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ペット志願
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何を言われたのか、正直わからなかった。ペット? ペットって……。
「ちょっと、言ってる意味がわからないんだけど」
「その、美彩さんに飼われたいっていうか、可愛がられたいっていうか」
一真くんも、自分が言ったことに対して恥ずかしくなったのか、若干焦っている。
「先輩の家を間借りさせてもらっててこんなこと言っちゃいけないとは思うんですけど、やっぱり……お酒が入ると面倒な人なんで。美彩さんとだったら穏やかに暮らせるかな、なんて思っちゃって。はは、すみません、忘れてください」
忘れてください、という割には彼の瞳は真剣で、どこか一縷の望みを託したがっているような気がした。
「先輩、暴力振るったりとかもするの?」
「あー……、いえ、僕が気が利かないからです。先輩の気持ち逆撫でするようなことをしちゃったりとかするから」
「例えば。どんな?」
「まぁ、色々です」
言葉を濁すということは、人に言えないことをされているからでは、と勘繰る。どうしよう……頼られているけれども、わたしに何ができるだろう。
「すみません、美彩さん優しいから甘えちゃいました。その、ほんと図々しいんですけど、もし……また、先輩に追い出されたりすることがあったら、少しの時間でもいいんで立ち寄らせてもらえたら……なんて。マジ図々しいですよね、ごめんなさい」
必死な目に、この子が先輩の家でどんな扱いを受けているのかが透けて見えた気がした。普段は良い人なのかもしれないけど、お酒が入ると人が変わるって、それがその人の本質じゃないの?
「……条件あるけど、のめるなら飼ってあげる」
「なん、ですか」
「必ずわたしの命令に従うこと」
「命令、ですか」
「ペットはご主人様に絶対服従でしょ? 命令は必ず聞くものよ。じゃないとペットとは言えないわ」
一真くんが返事を躊躇う。目が迷っている。そりゃそうだろう。わたしがどんな命令をするか、わかったものじゃないのに。
「わかりました」
声が上ずっている。
「なんでも言うこと、聞きます。美彩さんの……ペットにしてください」
「ちょっと、言ってる意味がわからないんだけど」
「その、美彩さんに飼われたいっていうか、可愛がられたいっていうか」
一真くんも、自分が言ったことに対して恥ずかしくなったのか、若干焦っている。
「先輩の家を間借りさせてもらっててこんなこと言っちゃいけないとは思うんですけど、やっぱり……お酒が入ると面倒な人なんで。美彩さんとだったら穏やかに暮らせるかな、なんて思っちゃって。はは、すみません、忘れてください」
忘れてください、という割には彼の瞳は真剣で、どこか一縷の望みを託したがっているような気がした。
「先輩、暴力振るったりとかもするの?」
「あー……、いえ、僕が気が利かないからです。先輩の気持ち逆撫でするようなことをしちゃったりとかするから」
「例えば。どんな?」
「まぁ、色々です」
言葉を濁すということは、人に言えないことをされているからでは、と勘繰る。どうしよう……頼られているけれども、わたしに何ができるだろう。
「すみません、美彩さん優しいから甘えちゃいました。その、ほんと図々しいんですけど、もし……また、先輩に追い出されたりすることがあったら、少しの時間でもいいんで立ち寄らせてもらえたら……なんて。マジ図々しいですよね、ごめんなさい」
必死な目に、この子が先輩の家でどんな扱いを受けているのかが透けて見えた気がした。普段は良い人なのかもしれないけど、お酒が入ると人が変わるって、それがその人の本質じゃないの?
「……条件あるけど、のめるなら飼ってあげる」
「なん、ですか」
「必ずわたしの命令に従うこと」
「命令、ですか」
「ペットはご主人様に絶対服従でしょ? 命令は必ず聞くものよ。じゃないとペットとは言えないわ」
一真くんが返事を躊躇う。目が迷っている。そりゃそうだろう。わたしがどんな命令をするか、わかったものじゃないのに。
「わかりました」
声が上ずっている。
「なんでも言うこと、聞きます。美彩さんの……ペットにしてください」
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