Love affair〜ラブ アフェア〜

橘 薫

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♠︎密会♠︎弘田宇丈

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「会いたかった…」
 彼女を引き寄せ髪に触れ、口づける。さらに肩を抱き寄せようとして、逃げられた。
宇丈うじょうさん」
 彼女の唇が、動く。吐息が漏れる。潤んだ瞳。すでに欲情しているその様子が、たまらない。

「みひろさん…」
 オレの姿、みひろさんの目にはどう映ってる?永遠に手に入らないキミに恋いこがれて、何度も諦めよう、止めよう…と思いながらも決めることができない。月に一度の逢瀬を心待ちにすることしかできない。

 みひろさんはオレにそっと抱きつくと、耳元で甘えるように囁いた。
「今日、泊まれます」
「本当に?旦那さんは?」
「出張です」

 下を向いて、少し照れくさそうに言うキミに、今夜は…オレの欲を、全部ぶつけてしまいたい…。

 髪を撫で、頬を両手の平で包み…見つめ合う。指で、手の平で感じる、頬のなめらかさと温かさが心地いい。
 吐息が熱を持つ。唇、早く触れ合わせたい…でも、我慢だ。この焦れったさが、気持ちを更に燃え立たせる。

「んっ…」
 珍しくみひろさんから、唇を重ねてきた。激しく吸い、噛み合わせ…空いたわずかな隙間から舌を差し入れる。
 荒くなる息が、彼女の興奮度を顕している。

 ひとしきり互いの唇を味わい、離れると。
「…指輪、はずしていただけますか」
 目の前に出された左手薬指から、マリッジリングを引き抜いた。

 コーヒーテーブルの上にそっと置くと、また唇を重ね合わせる。
 余裕がなくなるのがわかる。たっぷり見つめ合って、愛撫して、キスして…心も身体も満足するほど愛し合いたいのに、性急に体を重ねたい自分もいる…戸惑う。

「みひろさん」
「…さん、つけないで…」
「みひろ」
「宇丈さん…」
 彼女がオレの顔を見上げる。上気した頬がそそる…。

「シャワー、する?」
「…いいえ…」
 オレの首に細い腕を回して、背伸びして…耳元で言おうとしているのが可愛いらしい。
 少し体をかがめて、彼女の口元に耳を寄せる。耳に吐息がかかる。
「このまま、抱いてください」
その一言で、スイッチが入った。

 ふんわりしたスリーブのブラウスを、乱暴に脱がした。下着を引き下ろし、激情のまま胸を揉みしだく。
「痛っ…」
「ごめ…」
 つい強く触れてしまったところを、今度はゆっくりと、優しく揉み上げる。触れているうちに硬くなってきた先端を、指で優しくつまむ。
「んっ…」
 声を我慢する様子が、また…オレの本能に火をつける。

 抱き上げてベッドに寝かせ、全て脱がす。オレも全て脱いで…みひろさんの上に覆いかぶさる。
 熱く、とろけるキスをしながら、彼女の肌に触れ、撫でて。指先で繊細に愛撫しながら、また胸に触れ、敏感な先端を摘み、擦り、軽く引っ張る。

「ん、ぁぁ…」
 感じ始めている彼女は、ぎゅっと目を瞑り…甘い吐息とともに、次第に頬を紅潮させる。
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