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公爵令嬢様は発明好き
参加者増えました。
しおりを挟む「おーほっほっほ!レイモンド!準備はいいかしら?」
「お嬢!何ですかこれ!てかいつの間に準備したんですか!!?」
アリシアはレイモンドの格好を見て微笑む。
「お似合いよ!レイモンド!」
「だからなんでですか!」
レイモンドはお茶会へ参加出来るような身分に今はない。
彼の少し癖のある金の髪に、大きすぎない切れ長のアーモンドアイ。 薄い紫と深い緑のオッドアイ。
筋の通った鼻梁に令嬢も羨む桃色の唇は少し薄く、男性的である。
彼は普段その瞳を長い前髪で隠しているが、今回は無理矢理上げさせられ、その美貌が晒されている。
彼が着ているのは普段の従者のものではなく、貴族の着る服であった。
それもレイモンドに似合うようサイズもぴったりであった。
「レイモンド、あなたお茶会に参加しなさい。今回の参加資格は女性だけでないのよ」
「だから従者の俺が出たらおかしいでしょうが」
パチンと扇子を鳴らす。その仕草は普段のアリシアではなく公爵令嬢として気品のある所作である。
「ちょっとやりたいことがあるのよ」
ニヤリと笑ったその笑顔は、どこぞの悪役では?と思わせる笑顔だった。
美貌がある分、迫力が増す。
「お嬢…」
「幸い、あなたの顔を知る人間は少ないわ。まぁ今回お披露目するのだけれど」
「しかしお嬢!」
なおも食い下がろうとするレイモンドにアリシアは近寄る。
そっと彼の顔を包み込むように両手を添える。
「あなたの瞳は美しいわ。今も昔も 私を魅了して止まないわ」
ぼっと火が出るような感覚、血が一気に顔に巡ってくる。
はたから見れば愛の告白である。
アリシアは気づいていないかもしれないが…
レイモンドがアリシアの手に自分の手を添える。
そうしてコテンと首を傾げる。
その瞳は不安が滲んでいる。
「お嬢…俺は従者です。いざという時あなたを守れるものがこの身一つしかありません」
レイモンドはアリシアを見る。
「充分よ。それに一緒に帰ってくるのよ。わかる?」
「…はい」
レイモンドは泣き笑いのような表情でアリシアに答えた。
お茶会は王宮で行われる。
急遽婚約者候補は2人に絞られたらしい。
その報せをきいたソナタは青筋を立てていた。
ソナタ・デル・シエスタ侯爵令嬢
レイチェル・カールトン侯爵令嬢
カールトン家は新興貴族である。
侯爵は戦うことで功績を挙げて侯爵までのし上がった人間である。
軍部においては憧れる人間も多々おり、軍部からの支持が厚い。
かたやシエスタ家の歴史は古く、文官としての才を王国のため遺憾無く発揮している。
宰相補佐官としてのその功績は目覚しい。
因みにアリシアの父親は宰相である。
王族とも縁があり、何代か前に王女が降嫁した家筋である。
血筋は大した血筋であるがこの公爵様、少し変わっていて
「血筋だけで婚約を決めるな。うちの娘を幸せに出来るなら別だが、私の基準を満たせないなら娘は嫁がせない」と国王に言ってのけたのである。
しかし今回、2人の婚約者候補と候補でないアリシアのお茶会が始まる。
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