✧姫と執事のやさしい恋物語✧ ― 穏やかな毎日が、宝物に変わる瞬間。

だって、これも愛なの。

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番外編 父のまなざし

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娘が笑っている。
それだけで、私は胸の奥がくすぐったく、どうしようもなく幸せになる。

リリアナは、母に似て真っ直ぐだ。
気まぐれに見えて、芯は決して折れない。
そして――笑顔を見せる相手が、昔からひとりだけなのも、私はとうに知っていた。

専属執事のルイス。
幼い頃から彼の後をついて回り、何をするにも隣に置いてきた。
あの子の視線が無意識に彼を追っていることくらい、親なら一目でわかる。

私は王だ。
国の行く末を考えれば、娘の縁談ひとつにも意味がある。
だが、父としては――ただ幸せに笑っていてほしい。
そのために国を治めていると言っても、決して大げさではないのだ。

「リリアナ」
食卓でそう名を呼んだとき、彼女は少し驚いたように目を瞬かせた。
「お前ももう十六。将来のことを考えてみても良い頃だ」

案の定、スプーンを落としそうになって慌てふためく。
ふふ……やはり、まだ子どもだ。

けれど、隣で控えていたルイスが一瞬だけ表情を揺らしたのを、私は見逃さなかった。
お前もまた、不器用で真面目な男よな。

二人の気持ちなど、とっくに気づいている。
だが急かすつもりも、無理強いするつもりもない。
花が咲くのを待つように、ただ静かに見守るだけでいい。

――私の娘は、幸せを選べる子だから。
そして彼なら、必ずそれを支え抜くだろう。

「リリアナ。お前の笑顔が何より大切だ」
胸の奥でそう呟きながら、私は今日も二人を眺めている。
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