Fu✕k!F◯ck!Rock!!!

くらえっ!生命保険ビーム!!

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クルクルサイ狂ウ

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「ロックに生きよう!」
 片田舎の工業高校軽音部で掲げた指標。
 親友のドラム、先輩のキーボード、後輩のベース
 そして俺のボーカル。
 本気でプロになれると思っていた。
 寂れたライブハウスを満員にして、
 駅前でゲリラライブをして、
 いつか東京にでてメジャーデビューをする。
 そんな俺の夢はふざけた女にぶっ壊された。
 部内での三股は
 いとも容易く俺たちの絆を引き裂いて
 俺は軽音部に居られなくなった。
 青い春から色が消えて、
 出迎えてきたのは灰色の街。
 退廃的な生活は惰性で俺を殺していく。
 結局、ロックなんてクソだった。
 アイツラと掲げたロックはクソで
 俺の掲げたロックも所詮はクソだった。
 だからロックなんて『クソ食らえファック』だ。


 機械的な電子音の連鎖。
 徐々にそれは間隔を早めていき
 次第に嫌悪感に満ち満ちた感触を形成していく。

「…うる、せぇ…っての…」

 ぼやくようなこの声も埋もれていく。
 バイブレーションも付け加えられたそれを掴んで
 液晶を指で撫でて見せる。
「7:02」つまらない電子数字がそう告げていた。

『本日は早朝の寒さが嘘のように……』

 平坦な声で読み上げられる本日の事情は
 昨日の余った豚肉の炒め物と米で噛み合わせ
 ぬるい水道水と流し込む。
 それが胃袋に収まる頃には
 地方のアナウンサーが伝統工業品を褒めていた。

 履き潰したジーンズに足を通し
 薄汚れたTシャツに腕を通す。
 傷んだジャケットを羽織り、
 中古で買った軽自動車のキーを握り家を出る。
 馴染んだシートに腰を掛けて、シートベルトをさす。
 エンジンがかかりナビに表示された数字は「07:52」。
 この50分が3年の年月を得て形成された
鍵谷 圭かぎや けい」のサイクルである。


 車を進めていけば見えてくるのは
 寂れたいくつかの倉庫と
 幾分かは綺麗なこじんまりとした平屋造の店。
 しかしなにより目を引くのは、
 緑の文字が描かれた看板。
『クリーンカーズ 外羽店』
 もう3年も勤めることになる自動車整備店だ。

「あ、はよーっす。先輩。」

 軽を降り、ドアを閉めた所でそう声がかけられる。

「おはよう。けい

 挨拶ともに振り返れば、そこにいたのは
朝時 計あさとき けい』と描かれた
 ネームプレートを首からぶら下げ、
 紺色の統一された作業服に身を包む人懐っこい青年。

「おぉ、朝から下の名前だなんて。
 ご機嫌ですか?」

 良く整えられた短めの髪型は
 スポーティーな顔つきを隠すことなく
 からかうような笑みを映し出す。

「朝時が下の名前で呼べって言ったんだろうが。」

 荷物をまとめて事務室へ歩き出せば
 若干の小走りで追いかけてくる。

「冗談じゃないですか~。
 謝りますから、ね?計って呼んでくださいよ~。」

 おちゃらけた雰囲気はやはりこちらを飲んでくる。
 共に働いてもう2年。
 1年遅れの後輩である計は出会った頃からこうだった。

「違和感あんだよなぁ。
 だって響きだけ聞いたら同じ名前だろ?」

「それが良いんじゃないですか~。
 なんか面白くありません?先輩?」

 少し、いやかなりアホっぽい理由だが
 それは2年間で変わったことはない。

「そう言う割には、圭先輩とはよばないんだな。」

 この質問の答えも2年間で変わったことはない。

「いやいや流石に呼べないっすよ~
 だって、烏滸がましいじゃないっすか。」

 ほら、変わらない。


 そういえば出来上がったサイクルは他にもある。
 朝の準備体操と、ペアを組んでの服装確認。
 社訓の音読と朝礼のスピーチ、あとは

「あー鍵谷君。ごめぇーん。
 …出張って、いけたりする?」

 断れないことを見込んだ頼み事。

「…あー、いけますよ。何処ですか?」

 こっちが断らないと踏んだ上での打算的な命令。
 それを、甘い顔で、受け入れる。
 優しいのではなく、甘い顔。

「助かるよぉ。ありがとうね。
 えーっとね、金城きんじょうの方なんだけど。」

 それは、ロックバンドから軽音部から逃げて作った
 甘くて、気持ちの悪い人格。

「金城……、都会の方っすよね。
 車だと大体2時間くらいでしたっけ?」

 嫌を嫌と言わない。問題を増やさない。
 自己保身のために自己犠牲を選ぶ性格。

「あー……それがさ」

「?どうしたんすか、本田さん?」

 信念も指標もない

「駐車場、埋まっちゃってるらしくてさ
 悪いんだけど、その
 …電車で行ってくれないかな?」

「…ッ。」

 理念も夢もない

「なるべく交通費は出るように掛け合うから」

くそったれファック』な自分だ。

「…はい、わかりました。」

「ほんっと、ごめんねぇ。
 終わったら帰っちゃっていいからさ。」

 きっと本田さんは
 衝突を避けて交渉はしないだろう。
 けど俺の前にでたのなら、きっと言う。

「本当にごめんね~、駄目だったよ。
 お詫びになるかわかんないけど、
 今度絶対、ご飯奢るからさ。」

 本当に奢ってくれるのだろう。
 馴染みの居酒屋で、行きの電車賃程は。
 わかっている。
 俺に責める資格なんてない。
 本田さんが衝突を避けることを選んだように
 俺だって、衝突を避けることを選んだのだから。

「え!?先輩これから出張っすか!?
 こっち帰ってくんのめっちゃ遅くなりません?」

「おぉ、だから悪いんだけど仕事頼んだわ。
 爺さんの原付1台預かってんだ。」

 朝時に頭を下げれば、
 いつもの調子づいた声音は少し不安げに音を変える。

「あの、あんま言いたくないっすけど
 多分本田さん」

「あぁ、わかってるよ。
 けどまぁ、飯でも奢ってもらうわ。」

 精一杯の自己説得。
 それでも朝時は尚も不安げに息を吸う。

「せんぱ」

「悪いな、急に穴開けて。
 今度一緒に本田さんに奢ってもらうべ。」

 続きを言わせないように被せて蓋をする。
 これで朝時だってわかるはずだ。
 いや本当はとうに分かっていたに違いない。

「…わ、かりました。
 へへっ、原付はまかせてください!
 びっちりバッチリ整備しときますから!」

 あぁ、今俺は甘くあることを押し付けた。

「いや、整備は終わってる。
 あとは爺さんが忘れてなきゃ
 支払いと受け渡しだけだ。」

それじゃあな。
そう言い残したのが13時半。

「おつかれっした~。」

そう口にした今が20時丁度。
建付けの良いドアを開ければ
日中の暑さも忘れさせるような
心地の良い冷風が肌を覆った。

「まさか、社員のやつが先に帰るとはな……」

怒り、というよりは衝撃がまさる出来事を
口から吐き出してみたものの、
その熱を風が冷やしてはくれなかった。

「くそっ、思い返せば腹立ってきたな。
 はぁ…酒でも買って帰るか。」

落ち着いて考えればいいたい文句はごまんとある。
しかしそれさえも酒で流し込むことになるんだろう。
片道1時間少しをともに経たヌルいビールとともに。

「東口…行きとは反対か。」

使い古した液晶板が指し示すのは
行きとは少し変わった帰宅路。
流石に都会なだけあってか、街頭は整備され
飲食店などから漏れ出る光で
足元に困ることはなかった。

「ん?」

目当てのコンビニは駅に内臓されているのだった。
目的地を悟り、地図アプリを閉じた頃
視界は一際強い光を受け止める。
大勢の人々の往来、発行する駅看板、
決められたペースで色を変える信号機。
だが、何よりも目を引いたのは

「…路上ライブ?」

夜をかき消さんとするばかりの明かりの中で
そいつは不敵に立っていた。
忙しなく行き交う人々とは相反して立ち止まり
ネオンライトを破るように全身を黒に染めて。

「なんなんだ?あれ。」

疑問を抱かずにはいられない。
なら、解決に動くために脳みそは働く。
眼球がフォーカスを絞り、
少しでも多くの情報を求めて映し出す。
そいつは目元を隠してしまうほど
深くニット帽を被った…女性?男性?
小柄ではあることは分かっても
その身を包み込むような黒いロングコートによって
一切の身体的特徴は覆い尽くされている。
当然、解決にはいたらない。
というか、見れば見るほどにおかしい。
風貌を隠すような服装はまだしも
エレクトリックギターを構えている割には
その付近には何もない。
アンプもスピーカーも、それに興味を示す人々も。

まるで、坩堝にハマったような感覚。
知れば知るほど謎は増していく。
理解しようと近寄るほど遠ざかっていく。
気色の悪い触手が脳内を駆けずり回るようで
そんなものを気にする必要なんて一切なくて
あぁ、ああそうだとも。見なくていい。
エレキギターなんて、
嫌悪すべきロック最たるものじゃないか。
なのに、なのになんだ?

目が、離せない。

そいつの一挙手に目を奪われる。
そいつの一投足に釘付けにされる。
人混みを見据えるそいつは、
なんでもないように腕を振り上げて
構えたエレクトリックギターの弦に
思い切りピックを引き下ろした。

■■■■■■■■■■■!!!!!!

「は?」

全身が鼓動した。
それは鼓膜から伝うように皮膚を波打ち
血液を振動させて、筋肉を強張らせる。
飲んだ息を吐き出すことも忘れて
不格好に震える手足でさえも
その振動に連鎖したようにも感じた。
そうだ、連鎖した。
連動して、振動した。
みぞおちの内側で何かが渦を巻くようで
頬骨と首の間にあるリンパ腺がキュッと傷んで
行き場のない衝動に心臓が跳ねる。
有り体に言えば、乱雑に言の葉に乗せるなら

「…見つけた。」

その呟きが聞こえないほどに、感動した。


機械的な電子音の連鎖。
いつもよりも気持ち、間隔が早い。
急かされるような、不快感は瞼をねじあける。
スマホをスワイプして、画面を見る。
いつも通りのつまらない電子数字。
記された数字は7:05

「…まじかよ。」

3年間。3年間だ。
日数にすれば1000日と少し。
遅くまでの残業もやけ酒でも、夜更かしでも
崩れなかったサイクルは
いとも容易くぶっ壊された。
鼓膜をつんざくような、空耳によって。



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