155 / 171
♠︎決意♠︎弘田宇丈
2
しおりを挟む
「筆談でって言われて、マネージャーさんも出席だったんで打ち合わせ始めたんですけど、始めて10分も立たないで平井さん倒れちゃったんです」
「倒れた!?」
「そうなんです。で、救急車呼んで。そしたら今度、サントラのプロデューサーの一人が」
「うん」
「携帯鳴って、どうしたのかと思ったら奥さんが産気づいた!って大騒ぎして」
「え」
「そのプロデューサーってまだ若いんですよ!?23ですよ?」
あー…なんか言ってたな。
若手だけど実力派の二人組、だっけ。
「それで結局、お産に立ち会いたいから打ち合わせ延期にしてくれないかって言われて…もう、ありえなくないですか?」
「や、でもさ…お産は一大イベントだし、立ち会いたい気持ちもわかるし」
「弘田さんもそういう願望あるんですか?」
「いや、オレはそう言うのよくわからないけどさ」
「とにかく!せっかく休日返上でうちのチーム準備したのに!これってひどすぎません?」
「あ。うん、まぁ、そうだよな…?」
気迫に押されて、同意しかできない。
「弘田さん、明日は会社来るんですよね?」
「ん~、ちょっと、わかんねぇけど」
みひろが火曜までいられるなら、もう一日有給取ってもいいかな…って思ってた。
「わかんないってどういうことですか?火曜も休むんですか?」
「うん、まぁ、もしかしたら休むかも」
「とにかく会って話聞いて欲しいんです、以上はかいつまんだ内容ですから」
これがかいつまんだ内容かよ…すでに相当、ディープな内容を聞かされてる。
「ちょっと悪ぃけど今さ、人待たせてるからもう切るな?」
「あ、弘田さっ…」
中島さんの返事を待たずに電話を切り、ついでにスマホの電源も切った。当分…みひろと過ごす時間を誰にも邪魔されたくない。
「お電話終わりました?」
リビングに戻ると、みひろがお茶を煎れてくれてた。
「宇丈さん?」
見つめるオレに、何か?と問いかけるように見返してくる。こんなに柔らかな表情になったの…初めて見たかもしれない。
「お茶、どうぞ」
「うん、ありがとう」
入れてもらった緑茶を一口含む。
「美味い、うん」
「よかったです」
「なぁ」
「はい」
「…いい加減さ、「です」「ます」とかじゃなくて普通に話してよ」
「…でも、もう身についてしまってるので…」
「みひろ」
「はい?」
呼び捨てにしても「さん」づけで呼んでください、と困ったように注意されないことに気がついた。
オレが呼び捨てることも、受け入れてくれている…それが嬉しかった。
「倒れた!?」
「そうなんです。で、救急車呼んで。そしたら今度、サントラのプロデューサーの一人が」
「うん」
「携帯鳴って、どうしたのかと思ったら奥さんが産気づいた!って大騒ぎして」
「え」
「そのプロデューサーってまだ若いんですよ!?23ですよ?」
あー…なんか言ってたな。
若手だけど実力派の二人組、だっけ。
「それで結局、お産に立ち会いたいから打ち合わせ延期にしてくれないかって言われて…もう、ありえなくないですか?」
「や、でもさ…お産は一大イベントだし、立ち会いたい気持ちもわかるし」
「弘田さんもそういう願望あるんですか?」
「いや、オレはそう言うのよくわからないけどさ」
「とにかく!せっかく休日返上でうちのチーム準備したのに!これってひどすぎません?」
「あ。うん、まぁ、そうだよな…?」
気迫に押されて、同意しかできない。
「弘田さん、明日は会社来るんですよね?」
「ん~、ちょっと、わかんねぇけど」
みひろが火曜までいられるなら、もう一日有給取ってもいいかな…って思ってた。
「わかんないってどういうことですか?火曜も休むんですか?」
「うん、まぁ、もしかしたら休むかも」
「とにかく会って話聞いて欲しいんです、以上はかいつまんだ内容ですから」
これがかいつまんだ内容かよ…すでに相当、ディープな内容を聞かされてる。
「ちょっと悪ぃけど今さ、人待たせてるからもう切るな?」
「あ、弘田さっ…」
中島さんの返事を待たずに電話を切り、ついでにスマホの電源も切った。当分…みひろと過ごす時間を誰にも邪魔されたくない。
「お電話終わりました?」
リビングに戻ると、みひろがお茶を煎れてくれてた。
「宇丈さん?」
見つめるオレに、何か?と問いかけるように見返してくる。こんなに柔らかな表情になったの…初めて見たかもしれない。
「お茶、どうぞ」
「うん、ありがとう」
入れてもらった緑茶を一口含む。
「美味い、うん」
「よかったです」
「なぁ」
「はい」
「…いい加減さ、「です」「ます」とかじゃなくて普通に話してよ」
「…でも、もう身についてしまってるので…」
「みひろ」
「はい?」
呼び捨てにしても「さん」づけで呼んでください、と困ったように注意されないことに気がついた。
オレが呼び捨てることも、受け入れてくれている…それが嬉しかった。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる