月の庭で抱きしめて ―― 甘えん坊な幼馴染と、月明かりの恋

だって、これも愛なの。

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続編 第三話 試練と嫉妬

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 夜会の後、ルカは以前にも増して稽古に励むようになった。
 剣を握り、汗を飛ばし、時に倒れ込むほどまで。
 昼には学び舎に通い、夜は書物を手放さない。

 庭に顔を見せる時間が減り、セレナは少しだけ胸に空白を抱えるようになった。
「……子どもじゃないと証明したいのね」
 窓から見える稽古場で、真剣に剣を振るう彼の姿を見ながら、思わず小さく呟く。

 ある日、稽古を終えたルカのもとに、同じ年頃の令嬢が駆け寄るのを目にした。
「ルカ様、お疲れでしょう? どうぞ」
 白いハンカチを差し出す少女。
 彼は一瞬戸惑い、受け取るかどうか迷っているようだった。

 胸の奥がきゅうっと締めつけられる。
 ――なぜこんなに苦しいのだろう。
 困らされることはあっても、誰かに取られるかもしれないと考えるのは初めてだった。

「……ルカ」
 気づけば声をかけていた。

 振り返った彼は、ぱっと笑みを浮かべる。
「セレナ!」
 先ほどまでの迷いはどこへやら。
 その瞳が、誰よりも明るく輝いているのを見て、セレナの胸の痛みは少し和らいだ。

「汗をかきすぎよ。風邪をひいたら困るわ」
 我ながら拗ねたような声音。
 けれどルカは驚いたように目を瞬かせ、やがて照れ笑いを浮かべた。

「……セレナ。もしかして、嫉妬してくれた?」
「な、なにを言ってるの」
「だって、嬉しい。僕ばかりがわがままを言ってるんじゃなくて……セレナも僕を欲しがってくれるなら」

 その囁きに、頬が熱くなる。
 嫉妬は苦い感情のはずなのに、不思議と甘い。
 それは、自分の心がすでに彼を求めている証拠のように思えた。

 月が昇り、白い花々が揺れる庭。
 努力を続けるルカと、胸に芽生えた嫉妬を抱くセレナ。
 ふたりの距離は、また少し近づいていた。
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