月の庭で抱きしめて ―― 甘えん坊な幼馴染と、月明かりの恋

だって、これも愛なの。

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続編 第二話 月明かりの誓い、再び

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 夜会の広間を抜け、バルコニーに出ると、ひんやりとした夜風が頬を撫でた。
 煌びやかな灯りの熱気から一転、そこは静けさに満ち、月明かりだけがふたりを照らしていた。

「……やっぱり、こっちの方が落ち着くね」
 ルカが小さく笑い、石造りの手すりにもたれかかる。
 月の光を受けた横顔は、昼間の無邪気さよりもずっと大人びて見えた。

「さっきは……驚いたわ」
「え?」
「周りの人に、あんなふうに言い返すなんて。……少し誇らしかった」
 告げると、ルカの耳が赤く染まった。
 けれどすぐに視線を戻し、真剣なまなざしで彼女を見つめる。

「セレナ。僕はね、ずっと君の後ろを追いかけてきたんだ」
「……ルカ」
「庭でも、家でも、どこにいても。君がいる場所が僕の居場所だった」

 その声には、甘えん坊の響きではなく、一途な熱がこめられていた。
 月明かりに照らされた瞳が、揺らぎのない光を宿している。

「でも、今日やっとわかった。僕はもう、子どもじゃない。
 君の隣に、胸を張って立ちたいんだ」

 セレナの胸に熱が広がる。
 幼い日、泣き虫の彼を抱きしめていた自分。
 その少年が、今は大切な約束を口にしている。

「……ほんとに、変わったのね」
「変わったんじゃないよ。ずっと思っていたことを、やっと言えるようになっただけ」

 ルカはそっと彼女の手を取り、ぎゅっと握りしめた。
 その手は温かく、震えを伴いながらも確かな力を宿していた。

「誓うよ。君を守る。セレナをひとりにしない」

 言葉は短くても、胸に刻まれるほど強い。
 セレナは一瞬息を呑み、やがて静かに微笑んだ。

「……ええ。信じるわ、ルカ」

 月明かりの下、再び交わされた誓いは、庭での約束よりもずっと深く、二人の心を結んでいった。
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