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♠︎一つになる♠︎弘田宇丈
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「宇丈さん…?」
電話を終えて部屋に戻ると、ちょうどみひろさんが目を覚ましたところだった。
「おはよう」
「…おはようございます」
照れて下を向く彼女が可愛くて、また胸の疼きを感じながら顎をそっと上に向かせて、優しくキスをした。
「ん…」
反応がいい。今までと全然違う。いや、今までも反応は良かったが…今までと全く違うんだ。
「疲れてない?」
「大丈夫です」
「もう少し寝てなよ。なんか飲む物持ってきてやるから」
「いえ…大丈夫です」
起き上がり、二、三歩歩くとぐにゃり、と体が沈んだ。
「みひろさん!」
慌てて駆け寄り、脇と腰に手を添えて立ち上がらせた。
「…力、抜けちゃって…」
「捕まっていいよ」
お互いに…何も身につけていない素っ裸だ。オレはいいけど、みひろさんは恥ずかしがる…。
「とりあえず、なんか着よう」
荷物の中からパーカーを取り出して渡した。
「はは、やっぱブカブカだな」
男のオレでもゆったりめのパーカーは、みひろさんにはかなり大きかった。
余った袖をまくり、その袖から華奢な腕が覗く。裾は完全にヒップラインを隠してて…セクシーな太腿が覗いている。散々彼女を抱いたのに、また中心からの昂りを感じる。
オレはスエットの下だけ履いて、みひろさんを支えながら階段をゆっくりと降りた。
「座ってて」
昨晩、最初に愛し合った場所に座らせた。
「コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
湯を沸かし、フィルターをセットしたドリッパーをサーバーに乗せて粉を二人分。
コーヒーポットに熱湯を移してそっと、少しずつ湯を注ぐ…すぐにいい香りが辺りに漂う。
「はい」
「ありがとうございます」
「あ、砂糖やミルク、なくて平気?」
「はい、大丈夫です。いつもブラックなので」
「そうなんだ」
そういやアオが淹れてくれたときもブラックだったな。
「宇丈さん」
「ん?」
「あの…ありがとうございました」
マグカップを両手で持ってオレを見るみひろさんは。
もう…オレが見つめても目を逸らすことなく、真っ正面からオレを見据えてくる。その瞳の煌めき、凛々しさに…思わず見蕩れてしまった。
「いや…良かったよ、なんか、こう…うまくいって…安心した」
「はい」
「体とか、大丈夫?辛いとか痛いとかない?」
「はい、大丈夫です」
みひろさんはコーヒーをローテーブルに置くと、オレの頰を両手で包んだ。
コーヒーカップの温もりがその手に移っていて…指先まで温かかった。
「宇丈さん…ありがとう」
思わずコーヒーカップを置いて、みひろさんを抱きしめた。近づく唇…触れる寸前に、目を閉じた。
微かに香るコーヒー。細くて柔らかな体。腕の中のみひろさんは、今までと同じで同じじゃない。
まるで脱皮したかのように…蛹が蝶になるように。縛り付けられていたものから自由になり、空に羽ばたく…美しい蝶。
ふと、オレを忘れて飛び立ってしまうのではないか…そんな不安に襲われて、両腕に力を込めた。
「苦しいです…」
「あ、ごめ…」
慌てて手を緩めると、オレとしっかりと目を合わせて、微笑んで言った。
「宇丈さん…愛してます」
それがスイッチになった。
優しく柔らかくみひろさんを押し倒すと、アオがセラピーで使った昨夜のアロマの残り香ががふわり、と香った。
電話を終えて部屋に戻ると、ちょうどみひろさんが目を覚ましたところだった。
「おはよう」
「…おはようございます」
照れて下を向く彼女が可愛くて、また胸の疼きを感じながら顎をそっと上に向かせて、優しくキスをした。
「ん…」
反応がいい。今までと全然違う。いや、今までも反応は良かったが…今までと全く違うんだ。
「疲れてない?」
「大丈夫です」
「もう少し寝てなよ。なんか飲む物持ってきてやるから」
「いえ…大丈夫です」
起き上がり、二、三歩歩くとぐにゃり、と体が沈んだ。
「みひろさん!」
慌てて駆け寄り、脇と腰に手を添えて立ち上がらせた。
「…力、抜けちゃって…」
「捕まっていいよ」
お互いに…何も身につけていない素っ裸だ。オレはいいけど、みひろさんは恥ずかしがる…。
「とりあえず、なんか着よう」
荷物の中からパーカーを取り出して渡した。
「はは、やっぱブカブカだな」
男のオレでもゆったりめのパーカーは、みひろさんにはかなり大きかった。
余った袖をまくり、その袖から華奢な腕が覗く。裾は完全にヒップラインを隠してて…セクシーな太腿が覗いている。散々彼女を抱いたのに、また中心からの昂りを感じる。
オレはスエットの下だけ履いて、みひろさんを支えながら階段をゆっくりと降りた。
「座ってて」
昨晩、最初に愛し合った場所に座らせた。
「コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
湯を沸かし、フィルターをセットしたドリッパーをサーバーに乗せて粉を二人分。
コーヒーポットに熱湯を移してそっと、少しずつ湯を注ぐ…すぐにいい香りが辺りに漂う。
「はい」
「ありがとうございます」
「あ、砂糖やミルク、なくて平気?」
「はい、大丈夫です。いつもブラックなので」
「そうなんだ」
そういやアオが淹れてくれたときもブラックだったな。
「宇丈さん」
「ん?」
「あの…ありがとうございました」
マグカップを両手で持ってオレを見るみひろさんは。
もう…オレが見つめても目を逸らすことなく、真っ正面からオレを見据えてくる。その瞳の煌めき、凛々しさに…思わず見蕩れてしまった。
「いや…良かったよ、なんか、こう…うまくいって…安心した」
「はい」
「体とか、大丈夫?辛いとか痛いとかない?」
「はい、大丈夫です」
みひろさんはコーヒーをローテーブルに置くと、オレの頰を両手で包んだ。
コーヒーカップの温もりがその手に移っていて…指先まで温かかった。
「宇丈さん…ありがとう」
思わずコーヒーカップを置いて、みひろさんを抱きしめた。近づく唇…触れる寸前に、目を閉じた。
微かに香るコーヒー。細くて柔らかな体。腕の中のみひろさんは、今までと同じで同じじゃない。
まるで脱皮したかのように…蛹が蝶になるように。縛り付けられていたものから自由になり、空に羽ばたく…美しい蝶。
ふと、オレを忘れて飛び立ってしまうのではないか…そんな不安に襲われて、両腕に力を込めた。
「苦しいです…」
「あ、ごめ…」
慌てて手を緩めると、オレとしっかりと目を合わせて、微笑んで言った。
「宇丈さん…愛してます」
それがスイッチになった。
優しく柔らかくみひろさんを押し倒すと、アオがセラピーで使った昨夜のアロマの残り香ががふわり、と香った。
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