたら
よく仰ってるじゃない。
今日はナンパできたとかぁ、失敗したとかぁ。。」
「あ、それなら赤竜から聞いています」
「それって、殿方が女性にお声を掛けて、仲良くなる
ことらしいわょ?」
「へー、そうなんですか。それって女性からも、していい
ことなんでしょうか?」
「うーん。そういうの逆ナンって言うらしいわよぉ。
シュベル様が仰っていらしたわ」
「でもぉ、どうすれば・・・・」
「貴女、私が教えた宿に入ったの?」
「はい」
「じゃぁ、そこには貴族の殿方達がいらっしゃる
わよねぇ?」
「うーーーーん・・・たぶん、おられるかと・・・」
「じゃぁ、人目に着く所で、一人でお茶でもして
なさぁい。
貴女の美しさなら、必ずどなたか声を掛けて
きますわよ」
「わ・・・わかりました。では早速、下の
フロント辺りに行きます」
「あ、そうそう、ドレスの胸元は大きく開けて
おくのよー」
「は・・・・はい!」
ミリアは念話を切ったあとドレスの胸元を大きく
はだけ、そそくさと下の階へと行った。
---------帝国王宮 王の間ーーーーーーーーー
帝国国王、アーベルト=レンブルグは、大陸地図を
前に、不気味な笑みを浮かべていた。
背が高く、ガッチリとした体躯、髪の毛は白く
後ろに纏めている。
右ほほの切り傷が、歴戦の戦士だったことを
物語っている。
帝国領は困窮していた。周辺諸国同士の諍いで、
作物は不作が続き、家畜も減っていった。
中央大陸の豊かな大地は、喉から手が出るほど
欲しい領地であった。
今、周辺諸国で帝国に謀反を起こす国は無かった。
帝国領内の戦力を結集し、中央大陸に攻め込む
チャンスは今しか無かったのだった。
突然、王の周辺に靄がかかり、部屋の空気が
重くなった。
「帝国の王よ・・・・」
重く響く声が、王室の静寂を打ち消した。
やがて、王の目の前に人影が現れた。
「これは!魔王様!」
「我の指示通り、準備は整っておるか?」
「はい。ご指示頂きました通り、兵を国境まで
配備しております」
「数は?」
「はっ!全て完了いたしますれば、40万程と
なりましょう」
「よかろう。攻め入る際には、我が魔力で全ての
兵を魔人としよう。
勝ち戦にはなるであろうが、策は怠るな」
「はっ!承知いたしました。恐れながら魔王様、
侵略反対派の貴族及び元老院の者どもは
明晩、舞踏会に集めてございます」
「ふむ。それは約束通り我が始末する。くれぐれも
感ずかれぬようにな。抜かるなよ」
「畏まりましてございます」
魔王と呼ばれるモノは、音もなく忽然と
姿を消した。
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セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
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