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カエルの歌が聴こえない
第11話
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タイトルと内容が決まってから、基調となる旋律だけ、一緒に決める事にした。僕と有香は、一緒に小さなキーボードに手を伸ばして、旋律を考えた。
「13拍子って、難しいね」有香が言った。「よく考えたら、6拍子の曲だってそんなに聞かないもんね」
「でもね」僕が言った。「5拍子の曲から23拍子の曲まで一通り作ったけれど、一番変拍子として意味があるのって、13拍子だと思ってるんだ」
「へえ」有香が少しだけ目を丸くして言った。「そうなんだあ」
「変拍子特有の不自然さがなく、聴き易くて、それであって変拍子じゃないと作れない曲、っていうのがやりやすいかな」
と言いつつ、別に僕はそんなレベルにいる訳じゃないけどね。まあ、殆どの混合変拍子は、7拍子さえ自由に使いこなすことが出来れば、なんとかなってしまったりする。
さて、で、13拍子だ。
「ドレミファミレド、だよね」
有香が言いながら、キーボードでドレミファミレドを弾いた。
「あ、7音だね」僕が言った。「ドレミファミレド、で7音だ」
「という事は、カエルの合唱の歌って、もともと7拍子なの?」
「違う違う」僕が、諭す様に言った。「歌ってみると解るけれど、最後にひとつ休符が入るだろ?」
僕の言葉に、有香は中空を見上げるようにすると、ドレミファミレド、と旋律を呟いた。それから僕と視線を合わせてくると、
「ほんとだ!」
と言った。
僕は少しだけ得意になって、続けた。
「でも、日本人って、元々変拍子に慣れている筈なんだよね」
「ん?」有香が言った。「どうして?」
「和歌ってあるだろ?」
「和歌? 5・7・5・7・7の事?」言って、有香は気づいた様に、「ほんとうだね…」と呟いた。
「でしょ? 日本人は文化として、5と7の変拍子の音を受け継いでいるんだ」
僕の言葉に、有香は目を輝かせて、すご~い、と言った。
「じゃあ、変拍子は日本人にもっと受け入れられてもいいって事だよね」有香が言った。「変拍子ブーム、くるかもね」
そこまで有香が言った所で、僕は声を出して笑った。有香がまた、キョトンとしてしまった。
「ごめんごめん」僕が言った。「まことしやかな話だから、騙されちゃったね」
「どういう事?」
僕は、純粋な有香の瞳を横目で見ながら、続けた。
「確かに、文字数は5・7・5・7・7なんだけどね。拍数は違うんだ」
有香はまた、5・7・5・7・7と、百人一首を読み上げる様に、節をつけて呟いた。
「あっ…」気づいた様に有香が言った。「休符が入るから、音は6・8・6・8・8?」
「う~ん、どうだろう」僕が言った。「8・8・8・8・12とかかもしれないけどね」
有香が、指を折りながら拍数を数え始めた。
「うん、そうかも」
気づいて、なんだあ、残念、と有香が言った。
「でも、ドレミファミレドが7音なのは使えるかも」僕は言いながら、キーボードを弾いた。「ほら、ファを1音にして、それ以外を2音にしており返せば…」
ドドレレミミファミミレレドド、と13音を弾いた。
「あ」有香が言った。「うまくいきそうだね」
それで、有香はメモ帳に移動すると、歌詞のメモを始めた。歌詞のアイデアが浮かび始めたらしい。
「歌詞を書くとき…」僕が言った。「日本語の普通の言葉と一緒に、ひらがなで書いた歌詞もあると嬉しいな」
「ん?」有香が言った。「どうして?」
「ボカロってさ」僕が言った。「漢字だと入力できないんだよね」
僕の言葉に有香は、あ~、と感嘆した。
「そっかあ」有香が言った。「知らなかった。じゃあ、今までわたしが書いた歌詞って、全部ボカロに歌って貰う時にひらがなに書き換えられてたんだね」
そうだろうね。
「ひらがなでも、ただひらがなにしただけじゃ駄目なんだ」僕が続けた。「例えば『わたしはカエルです』と歌わせたい時は、『わたしわかえるです』と入れなきゃいけない」
「『は』は『わ』と発音されないんだね」
僕は首肯した。
「他にも『歌った』は『うたあた』にしたり、『歌おう』は『うたおお』にしたりするね」
有香はまた、へえ、と言った。
「知らなかった。今まで、もしかすると、作り手さんに随分迷惑かけてたのかもね…」
僕は笑った。
「まあ、ローマ字とか、音記号で入れる人とかもいるみたいだから、そうとも限らないけどね」
有香は、解ったよ、と言うと、ひらがなの歌詞も同時に打ってくれた。でも、肝心な本文は僕のスランプをテーマにするので、先に、僕がキーワードだけメモ帳にいくつか打ち込んで、それを膨らませて歌詞を作る事にした。
「13拍子って、難しいね」有香が言った。「よく考えたら、6拍子の曲だってそんなに聞かないもんね」
「でもね」僕が言った。「5拍子の曲から23拍子の曲まで一通り作ったけれど、一番変拍子として意味があるのって、13拍子だと思ってるんだ」
「へえ」有香が少しだけ目を丸くして言った。「そうなんだあ」
「変拍子特有の不自然さがなく、聴き易くて、それであって変拍子じゃないと作れない曲、っていうのがやりやすいかな」
と言いつつ、別に僕はそんなレベルにいる訳じゃないけどね。まあ、殆どの混合変拍子は、7拍子さえ自由に使いこなすことが出来れば、なんとかなってしまったりする。
さて、で、13拍子だ。
「ドレミファミレド、だよね」
有香が言いながら、キーボードでドレミファミレドを弾いた。
「あ、7音だね」僕が言った。「ドレミファミレド、で7音だ」
「という事は、カエルの合唱の歌って、もともと7拍子なの?」
「違う違う」僕が、諭す様に言った。「歌ってみると解るけれど、最後にひとつ休符が入るだろ?」
僕の言葉に、有香は中空を見上げるようにすると、ドレミファミレド、と旋律を呟いた。それから僕と視線を合わせてくると、
「ほんとだ!」
と言った。
僕は少しだけ得意になって、続けた。
「でも、日本人って、元々変拍子に慣れている筈なんだよね」
「ん?」有香が言った。「どうして?」
「和歌ってあるだろ?」
「和歌? 5・7・5・7・7の事?」言って、有香は気づいた様に、「ほんとうだね…」と呟いた。
「でしょ? 日本人は文化として、5と7の変拍子の音を受け継いでいるんだ」
僕の言葉に、有香は目を輝かせて、すご~い、と言った。
「じゃあ、変拍子は日本人にもっと受け入れられてもいいって事だよね」有香が言った。「変拍子ブーム、くるかもね」
そこまで有香が言った所で、僕は声を出して笑った。有香がまた、キョトンとしてしまった。
「ごめんごめん」僕が言った。「まことしやかな話だから、騙されちゃったね」
「どういう事?」
僕は、純粋な有香の瞳を横目で見ながら、続けた。
「確かに、文字数は5・7・5・7・7なんだけどね。拍数は違うんだ」
有香はまた、5・7・5・7・7と、百人一首を読み上げる様に、節をつけて呟いた。
「あっ…」気づいた様に有香が言った。「休符が入るから、音は6・8・6・8・8?」
「う~ん、どうだろう」僕が言った。「8・8・8・8・12とかかもしれないけどね」
有香が、指を折りながら拍数を数え始めた。
「うん、そうかも」
気づいて、なんだあ、残念、と有香が言った。
「でも、ドレミファミレドが7音なのは使えるかも」僕は言いながら、キーボードを弾いた。「ほら、ファを1音にして、それ以外を2音にしており返せば…」
ドドレレミミファミミレレドド、と13音を弾いた。
「あ」有香が言った。「うまくいきそうだね」
それで、有香はメモ帳に移動すると、歌詞のメモを始めた。歌詞のアイデアが浮かび始めたらしい。
「歌詞を書くとき…」僕が言った。「日本語の普通の言葉と一緒に、ひらがなで書いた歌詞もあると嬉しいな」
「ん?」有香が言った。「どうして?」
「ボカロってさ」僕が言った。「漢字だと入力できないんだよね」
僕の言葉に有香は、あ~、と感嘆した。
「そっかあ」有香が言った。「知らなかった。じゃあ、今までわたしが書いた歌詞って、全部ボカロに歌って貰う時にひらがなに書き換えられてたんだね」
そうだろうね。
「ひらがなでも、ただひらがなにしただけじゃ駄目なんだ」僕が続けた。「例えば『わたしはカエルです』と歌わせたい時は、『わたしわかえるです』と入れなきゃいけない」
「『は』は『わ』と発音されないんだね」
僕は首肯した。
「他にも『歌った』は『うたあた』にしたり、『歌おう』は『うたおお』にしたりするね」
有香はまた、へえ、と言った。
「知らなかった。今まで、もしかすると、作り手さんに随分迷惑かけてたのかもね…」
僕は笑った。
「まあ、ローマ字とか、音記号で入れる人とかもいるみたいだから、そうとも限らないけどね」
有香は、解ったよ、と言うと、ひらがなの歌詞も同時に打ってくれた。でも、肝心な本文は僕のスランプをテーマにするので、先に、僕がキーワードだけメモ帳にいくつか打ち込んで、それを膨らませて歌詞を作る事にした。
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