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誓いの口づけ
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ぼんやりと、遠くで誰かの声が聞こえる。
何かを呼んでいる。何度も、何度も――。
「……目を覚ましてくれ……カリーナ……!」
その声には、必死な願いが滲んでいた。
重たいまぶたをどうにか持ち上げると、滲む視界の中に見えたのは、
涙を流すノア殿下の姿だった。
ーえ?
「の、ノア殿下……? 泣かないでください……私、大丈夫です……。」
かすれた声でそう言うと、ノア殿下は目を見開いた。
「……目が……覚めたのか! カリーナ! よかった……本当によかった……!」
次の瞬間、強く抱きしめられた。
その腕の中の温もりが、信じられないくらい優しくて、
私は思わずその背中に手を回し、抱きしめ返した。
「殿下……どうして、泣いていたのですか?」
頬を撫でると、指先に触れたのは乾きかけた涙の跡。
ノア殿下は少しだけ俯き、掠れた声で答えた。
「そんなの……君をこんな目に合わせてしまったことへの後悔で、涙が止まらなかったんだ。」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられた。
でも、私は微笑みながら、傷跡に手を当てる。
「私を心配してくださっていたのですね。ありがとうございます。
でも、この傷は……ノア殿下を守れた証です。
私にとっては、殿下がすべてなのです。
どうしようもなく、大切だから――守りたいのです。」
ノア殿下は一瞬、驚いたように私を見つめ、そして穏やかに笑った。
その大きな手が、そっと私の頭を撫でる。
その温もりが、何よりも嬉しかった。
「……ありがとう、カリーナ。」
そう呟く声が、涙のように優しかった。
ふと、気づく。
ーあれ? 服が違う。
見覚えのない、少し大きめのシャツ。どこか……ノア殿下の香りがする。
「……あの、殿下。手当てをしてくださったのは、どなたですか?
もしお医者様だったら、カリスが女だって、ばれてしまったのでは……?」
私の焦りに、ノア殿下は小さく笑う。
「その心配はしなくていい。
君との“秘密”は、僕以外の誰にも知られないようにした。
怪我の処置も……僕がした。」
「殿下が……? ありがとうございます……。」
傷口に巻かれた包帯は、丁寧で、驚くほど整っていた。
そのひとつひとつに、ノア殿下の優しさが滲んでいるようだった。
「そういえばね、騎士団長が君にお礼を言っていたよ。」
「お礼……ですか?」
「うん。君の迅速な誘導と人命救助、そして見事な剣術。
そのおかげで、誰も命を落とさずに済んだ。
"あの青年がいたから助かった”って、皆が言ってたよ。」
「……そう言われると、少し照れますね。
でも、私だけの力ではありません。
護衛兵や騎士団の方々が頑張ってくださったおかげです。」
私がそう言うと、ノア殿下は小さく笑って首を振る。
「君は本当に謙虚だね。」
そして、少しだけ寂しそうに笑った。
「ねぇ、カリーナ。
僕は、どうしようもなく君が好きで、愛してる。
だけど、僕のそばにいることで君がまた傷つくかもしれない。それでも……もう君を手放せない。
本当に、我儘で、ずるい男だよ。」
その声が、少し震えていた。
「ふふ……殿下。
私も、ノア殿下が好きです。
私だってもう、殿下のおそばから離れられません。
ですから――どうか、私を離さないでください。」
そう言って、私はそっとノア殿下の唇にキスをした。
ほんの一瞬の触れるだけのキス。
けれど、それだけで胸が熱くなる。
ノア殿下は、目を丸くしたあと、微笑んだ。
「君は本当に……僕をこれ以上好きにさせて、どうするつもり?」
そう囁いて、私の後頭部に手を回す。
次の瞬間、深く、熱い口づけが落ちた。
息が混ざり、舌が絡む。
時間が止まったようだった。
「……んっ……ノア殿下……好きです……。」
「僕も、君が好きだ。」
額を合わせ、2人で小さく笑い合う。
その瞬間、世界のどんな音も消えていた。
―だが、扉の向こうから、ラスタの声が響いた。
「殿下、昨日の件で、陛下がお呼びです。」
「ごめんね、カリーナ。君のそばにいたいんだけど…。呼び出しが終わったらすぐに戻ってくるからね!君は寝てて。」
ノア殿下が軽く頷くと、ラスタと2人で扉へと向かう。
その後ろ姿を見送りながら、私はふっと微笑む。
「ふふ、殿下。そんなに急がなくても大丈夫ですわ。
だって、殿下のシャツから……殿下の匂いがしますもの。
それだけで、もう……幸せです。」
ノア殿下は少し照れたように笑い、
その笑顔がまた、私の胸を熱くした。
何かを呼んでいる。何度も、何度も――。
「……目を覚ましてくれ……カリーナ……!」
その声には、必死な願いが滲んでいた。
重たいまぶたをどうにか持ち上げると、滲む視界の中に見えたのは、
涙を流すノア殿下の姿だった。
ーえ?
「の、ノア殿下……? 泣かないでください……私、大丈夫です……。」
かすれた声でそう言うと、ノア殿下は目を見開いた。
「……目が……覚めたのか! カリーナ! よかった……本当によかった……!」
次の瞬間、強く抱きしめられた。
その腕の中の温もりが、信じられないくらい優しくて、
私は思わずその背中に手を回し、抱きしめ返した。
「殿下……どうして、泣いていたのですか?」
頬を撫でると、指先に触れたのは乾きかけた涙の跡。
ノア殿下は少しだけ俯き、掠れた声で答えた。
「そんなの……君をこんな目に合わせてしまったことへの後悔で、涙が止まらなかったんだ。」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられた。
でも、私は微笑みながら、傷跡に手を当てる。
「私を心配してくださっていたのですね。ありがとうございます。
でも、この傷は……ノア殿下を守れた証です。
私にとっては、殿下がすべてなのです。
どうしようもなく、大切だから――守りたいのです。」
ノア殿下は一瞬、驚いたように私を見つめ、そして穏やかに笑った。
その大きな手が、そっと私の頭を撫でる。
その温もりが、何よりも嬉しかった。
「……ありがとう、カリーナ。」
そう呟く声が、涙のように優しかった。
ふと、気づく。
ーあれ? 服が違う。
見覚えのない、少し大きめのシャツ。どこか……ノア殿下の香りがする。
「……あの、殿下。手当てをしてくださったのは、どなたですか?
もしお医者様だったら、カリスが女だって、ばれてしまったのでは……?」
私の焦りに、ノア殿下は小さく笑う。
「その心配はしなくていい。
君との“秘密”は、僕以外の誰にも知られないようにした。
怪我の処置も……僕がした。」
「殿下が……? ありがとうございます……。」
傷口に巻かれた包帯は、丁寧で、驚くほど整っていた。
そのひとつひとつに、ノア殿下の優しさが滲んでいるようだった。
「そういえばね、騎士団長が君にお礼を言っていたよ。」
「お礼……ですか?」
「うん。君の迅速な誘導と人命救助、そして見事な剣術。
そのおかげで、誰も命を落とさずに済んだ。
"あの青年がいたから助かった”って、皆が言ってたよ。」
「……そう言われると、少し照れますね。
でも、私だけの力ではありません。
護衛兵や騎士団の方々が頑張ってくださったおかげです。」
私がそう言うと、ノア殿下は小さく笑って首を振る。
「君は本当に謙虚だね。」
そして、少しだけ寂しそうに笑った。
「ねぇ、カリーナ。
僕は、どうしようもなく君が好きで、愛してる。
だけど、僕のそばにいることで君がまた傷つくかもしれない。それでも……もう君を手放せない。
本当に、我儘で、ずるい男だよ。」
その声が、少し震えていた。
「ふふ……殿下。
私も、ノア殿下が好きです。
私だってもう、殿下のおそばから離れられません。
ですから――どうか、私を離さないでください。」
そう言って、私はそっとノア殿下の唇にキスをした。
ほんの一瞬の触れるだけのキス。
けれど、それだけで胸が熱くなる。
ノア殿下は、目を丸くしたあと、微笑んだ。
「君は本当に……僕をこれ以上好きにさせて、どうするつもり?」
そう囁いて、私の後頭部に手を回す。
次の瞬間、深く、熱い口づけが落ちた。
息が混ざり、舌が絡む。
時間が止まったようだった。
「……んっ……ノア殿下……好きです……。」
「僕も、君が好きだ。」
額を合わせ、2人で小さく笑い合う。
その瞬間、世界のどんな音も消えていた。
―だが、扉の向こうから、ラスタの声が響いた。
「殿下、昨日の件で、陛下がお呼びです。」
「ごめんね、カリーナ。君のそばにいたいんだけど…。呼び出しが終わったらすぐに戻ってくるからね!君は寝てて。」
ノア殿下が軽く頷くと、ラスタと2人で扉へと向かう。
その後ろ姿を見送りながら、私はふっと微笑む。
「ふふ、殿下。そんなに急がなくても大丈夫ですわ。
だって、殿下のシャツから……殿下の匂いがしますもの。
それだけで、もう……幸せです。」
ノア殿下は少し照れたように笑い、
その笑顔がまた、私の胸を熱くした。
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