Love affair〜ラブ アフェア〜

橘 薫

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❤︎出会い❤︎真柴みひろ

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 主人の書斎を掃除していたら、ゴミ箱の中に彼の名刺を見つけた。思わずゴミ箱から拾い上げた。

 あの、印象強い瞳を思い出して体の奥がずきん、とする。
 なんだろう、この感覚…。胸がきゅうっとなって、息が苦しくなって。体が…熱くなる。
 拾い上げた名刺は、しばらく考えて…主人に内緒で持つことにした。

 それから何日か、上の空で過ごした。弘田さんのことが、頭から離れなかった。
 彼の、あの瞳、唇。物静かで優しい声。落ち着いた佇まいにスーツの上からでもわかる、筋肉質の体…。

 体、と思った時に一気に恥ずかしくなった。
 私…彼の体を、見てみたい…どんな感じ?主人のとは違うのかしら?腕は?胸は?背中は?
 知りたい、と思った。でも…もう、会うことはない…。

 彼の名刺は財布に挟んでおいた。主人に見つかる可能性を考えたら、持ち歩く方が安全だった。

 お茶のお稽古の後、電車の中で彼の名刺を取り出して見ていたら…どうしてもどうしても、会いたくなった。衝動的に次の駅で降りて、宇丈さんに電話していた。

 その日のうちに、会う約束をした。でも彼は、私が主人に言われて、マーケティングの話を聞きにきたと思っているだろうから…。
 冷静に話をしよう。彼を、観察しよう。何が私を彼に引きつけるのか…知りたいから。

 待ち合わせ場所には5分早く着いた。化粧室の鏡で自分の姿を確認すると、没個性の塊のような気がして、情けなくなった。

 結婚してからずっと…目立たないように、主人を引き立てるように…それだけをすべての選択基準にしてきた。
 仕方がない、これが今の私だから。それに…弘田さんが私のことを、個人的に何か思うなんて考えられない。

 光沢のあるグレイのスーツで現れた彼は、スマートだった。
 適度な気遣いと、わかりやすい仕事の説明…相手の立場、理解度を思いやれる人、という印象だった。
 なのに私は、彼の指や、首筋、唇ばかり見てしまって…一生懸命説明してくれているのに、申し訳ない…。

 彼は聞き上手で、仕事の話をしつつ私や主人のこともさりげなく聞いてきた。
 話しすぎないよう気をつけながら、当たり障りのない範囲でプライベートについて話す。私と主人が、仲が良いことも暗に仄めかして。

 間が悪くなる前に話を切り上げた。
「本日の件、主人に話しておきますね」と、一応言ったけど…話すつもりは毛頭なかった。

 宇丈さんの何に心惹かれたのか、ハッキリとはわからなかった。彼と会うためには、口実を作らないと会えないことに少し落胆しつつ、その日は帰った。
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