異世界=勇者!じゃなくて魔王だっ!!

リーマンズ・ハイ

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 11話 魔王、準備万端!

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 ----ノリッチ公国国境付近-----
 
 
 ザリアスは、凄惨な風景を眺めていた
 
 「ふぅ・・一通り蹴散らしたか・・
  リベラはどうかな・・」

 ザリアスは念話でリベラに呼びかけた
 
「そっちの首尾はどうだ?リベラ」

「まぁ、大体は片付いた感じだわねぇ」

「こっちもだ。いくらか取り逃がしたがな」

「まぁ、同じ感じよ。でも、魔人っていうから
 楽しめるかと思ったけどぉ、あんまり歯応えが
 なかったわぁ・・」
 
「あぁ。そうだな。
 それと寝返った部下共を探したつもりだが
 一人も見つけることが出来なかったわい」

「なんか・・捨て駒って感じじゃなぁい?
 こいつら」

「自分も、そう感じた。あまりにも弱すぎる」

 ザリアスもリベラも戦いながら、あまりの脆弱さに
違和感を感じていた。

「ま、一度魔王国に戻ろう」

「そうね。シュベル様とレイグリッド様には
 私が念話で報告しておくわぁ」
 
「うむ。頼んだ」

 ザリアスは部隊をまとめ、戦死者数を洗った。
 
「4分の1ほどやられたか・・まぁ、良しとしよう」
 
 ザリアスは全軍を、瞬間移動で魔王国に引き上げた。

 ノリッチ公国での戦いは、一応の成果が出た。
旧帝国兵らの全滅には至らなかった。
約3万程の兵が逃亡した。

 もともと、指揮官らしい指揮官も持たなかった
旧帝国兵らは、帝国領内に帰るもの、そのまま
ファデラ王国を目指すもの、ノリッチ王国近辺に
身を潜めるものなど、バラバラに霧散した。
 
 取り逃がしはしたが、全滅状態に等しいものだった。

 リベラらが感じていた通り、ガルドはノリッチ公国
の10万の兵は最初から捨て駒、囮として見ていた。

 ローゼリ率いる、ゲリラ部隊が、国境での
戦いのどさくさに紛れ、ノリッチ公国を抜け、密かに
各国主要都市に向かっていた。
 
 ザリアスの元部下の指揮官たちは、それぞれ
このゲリラ部隊の指揮を執っていた。

 ガルドの作戦の軸はこちらだった。

 ファデラ王国に隣接する国に侵攻した部隊は、
ガルドの号令で一斉にファデラ王国の王都に向け
侵攻し、それ以外の国に侵攻している部隊は
ライトリム公国を攻撃する計画である。

 その後は、西大陸に侵攻し制覇する。
東の大陸と西の大陸を抑えれば、中央大陸は
必然的に手に落ちる。
 現段階では中央大陸は、あくまで西への
通り道程度にしか考えて無いのだった。

 ファデラ王国への侵攻は、ファデラからの
出兵を抑えるための効果も狙っていた。

 いずれも、ノリッチ公国での囮軍団と違い、
統率されている軍だった。
 
 
 「シュベル様・・・リベラです」
 
 リベラから念話が入った。
シュベルは移動中だった。 
 
 「うん」
 
「国境の魔人兵たちは、おおかた、片付きました。
 でも・・ちょっと変な感じを受けました」
 
「どうした?」

「なんていうか・・その、歯応えがないというか
 弱いというか・・」
 
「残党は?」

「バラバラに散りました。恐らく、もう戦力
 としては使えないと思われます」
 
「そうか。わかった。オレはもうすぐ村に入る。
 今日はそこで宿を取るつもりだ。
 着き次第、一旦、瞬間移動で魔王国に戻る。
 皆にも、そう伝えてくれ」
 
「わかりました。レイグリッド様には?」

「お前から伝えてくれ」

「承知いたしました。では、後程」

 念話が切れたあと、シュベルは考えた。
 
 やっぱ、囮だったかぁ。
そっちの作戦で来るよなぁー・・
オレだったらそうするもんよ。
めんどくせぇー。
 攻撃準備が整うまでにガルドを倒さないと・・・
 
 
「アカ、村まであとどれぐらいだ?」

 シュベルは、馬車を操るアカに声を掛けた。

「はい。あと2~3時間ぐらいで着くと思います」

「そうか」

 シュベルは馬車の中で眠る、リリアとパメラを見た。
 
 リリア、寝顔も可愛いぃ!パメラもこうやって
大人しく寝てたら、美人だし、イイ女だけどなぁ・・
 
 しかし、リリアも召還されてるよなぁ。勇者で。
前はどんな世界にいたんだろう。
 あとで話すときがあれば、聞いてみよ。
 
 シュベルを二人の寝顔を見ながら、今後の事を
考えていた。
 
 
 
------ダークエルフの村-------


「そうですかぁ。そのような事が・・」

 マルセルは、事実と現状を聞かされ、驚きを
隠せないでいた。
 
「で、そのガルドとかいう方は、いつ頃、
 この西の大陸に攻め込んできそうなんでしょう?」

「まだ、ハッキリとはわかりませぬが、最短であと
 10日。長くともあと15日ぐらいだと思います」
 
「な・・なんと・・」
 
 マルセルは声を失った。遠い話と思っていたが、
いきなり現実味をおびてきたのだ。
 
「お父さん。ガルドはねぇ、ミリアをイジメたの。
 ミリアは大けがして、まだ寝てるんだよ」
 
「み・・ミリア?」

「あ・・あぁ。ミリアとはニコレ殿の仲の良い
 友達なのです」

 レイグリッドは、ニコレが、ミリアを竜だと
言わないよう願った。
 
「うん!背中に乗せてくれて、飛んでくれるの!
 いろんな所に飛んで連れてってくれたの」
 
 アタタタタ・・・・・レイグリッドは思った。

「飛んで?」

「あぁ、その、驚かれるやも知れませんが、
 実はミリアというのは、竜・・でして・・」
 
「そう!そこにいるクロも竜だよ!」

 ニコレが無邪気に笑って、はしゃいで言った。
 
「お・・おぉ・・そ・・そうでしたか。
 流石、魔界の方々。色んな方がおられるん
 でしょうなぁ。ハッハハハ」
 
「す・・すみません」
 
 レイグリッドは、なんとも言えない表情で
言った。

「いやいや、お気になさらず。ニコレがはしゃいで
 いる所を見ると、良くしてもらっていたのが、
 わかります」

「恐れ入ります」

「で、レイグリッド様、今の我々の置かれている現状 
 はよく理解できましたが、ご相談とは?」

 マルセルが、本題と思われる事を聞いた。
 
「はい。厚かましいですが、2つほど、お願いが
 御座いまして、伺った次第です」

 そこに、リベラから念話が入った。
 
「レイグリッド様。リベラです」

「うむ。ちょっと待ってください」

 レイグリッドはマルセルに少し席を外すと申し入れ
族長の家から出た。

「どうでしたか?」レイグリッドが話を再開した。

「はい。国境の軍は弱かったですわ。なんか変でした。
 ほぼ壊滅には追いやりましたが、
 イヤな感じですわねぇ」
 
「なるほど。やはりシュベル様の考えが当たって
 いそうですねぇ」

「そのようですわねぇ、シュベル様に報告しましたら
 近くの村に着き次第、一旦、魔王国に戻ると仰って 
 ましたわ。レイグリッド様にもそのよう、
 お伝えしろと」
 
「わかりました。私もこちらの話が終わり次第
 戻ります」
 
「承知しました。では後程」

 念話が切れた 
 
 レイグリッドは席に戻り、話をつづけた。
 
「まず一つ目のお願いなのですが、私共は、ここ
 2日で魔王国を引き払うことになっております。

 しかしながら、2日で全てが終わるとは
 思えません。
 私どもとしましては、この世界に若干名残り
 片づけるべきことを終わらせたいと
 思っております」
 
「片づけるべきこと・・とは?どういう・・」

 マルセルが尋ねた 
 
「先ほどから名が出ている、ガルド一味の殲滅です」

「なるほど・・」

「ついては、事が片付くまで、一時的に、この村に
 拠点を置かせて頂きたいのです」
 
「わかりました。
 それはもちろん、お引き受けいたします。
 村の者にもちゃんと話しておきますので、
 ご安心ください」 
 
「ありがとうございます」
 
 レイグリッドが感謝を述べ、頭を下げた。
 
「次の1点ですが、
 マルセル殿より各種族の族長にお声を掛けて頂き、
 現状をお話ししていただきたい」
 
「それは、この西の大陸の存亡に関わることですから
 話をお聞きしたときから、
 そのつもりでございました」
 
 マルセルが応えた。
 
「はい、実はその上で、各種族より戦士を集めて
 頂きたいと思っております」 

「それは・・まとめる・・という解釈でよろしい
 ですかな?」

「はい。出来ますれば、マルセル殿が纏めて
 頂ければ 心強いと考えております」

「ふむ・・・・」

 マルセルは腕を組み、考えだした。そして
 
「数はどれほど必要なんでしょう?」

「少なくとも5万」

 レイグリッドはマルセルを見つめ、良い返事を
願っていた。

「うーむ・・・・」

 マルセルは考えた。
 
 この西の大陸には11の種族がいた。
どの種族にも、もちろん戦士がいる。
5万という数を集めるのは、さほど難しくない。

 しかし、別種族を全てまとめるとなると、
一筋縄ではいかない。マルセルはそこを躊躇していた。
 
 レイグリッドに交渉を託したとき、
シュベルもそこを一番懸念していた。
 
 しかし、危機は迫っている。各種族が手を合わせ
侵略を防がないと、自分たちの居場所がなくなる。
これは紛れもない事実であり、現実だった。

 考えた挙句、マルセルは一つの提案を導いた。
 
「レイグリッド様、兵は集まるでしょう。
 各種族の連携を取れるように、
 私は尽力させていただきます。
 しかし、各種族とも誇りがあります。
 私が頭目として纏めるのは難しいでしょう。
 
 そこでご提案なのですが、此度の他種族との
 連合の頭目はリベラ様にお願いできません
 でしょうか?」
 
「な・・リベラに・・ですか?」

 レイグリッドは意外な提案に驚いた。
 
「はい。私はリベラ様のお人柄は
 存じているつもりです。
 あの方なら各種族とも知っているでしょう。
 もちろん、魔界の方であるのは私しか
 知りませんが」
           
 レイグリッドは考えた。リベラかぁ・・・
思ってもなかった。

 もちろん、シュベル様も考えには無かった
だろう。
 
「おもしろい!いいです!その件、私から主に
 話してみます。いやぁ、素晴らしいお考えだ。
 恐れ入りましてございます」
 
「いやいや・・アッハッハ。苦し紛れの考えです
 恐縮です」
 
 
 その後、話し合いは順調にすすみ、拠点の提供の
手筈も整い、会談が終了した。
 
「では、これにて失礼させていただきます」

「はい。ではこちらの拠点は、つつがなくご用意して 
 おきます。ご遠慮なくお使いください」

「はい。ご厚意、感謝いたします」

「ねぇ、ミリアは?ミリアは来る?」

 ニコレがレイグリッドに聞いた。

「ニコレ殿、ミリアもこちらに来ます。
 あと2日ほどお待ちください」
 
 レイグリッドが優しく応えた
 
「うん!待ってる。じゃぁねっ!」

 ニコレは嬉しそうに笑った。

レイグリッドとクロは、魔王国へと飛び立った。


 
 シュベルは村に着いた。
ここまでの道程で、魔人兵と行くたびか
遭遇したが、大した時間もかけず、
全て排除してきた。

 戦い方はシュベルの予想通りであった。
アカが壁役として、前に出る。
パメラが先制の弓を放つ。

シュベルが広域魔法で雑魚を一掃する。
リリアがボスキャラを始末する。

ほとんどRPGのゲームの流れと同じだった。
 
 戦いを重ねるうちに連携も取れるようになり
苦戦を強いられることは無かった。

 戦うたびに、リリアとパメラの強さに圧倒される
シュベルとアカだった。
 
 適当な宿を取り、荷を解いた。
部屋は2部屋になった。

「あーーあーーーやっぱリリアとは別部屋かぁー」

 シュベルは期待はしてなかったものの
やはり現実にはガッカリしていた。

「当たり前ですよ。シュベル様。そのあたりは
 レイグリッド様からしっかり見張るようにと
 言われてますから。
 変な気は起こさないでください」
 
「べべ・・別に変な気なんか・・持ってねーし」

「でも、あのお二方は、強いです。
 私もいささか、驚きました」
 
「あぁ・・あそこまでになるの、
 相当、頑張ったんだな・・あの二人」
 
「私もあのお二方の戦い方を見て、
 刺激を受けました」
 
「ん?ふっふーん・・刺激って?なぁに?
 ななな・・なんかエロイこと??うひひ」

 シュベルがニタニタと笑い、アカを見た。
 
「そ・・そんな!!私はシュベル様とは違います」

「そっかぁー??お前??
 パメラなんか、好みだろう??イッヒッヒ」
 
 赤い竜が、顔を赤くした。
 
「い・・いや、そそんなこと!私は竜ですから!」

「そっかぁ~~~ん??パメラの動き、
 目で追ってたぞぉぉ・・お前」 
 
「そそ・・それは戦い方が素晴らしいもので・・」

「そっか~ぁ♡ アカは強い女が好みかぁ~イヒッ」

「さささ・・さぁ、そろそろ食事に行きましょう」

「ウフッ♡ いいよぉ~・・いこっかぁ~イヒヒ」

 常日頃から真面目な、アカをからかうのが
 大好きなシュベルであった。
 
 食事を終え、シュベルは宿の外に出た。
適当な人目につかない場所を探し、瞬間移動で
魔王国へ戻るつもりだった。

 宿を出てしばらく歩くと、後ろからリリアが
声を掛けてきた。
 
「ヨースケ様?どちらへ?」

(あちゃ、見つかってしまった)

「あ・・あぁ、ちょっと散歩というか、
 村の外に様子を見に行こうかと・・」

「お一人で・・ですか?」

「え?ま、まぁ、この辺りからは来た事が無い
 ところだしね、ちょっと好奇心というかね」

「そうですか。私も、来た事が無い土地は
 ワクワクします」

 リリアがニッコリ笑って答えた
 
(だだだだ・・だからぁ!
  その笑顔は反則だってぇ!
   自覚してないのがタチ悪い!)
 
 シュベルは見とれてしまった。
 
「う・・ううん。そそうなんだ」

(なな・・なんだオレ!!
 中坊じゃあるまいし、このリアクションわっ!!)
 
「と・・ところでさぁ、リリアは勇者で
 召還されたんだよね?」

 オレは近くにある適当な岩に腰をかけた。
リリアもつられるように、隣に座った。 

「はい、もう5年前にもなります」

 リリアが空を見上げ遠い目をした。
 
「その、召還される前はどんな世界にいたの?」

「え?ヨースケ様、違う世界にいた話なんて
 信じられるんですか?」
 
 リリアが驚いたように、シュベルの顔を見た
 
(信じるもなにも、
 オレだって召還されてるんだよっ!魔王だけど)

「そりゃ、信じるよ。だって召還だもの
 何があっても不思議じゃないだろ?」
 
「そうなんですかぁ・・誰も信じてくれないと
 思っていました」

 リリアはホッとした顔して微笑んだ。
 
「実は私、あまりハッキリとは覚えてないんです。
 ただ、いつもなんか眩しいって感じてたのと
 急に暗くなったりとかで、あいまいなんです。
 ただ、この世界とは絶対違うんです。
 空気も匂いも、感触も。
 
 家族もいたかどうか・・でも、そのわりには
 いつも傍に沢山の人がいたような・・・」
 
「ふーん。記憶が飛んでるんだねぇ・・」

「はい。私の持っているハッキリした記憶は
 この世界に召還されてから後の事だけしか
 ないんです」

「それは・・なんというか。寂しいな」

「はい。でも!パメラさんと出会って、
 ヨースケ様やアカ様とも出会って。
 空っぽの私が段々埋まっていくような感じで、
 なんか幸せです!」
 
 と、リリアはニッコリと笑った。
 
(でで・・でたぁーっ!!殺人スマイル!!
 もう、死ぬわっ!死ぬっ!!
 いや、もういっそ殺して♡)
 
「まま、まぁ今はこれが現実だもんな」

 シュベルは続けた

「でさ、リリア」

「はい?」

「もうそろそろ、そのヨースケ様っての
 や・・やめない?ヨースケでいいし」
 
「え?え?・・いいきなりは難しいです」

「じゃぁさ、せめてパメラと同じ、さん付けで
 いいからさ、とにかく様はやめよう?」

「はは・・はい。頑張ります」

「あははは、まぁ頼むよ。それと!
 これあげるから付けてみて」
 
 シュベルは時々自分が使う『ステータスリング』
を渡した。

 ただのエメラルドの指輪だが、シュベルの魔力を
こめていた。

 シュベルは本来の自分の力をセーブするため
指輪にステータスを設定し、使っていた。

 リリアが使えば、逆に全てのステータスが
大幅にアップすることになる。

「これは・・指輪?なんか高価では?」

「いや、高価じゃない。これはステータスリング
 なんだよ。
 これを付ければ、魔力・身体能力・精神力
 なんかが、アップするんだ」
 
 とシュベルは言い、リリアの右手の中指に
付けた。
 
(ヤッベ!!ヤヤヤッベ!手ぇ触っちゃたよー!
 ここ・・今晩、触った手をクンクンしよ!)
 
「ちょっとサイズがデカいな。待ってて」

 シュベルは、魔法をかけ、リリアの指に
ピッタリとなるよう調節した。

「い・・いいんですか?このような貴重な
 モノ・・」

「うん、リリアは前線に出るからね、
 オレは後方だから、これはリリアが
 付けた方がいい」

 再びリリアの手を取り、指輪をつけた。
 
「どう?付けた感じは?」

「なんか、右手が温かくなってきました」

「うん。それが力になる。明日、戦ってみたら
 わかるよ」
 
「あ・・ありがとうございます!!!」

 リリアが弾けるよな笑顔を向けた

(あ・・あ・・来た・・スマイルビーム!
 も・・もう、身が持たん・・)
 
「じゃ・・じゃぁ、オレ、その辺ぶらついて
 戻るから、リリアは部屋に帰りなよ。
 明日また、頑張ろうぜ!」
 
「はい!!お休みなさい!!」

 リリアはペコリと頭を下げ、部屋へ戻って
いった。
 
「さぁ、魔王国に戻るか!」

 シュベルは瞬間移動をした。
 
 
 
------魔王国-------


 シュベルは魔王国の自室に戻った。
既に、レイグリッド、リベラ、ザリアス
アヤメ、クロと揃っていた。
 ミリアはまだ伏せっている状態だった。
 
「さぁ!話をまとめようか!」

 シュベルが全員に声をかけた。
 
「まず、ザリアス、兵はどれくらい残った?」

「はっ!5000ほど削られましたが、現在
 魔人軍は総勢35000程です」
 
「わかった。レイグリッドの首尾はどうだった」

「はい。拠点の件は受け入れて頂けるとの
 ことです。
 ただ・・」
 
「ただ?」

「各種族の戦士を5万といのは、問題なさそうですが」

「やっぱりかぁ、頭を取るのが・・問題だよなぁ」

「それで、ダークエルフの族長のマルセル様が
 妙案を・・」
 
「ほう!どんな?」

「各種族の連携やサポートはマルセル様がお
 引き受けくださります。
 ただし、此度の頭目は、リベラ殿にと・・」
 
「え?えーーーーっ!!」

 リベラが驚きのあまり、声を上げた
 
「むむむ・・ムリです!!指揮すら出来ないのに
 そんな、まとめるだなんて!」
 
「へーーー!あははっはっはっは!!
 スゲェー!それオモシレーじゃん!!!」
 
「シュ・・シュベル様、私にはできません!
 よくご存じでしょう?私の性格!!」
 
「知ってるよぉ・・イヒヒ。自分勝手で気まぐれで
 まるでネコだもんな、お前!アハハハ!」
 
 シュベルは笑った。スゴイことを思いつくと
ある種のリスペクトをマルセルに感じた。

(やっぱ、自分ひとりじゃダメだな、色んな人の
 意見を聞かないと。)
 
「よーーーし!!乗った!!その話!!」

 シュベルが声を上げた。
 
「え・・・えーーー・・そんなぁ・・・」

 リベラが、ガックリと椅子に座った。
 
「フフフ・・では、そのように・・」

 レイグリッドは笑いをこらえ言った。
 
「リベラ、モノは考えようだ!
 お前、一応、各種族の族長は知ってるんだろ?」
 
「えぇ、そりゃまぁ、5年もいましたし。
 魔族と知っているのは
 マルセルさんだけですけど」
 
 リベラがブツブツと口を尖らせて言う。

「そうなると、やはり適任者はお前しかいないよ。
 誰もが崇める、大魔女だからなぁ!ウフフ」
 
 そして、シュベルは気を取り直し、威厳のある声
でリベラに言った。

「リベラ!」

「は・・はい!」

 リベラは背を伸ばした。
 
「お前に命ずる。直ちに西の各種族の族長を集め
 西の大陸の防衛線を守るよう、兵を拠出させろ!
 数は最低でも5万だ!
 補佐としてマルセルを使え。いいな?」
 
「畏まりましてございます」

 リベラは観念して、シュベルに跪いた。
 
「ザリアス!」

「ハッ!」

「貴様はライトリウム公国の東の国境を守れ
  兵の配備は異転完了後の7日後でいい。
  2万の兵を行かせろ、それ以外の兵は
  異転させろ。
  それまでは、兵を使い、空になった魔王国と
  西の大陸の入口を全て塞ぐのだ」
  
「承知いたしました。では15000の兵は
 2日後に異転させます」
 
「うん、異転先でも何があるかわからんからな」

「これで、万が一、ガルドの兵が攻め込んで
 きても数では、それなりに対抗できる。
 まぁ、それまでに、ガルドの首を取るがな」
 
 シュベルは言った。
 
「そうですございますね。
 ガルドが墜ちれば、魔力が消え
 魔人も普通の人間に戻るでしょうから」 
 
 レイグリッドが言った。
 
「そうだ。これも時間との勝負だな」

「アヤメ!」

「はい!」

「お前は、海魔族の親父と連絡を取れるように
 しろ。
 ガルドが接触してきたら、教えてもらえ
 オレは今、帝国領の内陸にいるから、海域から
 は離れている。
 情報が入り次第、念話でオレに報告しろ」
      
「承知いたしました」

「レイグリッド」

「はい」

「帝国領の東沿岸からファデラ王国の
 北部沿岸まで
 船でどれくらいかかりそうだ?」
 
「まぁ、運ぶ兵の数にもよりますが・・
 5~6日かと」

「そうか、ま、そうだろうな。
 恐らく、ファデラ王国の北部沿岸に着く頃に
 ゲランかローゼリが、そこで待つだろう。
 ま、兵は着かないけどね。フフフ」
 
「フフフ・・そうですな」

「着く頃を見計らって、北部沿岸にいけ。
 クロと行くのだ」
 
「はっ!」

「で、そこにいるゲランかローゼリか、まだ
 わからんが、いずれにしても始末しろ」
 
「畏まりました」

「で、陸からくる奴も空から見つけ次第
 始末するんだ。ゲランもローゼリも
 レイグリッド、お前が始末してくれ」
 
「承知いたしました」

「指揮を執ってる奴さえ始末すれば、
 あとは烏合の衆だ。取るに足らん」
 
 シュベルが一息ついた、そして
 
「東大陸沿岸から海路でくる兵の最終的な
 数はわからん。
 でも、いくらになろうが、
 一人もファデラ王国の北部沿岸には辿り
 着けない」

 シュベルが言い放った。理由を説明しだした。
 
―ーーージウバとの話し合いの時ーーーーー

「だろ?実はさ、ここからが本題なんだ・・・・」

「うむ、小僧、言うがいい」

「潮の流れを変えてもらいたいんだ」

「どこにだ」

「オレたちのいる、魔王国の北岸にさ」

「ほう?そんなことをすれば貴様の国に
 攻め入るのではないのか?
 それに、その前に航路が違うと
 気づくじゃろう?」
 
「うん、でね、全員が出港したあとに
 セイレーンがオヤッさんとこいるじゃん?
 彼女に歌ってもらって」
 
「ん??・・おっ!なるほど分かった!
 セイレーンに幻惑させるんじゃな?」
 
「そう、そして魔王国を中央大陸と思いこませて
 欲しいんだよ」
 
「その後はどうするんじゃ?」

「あはは、全員、無人の魔王国に居れたあと
 魔王国を封印する!閉じ込めるのさ。
 10万ぐらいの兵なんか余裕で入るし」」
 
「ほっほほほほ!!それは愉快な作戦じゃのぉ!!」

「オレたちは、もうすぐこの世界から
 異転するんだよ。魔王国も、もうすぐ
 引き払う。
 オヤッさん、いろいろ
 世話になったけど、お別れだ」
 
「うぐぅぐっ・・うっうう・・・」
 
 ジウバが泣き出した
 
「泣くなよ、オヤッさん!」

「ううぅう・・ううむ、以前より聞いておった
 ことだがのぅ・・目の当たりにすると
 寂しいもんだのう・・」     

「なぁに300年もすれば、また戻ってくるって!」

「馬鹿もん!そんなにワシは生きておらんわ!!」

 ジウバは言った。
そして二人はお互いの顔みて、大笑いした。
 
       
ーーーーー魔王の部屋------

「・・・・という仕掛けだ!」

 全員がクスクス笑いだした。
 
「あはははは!かなりガルドらを
 おちょくった作戦ですな!!」
 
 ザリアスが大笑いし、言った。
 
「そうだな、おそらくファデラ王国の北部沿岸に
 兵を待って、ゲランかローゼリが
 ポツーーーーーーーーーーンと一人で
 待っているんだろうな。来ないとも
 知らずに」
 
「そこに追い討ちをかけて、レイグリッド様の
 登場ですのね?
 レイグリッド様、おいしいですわね?
 オホホホホ!!」

 リベラが高笑いして言った。
  
「そうですな、奴らの『してやられたっ』と
 悔しがる顔を見るのが、今から楽しみです」
 
「ま、そういうことだから、異転は必須。
 そして、早く西側の大陸の出入り口を
 固めて先に封印をしておかないとダメ
 なんだ。
 一度に2箇所の封印が出来ないからね」
 
「お任せください。必ず早期に出入り口を
 塞ぎます」
 
 ザリアスが立ち上がり胸を張った。
 
「うん。頼むな。じゃぁ、オレは東大陸に
 戻るから、あとは頼んだぞ!
 状況は念話で報告してくれ!」
 
「承知いたしました」

 全員が、声を上げた。
 
 シュベルは、じゃぁ!と手を上げ
瞬間移動で帝国領に帰った。            


 
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『推しの「貧乏騎士」を養うつもりでしたが、正体は「王弟殿下」だったようです。

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応援ありがとうございます。 本作は多くの方にお届けする準備のため、2月6日(金)で、一旦、非公開といたします。 今後の展開については、是非、各電子書籍ストアなどでチェックいただければ幸いです。 短い間でしたが、たくさんのハートとお気に入りを ありがとうございました。 〜「管理人のふり」をして別荘に連れ込まれましたが、過保護な溺愛が止まりません〜 【作品紹介】社畜根性が染み付いた悪役令嬢、推しの『モブ騎士』を養うつもりが、国の裏支配者に溺愛されていました!? ◆あらすじ 「貴方を、私が養います!」  前世はブラック企業の社畜、現世は借金のカタに「豚侯爵」へ売られそうになっていた伯爵令嬢エリーゼ。  絶望的な状況の中、彼女が起死回生の一手として選んだのは、夜会で誰の目にも留まらずに立っていた「推し」の『背景(モブ)騎士』への求婚だった!  実家を捨て、身分を捨て、愛する推しを支える慎ましいスローライフを夢見て駆け落ちしたエリーゼ。  しかし、彼女は知らなかった。  自分が拾ったその騎士の正体が、実は冷酷無比な『影の宰相』にして、国一番の権力者である王弟殿下レオンハルトその人であることを――! ◆見どころポイント ① 勘違いが止まらない!「福利厚生」という名の規格外な溺愛  逃避行の馬車は王族仕様の超高級車、新居は湖畔の豪華別荘、家事は精鋭部隊(暗殺者)が神速で完遂!  あまりの厚遇に「近衛騎士団の福利厚生ってすごいのね!」と斜め上の解釈で感動する元社畜のエリーゼと、そんな彼女を「俺の全権力を使って守り抜く」と誓うレオンハルト様の、噛み合っているようで全く噛み合っていない甘々な新婚(?)生活は必見です。 ② 伝説の魔獣も「わんこ」扱い!?  庭で拾った泥だらけの毛玉を「お洗濯(浄化魔法)」したら、出てきたのは伝説の終焉魔獣フェンリル!  「ポチ」と名付けられ、エリーゼの膝の上を巡ってレオンハルト様と大人気ないマウント合戦を繰り広げる最強のペット(?)との癒やしの日々も見逃せません。 ③ 迫りくる追手は、玄関先で「お掃除(物理)」  エリーゼを連れ戻そうと迫る実家の魔手や悪徳侯爵の刺客たち。  しかし、彼らがエリーゼの目に触れることはありません。なぜなら、最強の執事と「お掃除スタッフ」たちが、文字通り塵一つ残さず「処理」してしまうから!  本人が鼻歌交じりにお菓子を焼いている裏で、敵が完膚なきまでに叩き潰される爽快な「ざまぁ」展開をお楽しみください。 ◆こんな方におすすめ! すれ違い勘違いラブコメが好き! ハイスペックなヒーローによる重すぎる溺愛を浴びたい! 無自覚な主人公が、周りを巻き込んで幸せになる話が読みたい! 悪役たちがコテンパンにされるスカッとする展開が好き!

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