お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩

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侯爵は愛を乞う

今なんといったのでしょうか?
思考が追いつきません。



くしゃりと歪めた顔のまま彼は私のそばで片膝をついて、私の手に触れてきました。


「本当だ…貴女を…貴女だけで…私は…いや俺はマレーネに会った時からずっと想っている」


「うそ…」



「嘘じゃない…!嘘じゃないから!お願いだから離縁するなどと馬鹿なことは言わないでくれ!貴女がウォルフに荷物を処分するように手紙を送ってきたと聞いたときに、目の前が真っ黒になった。俺が追い詰めたんだと。貴女への気持ちが、貴女の心が…視線が他に行くが嫌で嫉妬で閉じ込めてしまった…それが嫌になったと」


突然のアクラム様の告白に私はただただ呆然とするしか出来ませんでした。
彼は今何を言っているのでしょうか?嫉妬?
アクラム様が私に関することで嫉妬するなんて言うことが本当にあり得るのでしょうか?アクラム様はそうおっしゃっていますが…私にはまだ信じられません。


「アクラム様…私があなたに嫉妬されるような事は何もしておりませんが…?」


私の手に頬を寄せながらアクラム様は仰いました。

「あなたの家族…薬草学…友人…メアリーとヨセフ…」

ぽつりぽつりとアクラム様が出す単語を確認すると私の周囲の人たちでした。
正直背筋が凍りそうになったのは内緒です。


「ではブリュンヒルド様は…?」


「学生時代からあの阿婆擦れ…いやブリュンヒルドには確かに声をかけられていたが、私とブリュンヒルドの仲は全く何もない潔白だ」


「…」

「それが私が靡かないからだろうか…いつの頃からか婚約者のあなたに危害を加えると脅しを受けるようになった。彼女の精神はもう既に正常のそれではない。上司である侯爵は娘を妻として娶れと強要してきた。だが、精神のおかしくなった者を妻として娶れないと侯爵家当主であった父から正式に抗議をしてもらった。命の危険があってはならないとあなたに危害が及ばないように私はあなたと近づくわけにはいかなかった。冷めた関係でいるように見せることで、貴女に…だがそれでも私は…いや俺はあなたを諦めることができずに妻にと望んでしまった。結婚後はブリュンヒルドは私を攻撃するようになってきた。」

「では…私を守るために?」

アクラム様の話は本当なのでしょうか私には確証がありません。
もう一度信じることができるのでしょうか。いえ信じたいです。
アクラム様の事は確かに愛しております。ただ今までのことを思うとブリュンヒルド様との仲をやはり疑ってしまうのです。

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