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「ヴィオラ、その腕はどうした?」
翌日、学校でイリス殿下に腕の包帯を見られた。それは母につけられた火傷を保護するための包帯だった。
大したことはなかったのだがミランダが念のためにと巻いてくれたのだ。だから少し大袈裟に見えてしまう。
私は袖で見られないように隠していたのだけれどイリス殿下に見られてしまった。
「これは私の不注意で。ぶつけてしまって」
私は笑ってそう答えるがイリス殿下は訝しげに私と腕の包帯を見比べる。
「あの、殿下。これは大袈裟に見えるだけで実際は大したことありませんわ」
私が本当のことを言わないと分かったからか、イリス殿下はため息を一つついた後、私を抱き締めた。
「で、殿下っ!?」
ここは学校の廊下だ。周囲には当然、他の生徒もいる。彼ら彼女らはぎょっとした顔で抱き合う(殿下に抱きしめられている私を)私たちを見ている。わざわざ振り返って二度見する生徒までいた。
私は羞恥で耳まで赤くなった。
「イリス殿下、みんなが見てます。放してください」
私が慌てるのが面白かったのか、イリス殿下は耳元でクスリと笑う。
ぞわりとおかしな感覚が背筋を駆け抜けて体がぴくりと揺れた。
「見せつけてるんだ。私がどれだけ君を愛しているのかを周囲に分からせないと、君を傷つける馬鹿がまだいるみたいだから」
ちゅっとイリス殿下は私の耳に軽いキスをした。
キャパオーバして倒れそうだ。
「ヴィオラ、私は君を愛している。だから些細な傷でも私は許せないんだ。君を傷つける全てを排除したいと願わずにはいられない」
僅かに体を離したイリス殿下が私を見下ろしながら真剣な顔で言う。
「私は大丈夫です。一人ではないから」
前なら慣れているから大丈夫だと思ったし言っていた。でも今は諦めた違う。ミランダやイリス殿下がいるから大丈夫だと思える。
私の言葉にイリス殿下は嬉しそうに微笑んだ。
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