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第三話『あれ、本気だったぞ』
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翌日、昼休み。
教室の後ろでパンをかじっていた俺に、同じクラスの佐伯が声をかけてきた。
「なあ椎名、お前らケンカした?」
「……は?」
「だって、早瀬が今朝“好き”って言ってなかっただろ」
その一言で、昨日の静けさが鮮明によみがえる。
優の横顔、短い返事、そして――あの「付き合ってほしい」。
「……いや、別にケンカじゃないと思うけど」
「じゃあなんだよ。あれ、多分本気だったぞ」
「本気って、何が?」
「“付き合ってほしい”ってやつ。昨日の放課後に言ってただろ? 偶然廊下から聞こえたけど、あれ完全に真剣モードだったぞ」
パンの甘みが一瞬で消える。
真剣モード? あれが?
俺は「はいはい」と流した瞬間を思い出す。
耳の奥に、あの時の間(ま)が蘇る。
優が少しだけ瞬きをして、何も言わずに帰り支度をしたあの間。
……やばい。
もしあれが、優の初めての“本気の告白”だったら?
しかも、あいつは最近「付き合ってほしい」という言葉を覚えたばかりだったはずだ。
その初めてを、俺は……。
「……ちょっと行ってくる」
パンを机に置いたまま、俺は廊下へ出た。
どこにいるかなんて、わかってる。
昼休みの優は、たいてい体育館裏のベンチで菓子パンを食べている。
そこに行って――ちゃんと聞かなきゃいけない。
昨日、俺が聞き流した“好きのつづき”を。
教室の後ろでパンをかじっていた俺に、同じクラスの佐伯が声をかけてきた。
「なあ椎名、お前らケンカした?」
「……は?」
「だって、早瀬が今朝“好き”って言ってなかっただろ」
その一言で、昨日の静けさが鮮明によみがえる。
優の横顔、短い返事、そして――あの「付き合ってほしい」。
「……いや、別にケンカじゃないと思うけど」
「じゃあなんだよ。あれ、多分本気だったぞ」
「本気って、何が?」
「“付き合ってほしい”ってやつ。昨日の放課後に言ってただろ? 偶然廊下から聞こえたけど、あれ完全に真剣モードだったぞ」
パンの甘みが一瞬で消える。
真剣モード? あれが?
俺は「はいはい」と流した瞬間を思い出す。
耳の奥に、あの時の間(ま)が蘇る。
優が少しだけ瞬きをして、何も言わずに帰り支度をしたあの間。
……やばい。
もしあれが、優の初めての“本気の告白”だったら?
しかも、あいつは最近「付き合ってほしい」という言葉を覚えたばかりだったはずだ。
その初めてを、俺は……。
「……ちょっと行ってくる」
パンを机に置いたまま、俺は廊下へ出た。
どこにいるかなんて、わかってる。
昼休みの優は、たいてい体育館裏のベンチで菓子パンを食べている。
そこに行って――ちゃんと聞かなきゃいけない。
昨日、俺が聞き流した“好きのつづき”を。
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