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サバゲーに行こう!
08
しおりを挟む「Marker配ってなかったヨー!」
出てきたのはマジックテープの付いた、赤いベルト。
「そうか。マーカーつけてないな」
「おとチャンいじるの楽しくて、忘れてたネー!」
器用に片手で自分の二の腕にベルトを巻きつつ、残りをフーに渡す。
「これは敵味方を判別するmarkerデスネー。今回ウチらは赤チームなので、マーカーも赤ネー!」
「ヒーロと組むと、赤が多いな」
「ウチの真っ赤なheartのおかげねー」
そんな会話をしながら、くるっとふたり揃って振り向く。
「おとチャンばんざーいシテクダサーイネー」
「ふえ?」
「まいたげるからヨー」
「あ、はい」
一瞬なんだかわからなかったが、意味がわかった。エアソフトがスリングで首にかかっている事を確認してから、両手を上げた。
「ほい。フー左巻いてー」
「いわずもがな」
さっとふたりで、瞬時に音羽の腕にマーカーを巻きつける。
「これでALL OKネー!」
「ありがとうございます」
両手を下ろして、ぺこっと頭を下げる。
「Enjoy it today! 今日も楽しむヨー! おとチャンの初陣ヨー!」
そうこうしていると、坂道は終わり、本部と似た屋根の横を通り過ぎた。そのすぐ後ろにネットの貼られた区画があった。その先がフィールドだ。
「ここからはゴーグルつけてネー」
頭の上に乗せられていたフルフェイス型のマスクを尋に付けられた。ふたりもさっとゴーグルを付けた。
並んでネットを潜る。入口の裂け目の脇に、拡声器を持ったオレンジのパーカーを着た男性が立っている。
少し入った所は開けていて、そこに参加する人々が集まっている。その中に音羽たちも交じる。
「はーい。それじゃゲーム説明始めますよー」
「イエス・サー!」
「まってましたー」
拡声器の声が大きいので、音羽は耳を塞ぐ。尋とフーのふたりが音羽の前に立って、音よけなる。
「本日最初はフラッグ戦です! 黄色はEで、赤はBです! Eフラッグは黄色い砦のすぐ近く。奥の方ですね。Bフラッグは入って左側。緑色の砦です。ゲーム時間は15分で! それじゃ、おねがいしまーす」
「お願いしあーす」
「よろでーす」
フーがそっと手をのばして、音羽の装備を手直しする。
フィールドの中は、獣道のような道筋がいくつか作られた森林で、遠くにパトライトのよう物が見える。
「Bはー、あっちネー」
参加者は各々、違った道をいく。尋に先導されてスタート地点となるパトライト、フラッグまで進んだ。
そこにはすでに相当な人数が集まっていた。
「それにしても、珍しいネー。有名人来てナイのに、こんなに集まるなんテー」
「そういう時もあるさ。今日はサバゲ日和だ」
「Oh yeah! おひさまきもちぃしネー!」
「ガスブロがしっかり動くからな」
ふたりはなぜか普段以上に落ち着いた様子で、装備などのチェックに余念がない。音羽もチェックをしようと思ったが、何があって何がないのかがわからないためやりようがない。
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