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❤︎本当の私❤︎真柴みひろ
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「取り戻す?」
「そうです」
「意味が、わかりません…」
「休憩しようって言いましたけど、ここまではやっといた方が良さそうだな」
青島さんは呟くように言った。
「30分くらい、いいですか?」
「はい」
「じゃあ、目を閉じて」
さっきの丁寧な誘導とは違い、今度はあっさりと始まった。
その内容も、先程とは違う…言われるがままに様々なイメージをした。
形や色、匂い、触感…そういうもので表していく。
自分のこと。
家族のこと。
本来の自分と、今の自分…不思議。
本来の私、と問いかけるとイメージが出てくる。
とても美しい大輪の百合だった。
今の私は…枯れかけている小さな百合。その百合を雁字搦めにしている血の色の鎖。
誘導に従い、イメージの中でその鎖を解き、燃やし、灰にする…。
自由になった百合の花は、大地から水を吸い上げ、きらめく太陽の光を浴びる。
今まで…水を吸い上げることも、太陽の光を浴びることも許していなかった。ずっと、暗くてジメジメとした場所で生きてきたのだ。
陽の光の暖かさ。吸い上げる水の美味しさ。葉脈を伝い、全身に染み渡る水の恵み。
生きている…そのことへの感謝…あ、この気持ち…幼少期はよく感じていた…。
気持ち良く、心地よくその恩恵を遠慮せずに全身で受け取ると、体の奥から暖かな何かが湧いてくるのを感じた。
青島さんの声が、私を誘導する…。
「本来のご自身と今のご自身のイメージを、重ねることは出来ますか?」
「…はい」
目を閉じたまま、元気になった百合の花を、本来の自分を象徴する百合の花に重ね合わせる…あ、綺麗に重なった…。
「重ねてみたらどんな感じですか?」
「すごく…落ち着いて、安心してます…自由で、楽です」
「違和感や変な感じ、不安はありますか?」
全身に感覚を伸ばしてみる…何も、滞るものや引っかかるもの…ない、大丈夫…。
「いいえ、何もないです、快適です」
「…良かった、ではゆっくり呼吸に意識を戻して…」
再び、青島さんの誘導に身を任せる。目を開けたとき…一瞬、世界が違うような気がした。
「気分はどうですか?」
「…すごく、すっきりしてて…温かいです…」
「体、少しずつ動かして慣らしましょうか」
指、腕、肘、膝…曲げたり伸ばしながら、少しずつ感覚を取り戻していく。
なんだろう…本当に不思議…。こんなセラピーは、初めてだった。
「そうです」
「意味が、わかりません…」
「休憩しようって言いましたけど、ここまではやっといた方が良さそうだな」
青島さんは呟くように言った。
「30分くらい、いいですか?」
「はい」
「じゃあ、目を閉じて」
さっきの丁寧な誘導とは違い、今度はあっさりと始まった。
その内容も、先程とは違う…言われるがままに様々なイメージをした。
形や色、匂い、触感…そういうもので表していく。
自分のこと。
家族のこと。
本来の自分と、今の自分…不思議。
本来の私、と問いかけるとイメージが出てくる。
とても美しい大輪の百合だった。
今の私は…枯れかけている小さな百合。その百合を雁字搦めにしている血の色の鎖。
誘導に従い、イメージの中でその鎖を解き、燃やし、灰にする…。
自由になった百合の花は、大地から水を吸い上げ、きらめく太陽の光を浴びる。
今まで…水を吸い上げることも、太陽の光を浴びることも許していなかった。ずっと、暗くてジメジメとした場所で生きてきたのだ。
陽の光の暖かさ。吸い上げる水の美味しさ。葉脈を伝い、全身に染み渡る水の恵み。
生きている…そのことへの感謝…あ、この気持ち…幼少期はよく感じていた…。
気持ち良く、心地よくその恩恵を遠慮せずに全身で受け取ると、体の奥から暖かな何かが湧いてくるのを感じた。
青島さんの声が、私を誘導する…。
「本来のご自身と今のご自身のイメージを、重ねることは出来ますか?」
「…はい」
目を閉じたまま、元気になった百合の花を、本来の自分を象徴する百合の花に重ね合わせる…あ、綺麗に重なった…。
「重ねてみたらどんな感じですか?」
「すごく…落ち着いて、安心してます…自由で、楽です」
「違和感や変な感じ、不安はありますか?」
全身に感覚を伸ばしてみる…何も、滞るものや引っかかるもの…ない、大丈夫…。
「いいえ、何もないです、快適です」
「…良かった、ではゆっくり呼吸に意識を戻して…」
再び、青島さんの誘導に身を任せる。目を開けたとき…一瞬、世界が違うような気がした。
「気分はどうですか?」
「…すごく、すっきりしてて…温かいです…」
「体、少しずつ動かして慣らしましょうか」
指、腕、肘、膝…曲げたり伸ばしながら、少しずつ感覚を取り戻していく。
なんだろう…本当に不思議…。こんなセラピーは、初めてだった。
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