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わたしのオナニーに賢者タイムはいらない
第4話
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先輩に連絡を取るのは、数年ぶりだった。社会人になってからは、飲み会か何かで数回顔を合わせたくらいだ。彼女は僕がボカロP活動をしているのを知っているから、話が早い。月島に住んでいるから、相談するにしても、もんじゃを食べながらというのが気さくで良い。先輩は、僕が相談事で連絡をとった事を喜んでくれた。彼女がレズである事が、男の立場としては惜しいと思ってしまう。否、レズだという確証は、本当の所、誰も正確には知らないのだ。でも、レズだという前提がないと、僕は悪びれてしまうから、そう思い込んでおこう。
お互いに、近況なんかを語り合った。先輩は、今も稀にコスプレをしている、と話してくれた。ただ、年齢的に引き上げ時だと感じている様で、かわりに、副業で衣装の作成や販売をしている事を教えてくれた。
M3の話は、食いつきが良かった。最近、会場でのコスプレも認められるようになったので、久々にコスプレして参加しちゃおうかな、と彼女は言った。CDが売れた時の分け前の話をしたが、彼女はそれを断ってきた。ご飯くらいはご馳走しよう。
目的の話が終わってから、創作活動について、話題が移った。そういえば、彼女は大学時代、詩なんかを書いていた。俳句や短歌のような物は、歴史的、文学的価値をなんとなく理解できたので大丈夫だったが、所謂、詩、となると、中二病臭がキツ過ぎる先入観から、僕は受け付けなかった。賢治や中也の詩くらいは読んだことはあったが。
なんて話を自分がした訳ではないが、感じ取ったのか、先輩は、あなただって歌詞を書いてるんだから、同類でしょ、と薄笑みを浮かべながら返して来た。僕は苦笑した。先輩は、今は詩はもう書いていない、との事だったけれど、僕の楽曲に興味を持ったようで、いずれ1曲歌詞をつけさせて欲しい、と頼んできた。僕はそれを快諾した。
先輩は、大学の卒業論文のテーマで、マンガについて研究をしており、僕は創作活動における、彼女の研究テーマについて言及した。なんらかヒントになるものがあると思ったのもそうだが、媒体に関する考察が、ダイアローグの成立に対し幾許かの示唆があるかもしれないと思ったからだ。実は、随分以前からその話をしたかった。
先輩はくすくすと笑うと、違う、そうじゃないよ、と言った。わたしの研究テーマは、確かにマンガも扱ったけれど、そうじゃなくって、媒体全般にかかわる事。僕はその言葉に、わざと、なんだ、マンガをただ読んでいるだけの研究だと思ってました、と返してやった。先輩はまた、薄笑みで以て返答をした。先輩は続けた。マンガだけでなくって、小説や映画、音声ドラマなんかも研究対象だったんだよ。
つまり、先輩の研究は、マンガというただ一つのメディアについてを探求した物ではなく、複数の媒体が対象だった。彼女に言わせると、物語などのプロットは概念に過ぎない。つまり、なんらかの媒体で以て具象化してやらないと、頭の中に仕舞われた脳内の電気信号でしかない、という事。だから、なんらかの媒体を使ってそれを表に出す事で他者に伝達をする必要がある。ただ、その方法には大きな問題がある。それは、概念を入れる入れ物の形式差によって、概念自体が大きく影響を受けてしまう可能性がある、という事だ。例えば、小説であれば、基本的に文字の羅列となるので、キャラクタなどの外観は読み手に委ねる必要があり、読者によって思い浮かべる物は全く異なる。かといって、映画やVRくらい具体化し過ぎると、今度は需要者側が入り込む余地がなくなるし、カット割や音楽、視聴環境などの要素にも物語は影響をうけてしまう。だから、各媒体が持つ特徴を詳らかにし、きちんと理解した上で、物語に合わせた入れ物を正しく選択する事で、頭の中の概念であった物語を、的確に他者に伝える事が出来る。
この話は、とても得心が言った。少なくとも、現代において人間がテレパシーに類する能力を持たないので、考えた事は全てなんらかの媒体を必要とする。それは勿論、発話言語だってそう。だから、僕の様な早口でコミュニケーションが難しい人間にとっては、正しい入れ物を選択する事は死活問題なのだ。
そう考えると、タルパは僕にとって、ダイアローグの疑似的完成形なのか、またはコミュニケーションの媒体なのか…。
僕は、先輩の前で、ミコを呼び出してみる事にした。
お互いに、近況なんかを語り合った。先輩は、今も稀にコスプレをしている、と話してくれた。ただ、年齢的に引き上げ時だと感じている様で、かわりに、副業で衣装の作成や販売をしている事を教えてくれた。
M3の話は、食いつきが良かった。最近、会場でのコスプレも認められるようになったので、久々にコスプレして参加しちゃおうかな、と彼女は言った。CDが売れた時の分け前の話をしたが、彼女はそれを断ってきた。ご飯くらいはご馳走しよう。
目的の話が終わってから、創作活動について、話題が移った。そういえば、彼女は大学時代、詩なんかを書いていた。俳句や短歌のような物は、歴史的、文学的価値をなんとなく理解できたので大丈夫だったが、所謂、詩、となると、中二病臭がキツ過ぎる先入観から、僕は受け付けなかった。賢治や中也の詩くらいは読んだことはあったが。
なんて話を自分がした訳ではないが、感じ取ったのか、先輩は、あなただって歌詞を書いてるんだから、同類でしょ、と薄笑みを浮かべながら返して来た。僕は苦笑した。先輩は、今は詩はもう書いていない、との事だったけれど、僕の楽曲に興味を持ったようで、いずれ1曲歌詞をつけさせて欲しい、と頼んできた。僕はそれを快諾した。
先輩は、大学の卒業論文のテーマで、マンガについて研究をしており、僕は創作活動における、彼女の研究テーマについて言及した。なんらかヒントになるものがあると思ったのもそうだが、媒体に関する考察が、ダイアローグの成立に対し幾許かの示唆があるかもしれないと思ったからだ。実は、随分以前からその話をしたかった。
先輩はくすくすと笑うと、違う、そうじゃないよ、と言った。わたしの研究テーマは、確かにマンガも扱ったけれど、そうじゃなくって、媒体全般にかかわる事。僕はその言葉に、わざと、なんだ、マンガをただ読んでいるだけの研究だと思ってました、と返してやった。先輩はまた、薄笑みで以て返答をした。先輩は続けた。マンガだけでなくって、小説や映画、音声ドラマなんかも研究対象だったんだよ。
つまり、先輩の研究は、マンガというただ一つのメディアについてを探求した物ではなく、複数の媒体が対象だった。彼女に言わせると、物語などのプロットは概念に過ぎない。つまり、なんらかの媒体で以て具象化してやらないと、頭の中に仕舞われた脳内の電気信号でしかない、という事。だから、なんらかの媒体を使ってそれを表に出す事で他者に伝達をする必要がある。ただ、その方法には大きな問題がある。それは、概念を入れる入れ物の形式差によって、概念自体が大きく影響を受けてしまう可能性がある、という事だ。例えば、小説であれば、基本的に文字の羅列となるので、キャラクタなどの外観は読み手に委ねる必要があり、読者によって思い浮かべる物は全く異なる。かといって、映画やVRくらい具体化し過ぎると、今度は需要者側が入り込む余地がなくなるし、カット割や音楽、視聴環境などの要素にも物語は影響をうけてしまう。だから、各媒体が持つ特徴を詳らかにし、きちんと理解した上で、物語に合わせた入れ物を正しく選択する事で、頭の中の概念であった物語を、的確に他者に伝える事が出来る。
この話は、とても得心が言った。少なくとも、現代において人間がテレパシーに類する能力を持たないので、考えた事は全てなんらかの媒体を必要とする。それは勿論、発話言語だってそう。だから、僕の様な早口でコミュニケーションが難しい人間にとっては、正しい入れ物を選択する事は死活問題なのだ。
そう考えると、タルパは僕にとって、ダイアローグの疑似的完成形なのか、またはコミュニケーションの媒体なのか…。
僕は、先輩の前で、ミコを呼び出してみる事にした。
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