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公爵令嬢様は発明好き
令嬢様は欲しいものを手に入れる
しおりを挟む結局、レイチェル・カールトンは修道院送りになった。
親であるカールトン侯爵は監督不行き届きで領地没収の上、男爵位にまで降爵処分になった。
王族に対して不敬な態度を改めなかったこと、レイランド公爵家より正式に抗議されたこと、またそれ以外にも余罪が出てきたからだ。
彼女は見目麗しい男性や男子を自分個人の屋敷に囲い、そこであられもない痴態を晒したり、また男性たちにそれを強要していた。
男性たちは奴隷であったり、どこからか拐かされてきた者もいた。
10歳前後の少年から青年に至るまで。
身元のわかる者、また帰りたがっている者は帰された。
しかし、奴隷で身寄りもない者たちは帰る場所がない。
周囲は悩んだ。
「おーっほっほっほ!人手が足りて良かったわ!」
ニコリと笑うアリシア。
そう、飼われていた奴隷を全て引き取ったのがアリシア公爵令嬢であった。
奴隷は全員で5人。
彼らは何をさせられるのかとビクビクしていた。
アリシアはその権限でもって奴隷を解放した。
身分を買い取ったのだ。自分の収入からでだ。
だから公爵も許可を出した。
彼らは平民になった。
アリシアは言う。
「生きたい場所で生きなさい。その権利があなた達にはあるわ」
しかし奴隷は奴隷であった。
生きたい場所でと言われても戸惑うばかりである。
「お嬢、いきなりそれは酷というもんです。」
レイモンドがいう。自身に重ねるように…
「そうねえ、それじゃあ、うちで働く?私がお給金出すわ。」
元奴隷達はうなづく。
この人は悪い人じゃないとわかっているらしい。
「まずは私所有の薬草園があるのよ、そこは人手が欲しいと言っていたから手伝って欲しいの。力仕事から雑用、管理まで。あとは教育ね。
薬草園の仕事を一通り覚えたら、他の仕事もやってもらったらいいかしらね。
みんなどの職業に適性があるかわからないから。
もし、ここじゃないどこかで働きたくなった時はいつでも行けるように学校へ行くこと。これは命令です」
「「そ、そんな!高待遇でいいんでしょうか?」」
「高待遇?いいえ、貴方達の当然の権利よ?ああ、レイモンド、使用人宿舎に空きはあるかしら?」
「ええ、ありますよ。お嬢が建てた宿舎の方に」
「良かったわ、じゃあ、そこに住んでもらったらいいわ。貴方達も疲れているでしょう?仕事は明後日からでいいわ。明日は引越しと準備に専念しなさい」
「「は、はい!!」
5人の元奴隷は思った。
自分たちをあの汚泥から救ってくださり尚且つ生きるための道を示してくれた女性に生涯をかけて尽くそうと。
「うふふ、良かったわあ。これで薬草園の供給のバランスが取れるかも♪」
アリシアは人助けをしたのではない。
ただ欲しいと思ったものを手に入れているだけ。
それを人助けとかそうでないとか判断するのは相手側である……
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