『〇〇夜に読む、お伽話の癒し帳』 ― どんな夜も、あなたの心に寄り添う小さな物語 ―

だって、これも愛なの。

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第十四話 泣けない夜に

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 泣きたいはずなのに、涙がひと粒も出てこない夜がある。
 胸は重く、喉は苦しいのに、感情が固まった氷のように動かない。
 令嬢ステラは寝台に横たわり、天井を見つめていた。

「……どうして、泣けないんだろう」

 そのとき、窓辺にひとつの影が差した。
 そこにいた青年は、手に小瓶を持っていた。

「これは“星のしずく”です。泣けないとき、代わりに空が涙を流してくれるんです」

 瓶の中で、透明な光がきらめいていた。
 ステラが手を伸ばすと、彼はその小瓶をそっと握らせてくれる。

「君が泣けない夜は、このしずくに気持ちを預ければいい。涙にならなくても、心は軽くなる」

 ステラは小瓶を胸に抱きしめた。
 すると、不思議なことに、張りつめていたものが少しずつほどけていく。
 やがて瞳が熱を帯び、ぽろりと涙がこぼれた。

「……出てきた」
「ええ。泣けなくても、泣けても、どちらも大切な夜です」

 彼の声に寄り添われ、ステラは静かに涙を流した。
 その夜、心はようやく眠りに向かうことができた。
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