まだ恋じゃないのに、甘すぎる!― 王子と令嬢、初恋未満のデレデレ物語 ―

だって、これも愛なの。

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第一話 可愛すぎる日常

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 王立学園の中庭は、今日も花々の香りに満ちていた。
 その真ん中で、ひときわ眩しい視線を集めるふたりがいる。

「リリアナ嬢、本日も本当に可愛らしいですね」
「まぁ……! 殿下こそ、凛々しくていらっしゃいます」

 そう言って見つめ合う第二王子エドガー殿下と、侯爵令嬢リリアナ。
 ふたりは、互いに恋をしている自覚もなく、いつだって甘々なやり取りを繰り広げていた。

「昨日の舞踏の授業では、貴女の一歩一歩が花の舞のようで……」
「わ、わたくしこそ、殿下にリードしていただいたからですわ!」

 ──カサリ、と花壇に水をやっていた庭師が、ジョウロを持つ手を止めてため息をついた。
 彼らの近くにいた侍女たちも、顔を見合わせてくすくすと笑っている。

(……本当に、まだ気づいておられないのかしら?)

 周囲の全員が「これはもう恋だろう」と確信しているのに、当のふたりだけは“可愛い”“素敵”“尊敬”といった言葉で片付けてしまう。

「リリアナ嬢、もしよろしければ本日の午後、図書室でご一緒しませんか? 貴女と共に本を読む時間が、私にはとても大切でして」
「えっ……! わたくしも、ご一緒したいと思っておりましたの! あぁ、心が弾んでしまいますわ」

 ぴかぴかの笑顔で頬を染め合うふたり。

 廊下の影から見ていた友人たちが「……うんうん」とうなずき合い、優しい気持ちでその背中を押す。

 今日もまた、明るく愉快で、甘々すぎるふたりの時間が始まろうとしていた。
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