61 / 87
第三章
act 21 摂食障害
しおりを挟む
四月の終わりの頃。
突然民子さんから電話が掛かって来た。
このずけずけと、自分の考えを押し付ける賢司の姉が、瞳は苦手だった。
電話の内容は、賢司が出所した後どうするのか、と言う事だったのだが・・・・。
民子さんが言いたい事は、環境を変える、と言うものだった。
とにかくこのままの環境では、賢司はまた覚醒剤に手を染めるのが時間の問題だ、と言う事。
確かに、瞳もそれはうすうす考えていた事だけれど、再犯率九割と言われている薬物だけに、賢司がまた同じ事を繰り返す心配は拭いきれなかった。
民子さんの言い分は、この土地を離れ全く違う環境、つまり埼玉にいる賢司の父親の元に行け、と云うものだった。。
けれど瞳の父はもう80才。
ここからなら車で20分で実家に帰れる。
大きな手術を二度受けている父に、何か遭った時に埼玉は遠すぎる。
瞳の気持ちや、立場を民子さんは考えていない。
ただこの電話を、一刻も早く切りたかった。
あの声を聞くのも嫌だった。
自己満足で、いつも上から目線で話をする。
自分の考えが全て正しいと勘違いしているそんな人には、何を言っても無駄な事を瞳は知り尽くしていた。
それに瞳の精神科の主治医も、環境を変えたからって覚醒剤を絶つのは無理だと言われた。
環境を変えれば覚醒剤が止められる程、甘くはない。
しかも賢司は瞳とのドラックセックスに嵌り切っていた。
瞳と一緒にいれば必ずまた手を出す事も、容易に想像がついた。
何を変えても、ただ無駄に終わるだけだろう。
それ程に覚醒剤の誘惑は大きいのだ。
民子さんからの電話を受けて以来、瞳は摂食障害に陥っていた。
瞳が摂食障害になったのは、これが初めてじゃ、ない。
これまでにも、何度となく陥っていた症状だった。
何を食べてもすぐに吐いてしまう。
食べると気持ちが悪くて、我慢出来ずに、大量の水を飲んでは指を喉に突っ込んで吐き戻す。
瞳の右手の甲には、吐きダコが出来ている。
摂取出来るのは、水分だけだった。
それでもお腹は空く。
空腹を満たす為に食べると、その後は瞳にとって地獄の時間になってしまう。
吐く為に水を一気に1L飲み干し、トイレで吐く。
食べては吐く、の悪循環の繰り返しだった。
・・・・お陰で体重は一気に減ったけれど。
突然民子さんから電話が掛かって来た。
このずけずけと、自分の考えを押し付ける賢司の姉が、瞳は苦手だった。
電話の内容は、賢司が出所した後どうするのか、と言う事だったのだが・・・・。
民子さんが言いたい事は、環境を変える、と言うものだった。
とにかくこのままの環境では、賢司はまた覚醒剤に手を染めるのが時間の問題だ、と言う事。
確かに、瞳もそれはうすうす考えていた事だけれど、再犯率九割と言われている薬物だけに、賢司がまた同じ事を繰り返す心配は拭いきれなかった。
民子さんの言い分は、この土地を離れ全く違う環境、つまり埼玉にいる賢司の父親の元に行け、と云うものだった。。
けれど瞳の父はもう80才。
ここからなら車で20分で実家に帰れる。
大きな手術を二度受けている父に、何か遭った時に埼玉は遠すぎる。
瞳の気持ちや、立場を民子さんは考えていない。
ただこの電話を、一刻も早く切りたかった。
あの声を聞くのも嫌だった。
自己満足で、いつも上から目線で話をする。
自分の考えが全て正しいと勘違いしているそんな人には、何を言っても無駄な事を瞳は知り尽くしていた。
それに瞳の精神科の主治医も、環境を変えたからって覚醒剤を絶つのは無理だと言われた。
環境を変えれば覚醒剤が止められる程、甘くはない。
しかも賢司は瞳とのドラックセックスに嵌り切っていた。
瞳と一緒にいれば必ずまた手を出す事も、容易に想像がついた。
何を変えても、ただ無駄に終わるだけだろう。
それ程に覚醒剤の誘惑は大きいのだ。
民子さんからの電話を受けて以来、瞳は摂食障害に陥っていた。
瞳が摂食障害になったのは、これが初めてじゃ、ない。
これまでにも、何度となく陥っていた症状だった。
何を食べてもすぐに吐いてしまう。
食べると気持ちが悪くて、我慢出来ずに、大量の水を飲んでは指を喉に突っ込んで吐き戻す。
瞳の右手の甲には、吐きダコが出来ている。
摂取出来るのは、水分だけだった。
それでもお腹は空く。
空腹を満たす為に食べると、その後は瞳にとって地獄の時間になってしまう。
吐く為に水を一気に1L飲み干し、トイレで吐く。
食べては吐く、の悪循環の繰り返しだった。
・・・・お陰で体重は一気に減ったけれど。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる